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秋のある場所に走っていって
風は勇気のありかを知っている
冷めはじめた空気を味見する
風鈴の肩に触れけり里帰り
夕影は一ツや婆と懐炉猫
鶯の出鼻くじくかうかれ猫
赤むけののどで口説くや猫の恋
ふてぶてしき乳のはれなり猫の妻
呻吟やごろりと動く猫の腹
大きな顔の猫見て見ぬふり
子猫 ....
ペンギンの
狂気を隠す
ぴこぴこ歩
雪ふって黒めだちたる景色かな
満月の傍にあるべき人あらず
携帯の着信音が言っている君に逢いたいできればすぐに
デニーズでおっさん二人ココア飲む
今夜だけ輪切りにされた檸檬のように
君のいう何でもないよは嘘ばっか
ぴった ....
バス停まりエンジン止まり無言かな 季なし
.
夏の空ビードロの音鳴り響き
口の端に付く黒い点取り除き
紺空にパッと花輪が乱れ咲き
夏の夜の風物詩かな生ビール
祭明けまた燃え盛り乱れ咲く
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月 ....
似た人と視線の合いし祭かな
口の中イカいっぱいの祭かな
腰掛ける石垣の熱祭かな
噂では今年で終わる祭かな
似た人と二度すれ違う祭かな
襟元にフリルの浴衣祭かな
似た人の茶髪せつなき祭かな
....
歩むうち瞼閉じたる冬日かな
アーモンド舌噛んじゃった冬日かな
今旬の野菜たっぷり味噌雑煮
雪激し二人重なる夜激し
薄氷溶ける頃には夢叶う
おでん買いあの熱々を味わおう
おでんして最後の卵取り合って
破れたる恋色づける枯野かな
冷めたコーヒーおーけー
路地裏の神社隣の子供かな
炎昼を赤子の声で鳴く蝉や
誘蛾灯十枚の爪かかりけり
泳ぎきし手足を埋めて砂の城
真夜中の汗つま先へ到達す
扇風機ふいに大きく頷けり
蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
扇風機止めて静まる夜更けかな
街なかやフェイスタオルの落ちたまま
ゲラゲラと笑う珈琲夏来る