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遊星の昇る日
空の縁
半円を描いたら
落ちていく
時々振り返ってみたり、見上げてみたり
大通りの騒音がすっかり馴染んでしまったせいか
空の動きのほんの少しなら、気にならなくなってい ....
よい かな せ さえる き しを
とが もる ふ にえる あ えを
もせ ふく や といの む いを
しず ゆく か はせる ほ やを
あせ らう な かりの こ いて
つえ はな ....
気づかれないように
水面を そそ、と
歩いていたのに
さっき拾った
オシロイバナのたね、を
うっかり落としてしまった
ひろがる波紋
幾重もの水輪の先、に
あなた
....
距離を守って下さい
噛み砕くために固い葉を望む
一字違いの日々です
ミルクのような牛乳を
もう一杯ください
欲しいのです牧場のように
強烈に踊りだしたくなるほど
こぼしますから
....
眩しい空を 眺め過ぎた僕は
涙のように 暖かい 目薬を差しながら
「タマを探しています。」の
張り紙を 貼った
3丁目の電信柱の 角を曲がる
湿った目に もうすぐ気持ち良い刺激が
訪 ....
光のなかのかたち
花の前の小さな声
小さな姿
ほどけてゆく線のあつまり
光を知るもののまわりには
小さな光の歪みがいて
小さな手を差しのべている
手に手を ....
小さな小さな
記憶の粒たちが
まるで雪のように
目覚めたての
僕に降る
だけどそれは
とても暖かで
だけどそれは
確かに優しくて
「おかえりなさい」
と ....
名前を叫んでください
教室の窓際
規則正しいリズムを奏でる
僕のシャープペンに向かって
名前を叫んでください
グラウンドを
誰よりも速く駆ける
僕の靴音に向かって
名前を叫んで ....
路地を曲がると猫が居て
草をむしゃむしゃ食べていた
振り返る事三度目に
猫は小鳥になっていた
小鳥は小さく跳ねながら
水溜りの水を飲み
そのまま水に落ちてった
そ ....
かなしみがとことこ
ひとりでにあるきだして
どこかとおい
うみにかえると
いいな
いとしさがふわふわ
かってにとんでいって
いつかどこかの
きみにとまれば
いいな ....
僕の家の近くの坂道で
いつもすれ違う人がいる
今日は雨が降っているよ
その人は赤い傘で
顔を隠すようにして
肩を震わせていた
何か悲しいことがあったのですね
....
ひとり旅する人をみると
かわいそうだと 人は言う
目を伏せないと歩けない人をみると
哀れだと 人はいう
そうだね
僕はうつむいて
ぼろぼろの靴先を見つめてる
....
オーロラの海岸に不時着した
求めるものは
奇妙な星にしかないという
珍しいパンと温かいコーヒー
犬を連れて来て良かった
歩くという不便さも悪くない
もう少ししたらゴムを巻こう
ゴ ....
冬の間
じっとしていた玄関前
夏になると
手がいっぱい
青々と
生き返り
軽やかに
おいでおいでをしている
風がそよいでいる
手の形がたくさん
にぎやかな木だ ....
小学一年生の春
友達と下校途中に
桑の実があった
ちょっと とって食べる
紫色が手につく
親に叱られると思い
道路の横を流れてた川で 手を洗う
と ランドセルが首に 落ちて
重みで ....
散歩の途中で
くしゃみをすると
塀の向こうから犬に見つめられて、困った
立ち止まって見つめ合ってみるけれど
悪いことをした
わけではなく
少しだけ難しいことを
難しく考えてしまうから ....
流れ込むように
止まれない足元は
回転する音を
通り過ぎた重みを含ませながら
響かせている
夏に
焼ける
アスファルトが靴底を溶かしている
積みあがる積木の街
冷めないままで
....
影と壁と風の生きものを
藪のなかから鳥が見ていた
朝にだけ現れる生きものの
羽音のような目覚めを見ていた
生きもののからだに光があたると
たくさんの傷が道にひらいた
鳥 ....
霧雨が止んだ午後
兄さんが里山へ
野いちごを摘みに行こうと言った
空にはかすかな光り
濡れた緑が 濃い空気を吐き出して
後に続く僕の 切れ切れの息を
奪うように纏わり付いてきた
....
夜に
夜光虫の海で泳いだことがあります
そのとき
月が出ていたのかどうか
指先を
差し入れた瞬間にセントエルモの火
揺さぶってみた
舫い綱に冷たい篝り火
....
久方の親の家にて
車を借りて
まだ新しいそれは気分がいい
エンジンの音
窓の開きかたも
カセットから流れてきた音楽まで
フォーエバーヤング
65を過ぎた父が
免許を取ったのは5年前 ....
微笑みの半分が翼で
空の半分が月で
呼びあって 呼びあって
微笑んでいる
夜に咲く花
触れられたことのない花
もっと小さなうたを歌う
もっとしっかり小さく歌う
世界 ....
湿った風の残る残暑に
崩れた線が、幾筋も幾筋も
飽きることなく遊泳していて
嗚呼、眩しいばかりだな。
わたしも何とか飛んでみようとは思うのに、
どう真似たってなかなか上手くいかない。 ....
月のまわりに
月と同じ輪があり
水平線に沈みながら回っている
輪は海にひろがり
波は光を打ち寄せる
屋根が 鳥が
騒がしく雨を知る
ずっと空を見つめていた目が ....
私の夏はいつも少年の手の中にあった
降りしきる驟雨の中でさえも
ファインダーは彼らを捕らえ
熱い憧憬でそれを追った
自転車は跳躍するように少年を
パステルブルーの中空へ運び
麦わら ....
ゆうがた、
かみさまにいてもらいたい
アパートの部屋からもみおくれるけど
けど、
そこからはなんかみおくりたくない
ただなんか、
商店街でみおくりたい
はだしで じゃなく は ....
透明に
張り詰めた
ガラス窓から
朝日が零れているよ
覗き込むと
昨日が
音も立てずに沈んでいくところで
空間
四角く区切ったそれを
大勢の息で共有しながら
積み上げられている ....
愁い棚引く九月はゆらりと
恋人のくちびるを
柔らかく止める
ほんのりほてった袂を
上げて私は
そのくちびるへ駈け寄るのだ
吐き出す息がすべて
九月 ....
強い風のなかを
持ち上げるように
持ち上げられるように
地面 空気 歩むもの
地面 空気 馳せるもの
ゆっくりと肩いからせる動きたち
風にぎる指へと伝わってゆく
....
天根の辻で水をもらう
日の暮れるには早い刻で
このまま休みたくもあり
まだ行くかとも計り
いつまでもたばこをのむ
新開通の鉄道がここいらを
過ぎ越してさびれた土産屋
小唄の焼 ....
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