炎昼を赤子の声で鳴く蝉や
誘蛾灯十枚の爪かかりけり
泳ぎきし手足を埋めて砂の城
真夜中の汗つま先へ到達す
扇風機ふいに大きく頷けり
蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
〜秋〜 水色揺々
「手折れぬは花言葉」
水色の細い曲線滑らかに夕を奏でる9月のフルート
コスモスの薄紅風とたわむれて赤トンボかわし鬼さんこちら
....
逢引の今日またしてもパトライト
半月や右往左往の尾てい骨
キャッチボール父投げ返す空財布
半額のシール剥がして見合いする
へその緒がいっぱいあって全部罠
2?百円弱の水を飲みロールケーキを四切れ食う夜長
ヘッドフォン
外の世界を
シャットアウト
君と僕だけいればいい
秋に拾う貝殻は
なぜか哀しい
貝たちも
その海底で
小さな泡をながめたことも
あるだろう
射し込む光を感じたことも
いまは
生命も抜け落ちて
拾った貝殻を
わたしは持て ....
その言葉に嘘はなかったと
その言葉が本心であったと
その言葉が私に向いていた
と
信じてもいいですか?
タワレコの
袋にキムチ
詰め込んで
何食わぬ顔で
電車乗る
中村雅俊になりたかった
リアルタイムや再放送で見たドラマ
俺達はたぶん
中村雅俊になりたかった
会社の仲間と二次会のカラオケ
いつのまにか
本人映像の中村雅俊の ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする
すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような
ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
怒ってない
怒ってない
だから
あなたが私に飛び込んで来ればいいのよ
何もカウンターで左アッパーを
当てようなんて考えていないから
彼は待っている、
おおきな手と長い腕をひろげて、
彼は待っている。
彼はひとつの特権を持っている、
おおきな手と長い腕をひろげて、
彼は特権を行使する。
しかしその特権をどんなに行 ....
渡すまで
気づかなかった
2と3を間違えてつけたケーキ
隣あってたから
間違えたんだよ
なんて言い訳を
笑って聞いて
おいしいって
お世辞言って
ろうそくは
点けず ....
扇風機止めて静まる夜更けかな
せつない夜は
何して過ごす
ことば遊びの
ことば紡いで
とろとろ落ちる
時間を織ろうか
それとも
赤い月から滴る
ゆらいだ糸で
あの人に裂かれた
心を繕うか
....
きらきら
水の粒が
きらきら
きらきら
光の粒が
きらきら
きらきら
お互い
そうじゃないと
わかってしまった
だから
きらきらに
閉じ込めて
きらきら
もう何も言わないで
きらきら
見つめて ....
あなたは背を向けたまま一度もこちらを向かなかった
遠くで誰も乗らないバスが走り去っていく音
コップの水が夕陽に照らされて
手遅れ、と
浜辺に寄せる弱音
汽笛に消された潮騒を
どこかに探してみたりして
声をなくした鳥のよう
唄うも風は冷たくて
結局ひとりを持て ....
スタジアムへ行こう 野球を観に
ルールなんて知らなくていい
メガホン叩いていればいい
踊り踊っていればいい
僕の好きな野球 君と一緒に楽しめればいい
会えなくて辛い夜は ....
夏空の雲
お、あれは俺だ
俺は夏空なんだと
勘違いしている
雲だ俺は
もこもこもここもこもこ
宇宙からのぞけば
たんなる地球の模様だよ
夏空の雲 ....
堂々と
真夏を誇った
向日葵が過ぎ
いつの間にか
ひそやかなやさしい
秋桜の花が咲きはじめた
季節が
かわっていく
止めることは
出来ない
誰にも
昨日はいなかったよね
隠れていたのかな
しっかり食べてるね
参ったな
もしかして
スズメガなのかな
ううむ
どうするよ
古風な恋愛をしたいって
女優さんが言っていたような気がする
三歩下がって師の影踏まず
じゃなくて
それは夫唱婦随ってやつだよね
男尊女卑だと指差されそう
でもね
ちょっと考え ....
幸せなら
フエラムネをふこう
あなたの小さなくちびるを思い出しながら
フエラムネをふこう
甘酸っぱくて
懐かしくて
いとおしい
フエラムネ
勢いよくふけば
空に響き渡り
鳥たち ....
青いやろ。
口ヒゲ青いやろ。
気分悪くはないよ。
そりゃ良くもないけど。
青いやろ。
男色やないよ。
それは違うわ。
それは失礼やわ。
男色の人にも。
青いやろ。
....
セブンツーセブン
新幹線の車窓からよく目にするあの727化粧品の看板
俺はこれからの人生であと何回あの看板を見ることができるだろう?
つまりあと何回俺は新幹線に乗ることができるだろう?
俺は新 ....
秋色の冷たい風を伝い
夏を施してゆく
胸を締め付ける余韻を撫でるように
下へ下へと流れて消えた
涙を堪える癖は誰のためでもなく
移りゆく“時”に静寂を与えるため
咲いては散り
散っては咲いて
....
ヒゲが邪魔ですねん。
口ヒゲがありますねん。
それが邪魔ですねん。
ヒゲの細胞一つに
世界が一つ隠されてますねん。
ヒゲが邪魔ですねん。
キノコが食べにくいねん。
ヒゲまで食べますね ....
切れ端
オレンジ
カーテンから半分の太陽
ゆっくりとぬるい水を飲む
翻って
絨毯は平行四辺形の窓を作る
風はくもり
今日を伸びる
今日も
馬でも風邪を引くらしい
何だかひと安心したりして
年末だったかな彼氏に連れていかれた
新宿南口の場外馬券売り場で見かけたのは
レースに夢中な父親とはぐれた幼い兄弟
通路に散乱する外れ馬券 ....
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