体のことを思えよ
おれの
体のことを
体のことを思うよ
おまえの
体のことを
体がいいから
おれたちの
体がいいから
おまえの肌のきめを
北から ....
背後から抱きしめられる気配が
して
「だぁれだ?」
そんなのあなたに決まっているのに
他のだれかを想像してみる
雪の降らなかった今年の冬を
ひとりで歩いてみた
行き先なんか
決めた ....
ふと気がつけば
後ろ手の冬
雪の匂いも薄らいで
それとは知らず
陽をまとい
季節は
追い越せないものだとばかり
待ち続けてきたけれど
いつの間にやら
景色は流れて
....
木彫りのゴリラを作った
魂をこめたつもりが
こもったのは悲しみだった
真夜中彼はがんがん胸を叩いて吠える
号泣だ
朝、机の上の涙の水溜りに半べそでモップかけてる
あんまりか ....
ああ。やっぱしね
唐組のエンディングって
こうじゃなくっちゃ
唐組第38回公演「透明人間」千秋楽
ぽっかりと開いた夜の闇に
石灯籠の怪しい灯火
唐さんのおはこだよね
花園神社でも鬼子母神 ....
隔たりを埋めるために
どこまでもどこまでも下ってやるんだと思っている
今数々の生き物たちと別れを告げて
新しい出会いと別れという
いわゆるお涙頂戴を繰り返しながら
たまに ....
咳をしたらたまたま側にいた
隣の課のえむさんが
フルーツのど飴をくれた
えむさんがフルーツのど飴を好きだなんて
初めて知った
えむさんは僕より十歳くらい下の女の子だけど
背は僕より十セ ....
さいはての地にふりつむ雪のごとく君と重ねる想いは純白
車窓より眺める赤のグラデーション眠れる君の夢に届ける
冬景色 北国の海 雪と星 その中にいる君と私と
ゆるや ....
背中がまがっているよ
葉巻が落ちたよ
おじいちゃん
手を 貸すよ
おじいちゃん
買い物のビニール袋が
たくさんだよ
おばあちゃん
手を 貸すよ
おばあちゃん
....
さいきん
足先がむずむずする
春は
あと何日でくるのだろう
車座になって
くちぶえの練習をして
それが時折
ふってくるのだ
うらはらに
さむいひが つづいて
....
もう今さら
言いたいことなんてないし
毎日
言いたいことばかりで
今は
それと同じ
「冷たい」なんて
言われたことがなかった
反論も
きっとできる
でも 自信がないのは
....
二十三年間生きてきたのに
おめでとうのひとつも
満足に言えない
そのことについて
頬杖をついて考える
一人で
室内で吐く息は白い
ストーブは足元ばかりを熱くする
家 ....
たまねぎを刻むと涙が出る
それにかこつけて
少し本気で泣いてみる
そうして
矢張りわたしは
要らない子かも知れないと思う
だけど午前の台所は
悲劇ごっこをするには明るすぎるし
誰かを想 ....
☆
そろそろ着陸する
と云うので
五人の宇宙飛行士たちは
めいめい
色鉛筆や携帯電話や文庫本やマニキュアなどをしまい
いやいやながらも手をつないで
着陸に備えた
しかしそれ ....
校庭で担任の先生が
カマボコを食べ続けている
僕らのささやかな幸せを願っている
その向こうの少し遠いところには生家があって
大きな窓から僕の可哀想なお父さんが
目を瞑っているのが見える
....
どうやら焦燥感
と云う一種の熱病にかかってしまったらしい
くるったように息を切らしながら
朝から晩まで自転車で
ぐるぐると円を描きつづけている
進むのは
まっすぐでなければ
どこにも行き ....
どうやら先日から
天井裏に
ねずみよりも大きくて
鳥よりも小さい何かの動物が住みついたらしい
夜になるとばたばたと走り回って
うるさいことこの上ない
ただ不思議なのは
わたしの真上で必ず ....
夜がほの蒼いのは
雪が舞っているから
すこし窓を開けて
吐息が白く夜気に放たれ
雪と交わるのをながめる
手を延ばせば舞いおりて
けれどその冷たさは
触れるまもなく掌に溶け ....
・
友人に
擬態する癖のある女がいる
よく家の中で
かくれんぼうをする
二人で
わたしが鬼で
十数えて振り返ると
家の中はしいんとして
空気がうす青い
百年前からこうし ....
うすずみ色の空はひくく
ピアノ線を地におろし
哀しみという歌をかなでる
さえずる鳥さえもいない
こんな午後は
暴かれてしまうことをおそれて
いくどもたしかめた肌の ....
戦争のあとにはいつも
殺されなかった死体が転がっている
それが君の言うところの
正しさなのだろう
ぱたりと本を閉じる
車窓の外へと目を移せば
淡い色の田畑が広がっている
「次 ....
長い夜の
ゆめとうつつの狭間で
わたしたちは
何度もたしかめあって
疲れはてて
耳元で
あなたの鼓動を聴いて
おなじ速さで脈打つ
長い夜だから
そんな時間がふえて
すこし持 ....
花瓶の中の水曜日は
ゆっくりとながれてゆく
水のように透き通って
ざらついた日々が
回覧板にぶらさがってる
今はビニールの袋に音もなくおさまっている
でもそれも
ちりぢりになった ....
振り返る
後ろから来る君がはぐれないか
振り返ること
振り返る
君がいなくても
他にはぐれた人がいないか
振り返ること
多分そんなことを教わったのだと思う
それが本当の愛な ....
少年と少女のささやきが
午後いっぱいの光をあびて
牛になる
と、牛飼いの男がやって来て
どこかに連れて行ってしまう
もう少年も少女の
ささやきはしない
語られる愛と
愛に似たものは
....
わたしの中を
夜の明ける方へと飛ぶ
一羽の鳥がいる
同じころ
一羽の鳥の中を
どこまでも墜落する
わたしがいるのだ
その日最初の列車が
古い踏切を通過していく
建物の窓はひとつ
ま ....
小さな女の子が俺に
だじゃもん ちょうだいっていう
だじゃもん ほしいっていう
だじゃもん ねえ だじゃもん
だじゃもん ちょうだい
だじゃもん ほしい
そういわれ ....
しかしまあどうだ今朝のこの赤ん坊っぷりは
何にも考えてない
何にも考えてないで
シャウトしてるぜ
オパポー
オパポー
おぱぽう
おはようじゃなくて
おぱぽうだ
....
棍棒を
作った
オークの
頭四キロの
素振りを
ずっとしてた
だってお前が
怖がるから
引っ越した家は
夜少し静か過ぎて
お前が怖がるから
まあ実は俺 ....
大好きって
それは響きだ
大好きだなんて
叫ばなきゃ良かった
声に出さずに
叫ばなきゃ良かった
声に出して
叫んでいたら
きっと俺は
ここにはいないし ....
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