「誰とでも分け隔てなく接し、皆に優しくして、皆で仲良くしましょう」
……それが、小さい頃の正義だった。
嘘であるなどと疑うことすら知らなかった、あの頃の。
先 ....
同じ図書館は二つとないね
どの図書館も違う
引っ越したあとも使っていた
利用者カードの期限が来て
今度は更新できない
一度別れてしまった恋人の手や髪や唇には
二度と触れられないよう ....
さっと湯掻いただけのベニヤ板を抱えて
彼女は嫁いだ
雪ふって黒めだちたる景色かな
殺風景なガラス張りの待合室に覚える
独特な曖昧さを避けてみるのも一興と敢えて
乾いた風の吹き抜けるホームに佇んでみた
乗ろうとして乗らなかった準特急の走り去った先には
見覚えのある古い建物 ....
自転車で法定速度はこえられない/次のカーブを鋭く曲がる
風船に君の息が入っていく入っていく
やさしい すこし こわい
屋根裏でなくした白紙の古い絵本
握りつ ....
玉ねぎ カラナニ
あなたたまらに
あわをあまらに
やがてまとを見つめて
やがて
物に感情移入してしまうのは
馬鹿げているのかもしれないけれど
その物に関わったひとの心は
つながっていると思う
あの自転車を見るたび
泣いてるようにしか見えないから
三年以上
電信柱に寄 ....
床のない家に友達を招いて
余興で柔道の真似事をして
私が投げ飛ばされた途端に
床が抜けたので大変驚いた
あの棟では人が焼かれるそうです
薄い夜のカーテン 眠れるはずもなく
白い一筋の骨
私の白い手
どの{ルビHEART=心}をお買い求めなられますか?
全て
私が温かな気持ちの時に作り上げました
一品物に御座います
数には限りが御座います
欲しい方はお急ぎください
あなたの{ルビHEA ....
よだれでガビガビになった枕を
セクシーなはまぐりが
夜な夜な掃除しにきてくれる
やっと気がついた
わたしの恋愛は
あの時から止まっている
新しい世界に飛び込んでいくことと あなたのことばで
一度はすっきりしたのに
4年も会っていないの ....
俳優の香川照之さんが、正岡子規を演じるために15kgもの減量を行ったとのことだ。
NHKのスペシャルドラマ『坂の上の雲』で、主人公・正岡子規の末期の撮影に臨んでのことという。仕事の上のこととはい ....
非常階段で待ち合わせ
そんな滑稽さでもって
世界から逃げている
きみとわたし
日中の駐車場で
眩しいくらいに飛ばされた
二人の立体感が
遠い
ふれている間だけ
呼吸するのを諦 ....
夜ふらふら歩くあなた
いっぱい傷が見えるよ
それでも必死な笑顔
それはいらない
涙を貸すよ
思いっきり泣いてごらん
あなたの涙で種から芽が出るよ
朝よたよた歩くあなた
そんなに涙を ....
冬の野原の湾曲、の真ん中の真冬、あー。
残された記憶はもっと複雑、身体はまっすぐ、あー。
笑う声は、あー、行き止まり。
白樺の、あるいは、切断の、ずっと続く、あああー。
....
うさぎをどうやって救おう
名もなく死んでいくうさぎ
おびただしい数のうさぎ
うさぎは物音が怖いから
物音をたててはいけない
人の姿も怖いから
人の姿をしていてはいけない
そっと空気のよう ....
めっきり寒い。
起き抜けと寝る前が特に寒い。
おかげで半纏が欠かせない。
この半纏なる代物は頗る便利だ。
どんな服の上からでも簡単に着ることが出来るし、脱ぐのも簡単。まさに脱着自在 ....
年をとれば伴侶や子供がいて
不安を抱えても
誰かひとりでも勇気をくれる
女ひとり
佇む日々は
花としても晩年に差し掛かり
明るく見えた若かりし日々の栄光と
あ ....
惜しまれながら死んでゆく英雄に憧れた
俺は最終兵器になりたくて
生物史上最強になりたかった
何で波動拳が出せないのだろう
かめはめ波が出せないのだろう
せめて手から火が出ればいいのに
あぁ ....
やめてけろ
ひと恋しさにちゃちゃ入れた
わたしの思いを
やんわりと断つように
春の兆しは白い肩口の奥へと隠れた
厳しさだけではない冬の素顔を知ってから
流されるのとは異なる
自ら ....
蟻酸より不味い舌は蟹に喰わせろ!
イヌノミはネコノミより弱いのだ!
サーベルタイガーは牙が長すぎたのだ!
だからなんだ!
えいえい黙れ黙りやがれ黙らねーと
太陽のフレアにつっこむぞ!
暗黒 ....
美しいその森は
青く
半透明の管が這っている
踏み入れると
足の下で
古い管が壊れる音がする
管の中には
森の血液、シチューの色をしたものが流れている
それは遠い山の中 ....
駅のホームで
すこし優しくなれるのは
いつもとはちょっと違う場所で
電車を待っているから
いつもの道で
すこし優しくなれるのは
切りとられた空が
それは
それは青かったから
....
鼻唄で世界を救えたら
僕ら
憎みあうことなんて覚えなかった
争い事が苦手な僕らは憎むことにしたんだ
心の中だけで繰り広げられる戦争に
僅か
疑問を感じ始めた僕ら
ふと耳を
ふと鼓膜 ....
年がら年中ハラペコなオレにも生意気にキライなものがある
その一つが焼き鳥のホルモン系だ
今日何でキライなのかがわかった
まるで神様じゃん
思いどおりで
爆弾きょうれつだし
街ふっとんでるし
人間神様じゃん
も、見てるだけ
ネットで
昨日の悲しみも喜びも
お持ち帰りは出来ません
沈む夕日と一緒にばいばい
明日はどんな日に
なるのかな
帰ったの? 今年最後の「お疲れさま」
言わせてくれもしないみたい
知ってるよ あなたがわたしを思ってないこと
わざわざ態度でわからせない ....
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