今、生きている人間が必ず1度は経験する事柄があります。
全員、おしなべて、例外なく、絶対に、です。
それは、
この世に生まれる事と死ぬ事です。
人は誰でも、必ず親から生まれたから生きて ....
いい空を見たいと人がいう時
わるい空は排除されている
いい空が見たいと人が公言するときの
その犬歯に残る血を見るといい
いい空がみたいの大合唱は
たくさんの空を噛みきった ....
イカサマでも 幻でも
生きてゆける世の中で
君はきっと あの雲の上
泳いでいったのさ
走れば風も吹くし
流れは穏やかだよ
振り返れば
いつの間にか花が咲いていた
君の話をしよう ....
恋人は、詩を書く人と走る人
ふたりはお互いを知らない
わたしは詩を書く人と暮らしている
わたしは詩を書く人のために食事をつくる
詩を書く人はとてもきれいに日々を食べているので
....
街は、宣伝する車の謳い文句と、気にも止めない通行人を生贄にして
せり上がる暑さよりも、乾いた空虚さを従えていたので
僕等は、長い橋の上からきらめく水面を眺めている。
そこにありもしない目印を探し ....
真実ってやつは意外に恐くはありませんから
奥さんそんなに心配なさらないで
どうか思い切って身を任せて
まんまるの球におなりなさいな
なあに恐いばかりが鬼じゃありません
ときには家事のことなん ....
窓ガラスがかたかたと鳴るのは
風のせいではない
カーテンが明るさに焦げているのは
西日のせいではない
窓に背を向けて本を読み続ける
誰かが肩に手を置く
焦げた風が髪をちぢらせる臭い ....
真夜中に笛を吹くと蛇が来るよ
死んだお婆ちゃんは
いつもそう言っていたけど
んじゃ
真夜中にディジュリドゥ吹いたら
一体何がくるんだろう
試しに吹いてみたら
隣の家のダンナさんが ....
ああやっと見つけたお前はそんなところにいろ
ドアを開けたり閉めたりして
出たり入ったりしろ
振りほどいた手は振りほどきっぱなし
アクセルを踏んでブレーキ
両手でつかめるものは ....
ところで
夕暮れはもう間近に迫り
みんな精一杯に迷っているので
その足元を照らす明かりも
その足で踏みしめているものも
記憶は近さも見せないくらいに
空で燻るものだから
こうやって今日も ....
ねえいま
花瓶の水が
静かに動いて
グラジオラスの茎を
そっとなでたのをみましたか
そう まるで
首筋のキスでした
....
ひらがなを覚えたのは
褒めてほしかったから
泣かなかったのは
泣けなかったから
望まないのは
叶わないのが怖かったから
受け入れられないのが
受け止められないのが
拒絶され ....
全国から観光客がえっさほいさとやってくる
そんな地元の夏祭り
北の短い夏だからこそエネルギー爆発!
なんていうキャッチフレーズ
どうなのかなあ
どうだっていいけど最近ずいぶん積雪量も減りまし ....
2.4インチの覗き窓から
フォーラムの様子を覗くと
姿かたちは一切弾き飛ばされて
創ろうとする心模様が
際立って見えてくる
格好なんか気にしない
生まれたて ....
オレンジ色の光が長い影を作って
ひび割れたアスファルトに 残る
赤いランドセルが自慢
こんなに綺麗に使っていたのは私だけだったから
なのに もうこんなに汚れてしまったのね
引っ掻 ....
夥しい夥しい直射日光で
アスファルトの明度が振り切れ
真昼は真っ白い暴力だ
私は激しい夢うつつに陥り
液化してゆくアイスキャンディを見下ろしても
何を思えばいいのか何も何もわ ....
ずっと
胸のエンブレムを隠して生きてきた
正義のヒーローが
ひとりいた
今どき分りやすい悪なんて
そこらそんじょに転がってるもんじゃないし
ギターが弾けたらよかったのに
古 ....
私の葬式がささやかに執り行われ
友人らが久しぶりに集まった
青空には透明な道が果てしなく続き
新緑に人々の喪服が映えて美しかった
一滴の涙も流されず むしろ
想い出を懐かしむ声で
小さな式 ....
十六歳の感傷に腰掛けて
ぼくは詩を書き始めた
ぼくの孤独といえば
せいぜいコップ一杯分の涙ほどしかなかったけれど
二十億光年の彼方の星からの引力で
コップの水が波立つことを幻想するのだっ ....
ぷっつりと、切れて
そこでなくなってしまうのかしら。
目の前から消えてしまって
跡形もなくて
想いだけが残ってしまったら
それは、とてもつらいんじゃないかしら。
あなた ....
それを少女は
みなに内緒にして
草むらのなかを
さがしていたんだ
川につらなる
あたらしい蜘蛛たちは
糸に針とえさをつけて
釣りをしていたり
雲のなかでは
ニンジンをぶら ....
ゴシゴシと
ゴシゴシゴシッとこするのは
やんちゃ亭主のつみなき笑顔
よっこらしょ
どっこらしょっと空仰ぎ
にらみつけるは家出息子
ルンルンと
....
気がつけばいつも
君はそこに立っている
君は待つ
遠くに地鳴りを聞きながら
まだ秋には早い日
目の前をつうっと
赤とんぼが通り過ぎていく
同じ高さにある地平線を目指し
旅立っていっ ....
「Wrist cut」
君の手のそれ
あてやかにひかっている
君の手のそれ
嗜虐的であり
感傷的である
君の手のそれ
悲しみと衝動を
半分ずつ混ぜて
うっすらとはっきりと
線を引いた。
....
しあわせは
すりぬける風
ひとときのやすらぎ
明日のことは
わからない
しあわせは
すくいあげた水
たやすくこぼれるけれど
歩けるぶんだけ
あればいい
....
悔し紛れの薄闇は
投げつけた卵の黄身のなかにかくれた
まだ夜は知らない
夕焼けばかり見ている
今日はもう帰らない
ビビッドは細胞を壊すの
今日はもう帰らない
太陽 ....
ジャンボと呼ばれて
恥ずかしそうに
笑顔を向ける
強いプロレスラー
無敵なのはブリキのクルマ
強すぎる季節限定の清涼飲料水が
宣伝中の富くじ
裸でも過ごせる夏は
死人が ....
出会いがしらに、
さようならっていい言葉やね
とあなたは云った
空は低く銀杏の木だけが一本高く見える
出会いがしらにいってくれて助けられた気がして
知り合いへの手紙を破った、日
高見を目指す為に
飛ぶ為に
沈み込む事もあるだろう
墜ちる事を目的とは決してせず
重力に翻弄されるようなものでなく
沈むなら
堕ちるくらいなら
闇を突き破る勢いで跳べ
心底闇 ....
パパが怒って
僕のハーモニカを曲げてしまった
銀色と水色のハーモニカは
真ん中あたりで
ぐにゃり
と曲がっていた
幼稚園生の僕は
今度
新しくハーモニカ ....
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