1.
先を急げば
見失うものが沢山あるけど
先回りして
待つのもいいかな
なんて思うこともある
2.
夏の日の雲は
柔らかくて大きくて
わたしの悩み事 ....
眠りの中心にたたずむ
黒いしずかな球
その球を無垢な白い身体で抱きしめて
いつまでも眠っているのは誰だろう
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
いってらっしゃい
と手を振り
別々の時間が始まる
あなたは電車に揺られて会社へと向かい
わたしは洗濯をはじめる
あなたはお昼頃わたしを思い出し
1時にはわたしを忘れる
わ ....
六月の
曖昧な空の下
白くたたずむ部屋
横たわる私の身体から
刻一刻と
鼓動がこぼれ落ちる
けだるい指で
クロニクルのページを繰る
季節は私には
いつも晩くやってくる
忘却 ....
知らない足音がわたしたちを追い越し
立ち止まっていることに気づく
群れるものたちのすべてが
居場所を持っているように見えて
小さな声でいることに
少しだけ疲れて
彩られた樹木たち ....
地球はもうかれこれ数十億歳で
あたしは未だ 齢十二歳
誰も憶えてない位永い 永い惑星の歴史に比べたら
あたしの歴史なんてずっと 浅い 浅い
其んなもので誰かの胸に
....
目の前を何回か通り過ぎたと思ったら
いつのまにか腕の中にいた
陽だまりのなか
生まれた熱をくるむようにして
うっとりと瞳を閉じたのは僕の方だった
男は長い間カバンの中に住んでいたが
ある日旅をすることにした
もちろんカバンを忘れなかった
昼間は旅を続け
夜になるとカバンの中で寝た
朝起きると同じ場所にいることもあったし
誰かの手 ....
僕は誰よりもはやく
今朝を発見したかった
遮光された窓の外を
僕の両足だけが駈けてゆく
(街と空は素顔で目覚め
朝陽からは人々の匂いがします)
あなたを愛することがなければ
たぶん一生知らずに済んだこと
せつないという言葉の重さ
罪を背負って生きていく苦悩
夜ごと幻影に抱か ....
きれいに別れたりすると
あとで尾を引いて苦しいなんて
そんなこと
もっと早くに教えてよ
そうしたら
最後の夜
あんなに強がることなく
あの人の胸にすがって
どこまでもぶざまに泣いた ....
照りつける
俺の青春に
麦茶くれ
自分の心の強さは
人並み以上のものだと
ずっと過信していたこと
笑顔であなたを見送った後は
すべてを思い出にかえて
元気に生きていけるはずだと
強引に思いこんでいたこと
わたしと ....
そこから先には進めないときがある
そのたびに思い出す風景があって
背中の方から温もりを感じながらも
とても不安そうな少年の瞳に
問いかけられた言葉
飲み込めないまま
風にも ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった
少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
はっぱをめくればなめくじ
みんなにきらわれて
しおをまかれたりする
おまえなめくじ
うまれてからずっと
からだじゅうでないている
おれだっておなじ
みんなにきらわれて ....
生まれ変わったら何になる?
いつかそう聞いたのはあなたです
あなたが
パンダになるのなら
わたしも
必ずパンダになります
あたたかい陽だまりで
あなたに寄り添って
新しい命を育 ....
ポストになりたくて男は
ポストの隣に立ち大きく口を開けた
ご丁寧に首から
「本物のポストです」
と札もぶら下げてみた
けれど誰も手紙を入れてはくれない
華やかに装った初老の女性も
....
ふらふらと
おんなの肌へ
手のふれて
母さん僕は
あなたの子供であることを何度
嫌味っぽく言ったかしれない
似ていると感じるほどに
それを振り払うような喧嘩を何度
繰り返したかしれない
そんな母が
「田舎に帰 ....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
玉ねぎが自分で自分の皮をむいている
オレハ ドコニイルノダロウ
いくらむいても自分は出てこない
それでも玉ねぎは自分をむき続ける
オレハ イッタイ ドコニイルンダ
その間 ....
今夜のごはんは牛丼よ
しかもコンビニお弁当
明日の朝のミルクを買って
部屋に着いたら
はい トイレ
今日の練習キツかったから
便座でため息
ふー
風呂をわかして
TVをつけたら
こ ....
どこかですれ違っているとしても
ただほんの少しの我がままで
月が昇るまで、
朝陽が昇るまで、を繰り返した
無言の目が
今にも刺さりそうなほど
すれすれに突きつけて
僕はそれを見ないふ ....
幼い頃見た空色は、濁りの青になった
僕らが居た空地は、駐車場になってた
窓をのぞく景色は、灰色の建造ばかり
背伸びし手を伸ばした、あの母の頭は
地上160.12cm見下ろせる高さになった
....
生真面目にあいさつ交わすその影にほほ笑み潜むデスク前にて
ためいきは貴方の家庭(うち)に置いてきて私の前ではヒーローでいて
バブル期の企業戦士は家も見ず寝る間も惜しんで女を抱いた
....
きみといくなら奈良
ぼくとなら恐くない鹿
奈良の鹿
奈良ならではの鹿
奈良でしか見れない鹿
柵越しに鹿
見てることしか
できなかったならなおさら
触 ....
すすんでゆく先には
行間が待っていて
いつも 立ちどまってしまう
深呼吸、する
( ふかく、ふかく、吸って、
( ゆっくり、ゆっくり、吐いて、
ふりかえる
ふりか ....
部屋の中で素振りをしていると
外は激しい雨が降っていて
どこかとても遠いところから
僕の知らない動物の鳴き声が聞こえる
シマウマはたてがみも縞模様なのだと
テレビ番組でやっていた ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43