光がとまどう
道の終わり
葉を迎える
土になる
時は無常にも過ぎてゆきますゆえ
おおきな流れを知って
現在地の私を知らなくてはなりません
息を静かにして
痛みの在りか
涙の在りか
かなしみの在りか
在りか
ひとときの微笑
つた ....
わたしの血は
青く青く沸騰し
ゆらめきながら立ちのぼり
はてしなく透きとおった
青をふらせた
しなだれた渇望のからだは
ゆく先のしれないおもいと
めまいの予感を内包していた
いよい ....
四肢を垂らし立ち尽くせば
卵は割られず何も加熱されず
窓硝子の北向け北に閉じ込められ
朝は有耶無耶のまま凝固した
無臭のお皿だけが、仄白い円形の
仄白い、せめても ....
爆弾は
言いたいことを言うと
爆発
することもなく
カラスミのスパゲッティを
平らげる
それって美味しいの?
爆発的に美味しいッス
それから
小春日和の日差しに
少し傾いた
丸い ....
なくのはオヤジだ
エンキドゥ
おまえじゃない
音の届くところには
光はない
光があるところには
ことばの木が茂り
キッコロ コリララ
生まれたばかりの
声がする
....
何か空腹を満たすものはないかと
見上げた空は午後だ
トンビがビルの屋上で踊る
薄色の羽根が舞い散る
猛禽が食らっているのは鳩
同族の羽根の降る中
広場ではポッポーとのんきに ....
誤解を解いてはいけない
それが誤解であることを知られてはいけない
誤解は誤解のままでなくてはいけない
誰にも打ち明けてはいけない
それが誤解であることはあなた以外が知っていてはいけない ....
中学生のころ
わたしはメガネっ子でした
似合うメガネっ子ならよかったけれど
かなしいことに似合わないメガネっ子
かなしいメガネっ子
コンタクトレンズが
こわくてでもほんとに視力がわるく ....
草むらを分け入ると
シジミチョウの群れが一斉に飛び出した
散りじりに空へ舞い上がる
小さな薄紫の花びらよ
先を行く 私の体にまとわり付いて
軽くなる体 ここは、春の国?
頬に触れる一匹の ....
夏の終わりをみんな
惜しんでるようだけど
おいらたちに
まかしときな
スッパイ夏つめこんで
あなたのコタツに届けます!
(2005深秋、解禁予定)
その大きな手は
いつもどこかにあって
5才の目には映らない
小さな手で
探し当てたのはシャツの端っこ
まよい子が迷子にならないように
届くはずがないと
街の底から見上げれば
と ....
亡くなった人の事
考える
最初に浮かぶのは
ごめんねって
言葉
いつも
いつもだ
きっと僕もいつかいくその日まで
ずっとそうだ
口をふさいだ人と
耳をふさいだ人が
ただ見詰め合ってる
目をふさいでいるぼくに
きみが教えてくれた
冷え性のきみの手が
ぼくの身体のどこかに触れていて
少し温かい
何も見な ....
くれないに
染まるさえずり
さそわれて
こぼれ実、赤く
影は、はばたき
天神様の 秋祭り
出掛ける空は 青高く
吹く風 先っぽ 心地良い
今日はおめかし リボンのついた
私の好きな 赤いワンピース
隣町の 天神様まで
お姉ちゃんに 手を引かれ
お ....
剥きにくい茹でたまごの殻を
無理やり剥いてやる
ボロボロに崩れた茹でたまごは
僕らの関係と一緒だな
つるんとした君の頬を愛したのは
遠い昔のお伽話
だから
「もう秋だなあ」なんて ....
倒れて佇む静かな兵士
鼓動も呼吸も途切れたままで
過酷な大地の腐敗は進む
スレンダーボディが自慢だった若い兵士は
その面影を微塵も残さなかった
生きていた証さえ残せなかった
彼と一緒に ....
私の夢は
気球に乗ること
みんなでね
みんなのお顔
ひとつひとつ笑ってる
金魚もハムスターも
みんなみんな
一緒にいた命は
みんなで笑ってる
みんなで気球に乗ろうね
こころ ....
兄、あるいは姉と呼ぶべき
生まれなかった命にむけて
もしかしたらこの時代は
貴方たちの手で変えられたかもしれないと
そんな期待を寄せるわたしは
我が侭だとわかっています
....
じっくり
と
ゆったり
と
間延びした
と
きを巻き取り
一日が静かに
暮れていく
出番を待ちかねた
まんまる
の
ほころび
が青白く
煌煌
....
あなたはよく熱を出して
自分できづかないでいるので
いつも僕は
こっそりとあなたのひたいをひやす
あなたがきづかないままで
また
まっしろな
あのベランダに 立てるように
....
思い返せば僕にも「青春」と呼べる時期はあった。新宿・歌舞伎
町で地面にダンボールを敷き、夜明けの始発の時刻に僕等は立ち上
がり、それぞれの現実に向かって歩き出し、駅の改札で互いの手を
打ち鳴ら ....
風のかたちになりたいのです
なのに
縫いつけておいたはずの秋風が
かたちをうばいました
(ほたる 湯けむり はぐれ雲)
うばわれたと思ったのは勘違いでした
かたちがない ....
救急車が来ない。
だから、
ないてみた。
ぴぃーぽー。
ぴぃーぽぉー。
ぴぃーぽー。
ぴぃーぽぉー。
救急車は来ない。
周りには、
こんな ....
戸惑いがちな指先で
そっと書いた「の」の字たち
あの その
真っ直ぐ言えないことだから
くるりと曲がってしまうんだ
その あの
「僕の好きな君の
好きな僕でいさせて下 ....
我ひとり凛と咲きたるケイトウの立ち姿に見る揺るぎなき赤
夕焼けを映して林檎の色づいて食むる乙女の頬にうす紅
ひそやかな紅き花よと見惚れたる君のまなざし吾もまた乞う
い ....
消波ブロックを頂点にして
対角線をさがしている
フェリーが防波堤の方向を変える
ほうっ! 波!
二等辺三角形だ!
囓る
足の指を囓る
囓る
猫の額を囓る
囓る
柱の傷を囓る
囓る
カレンダーの空白を囓る
囓る
固まった真実の躯を囓る
囓る
惚けたふりをする耳を囓る
囓る
駅のホー ....
秋桜揺れる
秋揺れて
風の彼岸を見渡せば
時の遥かに思い出揺れて
塩辛い川面に光注げば
懐かしく
哀しく
かの人は手を振る
道を分かちて
生きた君
人のか ....
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