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夏の
体の
着衣のまわりくどさを
一枚、一枚、可愛がるように
指でしか剥ぎ取れぬ熱を
一枚ずつ剥ぎ取ってきました


あ、
そういえば、
非常階 ....
正確な、正確な、階段を
カン、カン、落下、してゆく音で
冬の風が半音上がって
度重なる半音分の痛みが次々に
刺さっては馴染んでゆくこめかみ
更に
視覚
という切れ目へと
 ....
何かを待つ
ということは
何もしていないことに酷似している
と、感じて
せめて俯いた
アスファルトが好きです、って目つきで


いま
手のひら
差し入れたポケットが
 ....
繰り返される
果実の落下・落下・落下、の
地面で重複してゆく破裂の匂い


それだけを呼吸し、それだけを呼吸したら
わざと気化したくなるほどの、それはひとつの悦びか
 ....
どうしても肌寒い蟋蟀質の摩擦によって
むしろ冷却されるわたしたちは概ね
低温のまま一生を終える腹部だ


脆い部分からアルコール消毒されてゆき
ついには殺虫されてしいんとす ....
四肢を垂らし立ち尽くせば
卵は割られず何も加熱されず
窓硝子の北向け北に閉じ込められ
朝は有耶無耶のまま凝固した
無臭のお皿だけが、仄白い円形の
仄白い、せめても ....
空の瓶が
割れない、音
そして
割れる、音
そして
割れた、音


さ、ゆう、


往復の波で揺れるのは
左右の、
暗い曲線の、
たったふたつの、耳
 ....
しっとり、これは
濡れるために、素足


群れる草の土に冷たく踏み入り
行き場を失くしたことのない、
何処にも行かない、素足でした、濡れるために


こっそり、あれは ....
聞こえなくなる直前の耳に聞こえる
鈴虫の羽が散らす美しい高音の点線に沿って
無数の枝が折れてゆく、無数の枝が折れてゆき
その微細な山折りと谷折り、その隙間から
水と ....
窓の
繊細な網目を透過し
すらすらと寝室の私の乳房へ浸透するのは
透明すぎるから、透明すぎるからです
空気中の夜
に含まれる鈴の
リ…
その中には、鈴、それは
リリ…
 ....
雨は降っていなかったけれど
カラカラ
空き缶を蹴った音はした。
爪先が乾いた咳をしたようだったけれど
本当は内臓みたいに湿っていた。
缶の暗い口から
暗い液体がアスファルトに垂 ....
第三公園にて
子供たちの遊びがバタリと終わり
夕刻が全く遊びではなくなったころ
通称・動物公園、を
理解できずに正しく第三公園と呼んでいたら
わたしの待ち合わせだけが上手くゆかないまま
わ ....
残暑が、高らかな色彩吐露を
自ら慎みはじめている
少しでもぶり返せばそれは
奇声、とひとことで片付けられる


薬を拒んでも、夏は引いてゆき
もう夏風邪とは呼べない何かと ....
未だ硬い、既に確かな
夏でもない、秋でもない、果実で
深緑は
瀕死であることを理解している


見上げれば、ひとつの一秒が
高速で遠のいてゆく
わたしは、何に対しても連 ....
例えば、ゆるゆる喉を下る
ぬるい水、ひとかたまり
心臓を掠めそうで掠めない
何処にも、何も、満ちない


真昼を怠りたくて怠る身体では
空ろまで無気力な
ほら、 ....
灯りを付けない夕刻の
人のいない部屋の沢山の影が
角からふやけて
海になってゆく、深い、暗い
海になってゆく


肺に溜まる海って
苦しいよね、でも
呼吸と引き換えだ ....
あの夏の指は
空き地の夏草で切れ
薄っすら汗滲む指紋にぽつ、と赤く
劇的に熟してゆく果実を携えたように


あの夏の指は
空き地の夏草で切れ
何処にも行かないという約束 ....
すれ違った自転車の子供を
振り返る


白線が
鮮明に割き続ける
通学路だったアスファルトから
子供たちの声が古いものから順に遠のいてゆく


肌で増殖する蝉の羽の ....
花火だとか祭りだとかその類の
絵柄を下にして
団扇を伏せるという其の場凌ぎの隠滅法は
やけた畳の匂いがします
だから
私の脈拍が夏風邪に飛び降ります


溶け果てた氷枕の代 ....
夥しい夥しい直射日光で
アスファルトの明度が振り切れ
真昼は真っ白い暴力だ
私は激しい夢うつつに陥り
液化してゆくアイスキャンディを見下ろしても
何を思えばいいのか何も何もわ ....
一度切りの湾曲をとうに終え
錆び果てたガードレールは死んだように安堵している
その影に紛れた舗道の一部は黒々と陥没し消滅している


その上空を傷付ける有刺鉄線、私ではな ....
tonpekepさんのA道化さんおすすめリスト(21)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
脱衣録- A道化自由詩2506-7-27
通過電車- A道化自由詩1306-2-19
自然淘汰、ポケットの- A道化自由詩1306-1-7
悦楽連鎖- A道化自由詩8*05-10-6
蟋蟀の骨- A道化自由詩1205-10-3
台所事情- A道化自由詩605-9-28
耳呼吸- A道化自由詩805-9-12
ビューティフル- A道化自由詩1905-9-12
背骨の復讐- A道化自由詩905-9-10
からだの鈴- A道化自由詩705-9-7
ビニルシート- A道化自由詩5*05-9-7
第三公園にて- A道化自由詩1305-9-4
密告日和- A道化自由詩1305-9-2
愛おしい密葬- A道化自由詩1405-8-29
- A道化自由詩1205-8-19
可笑しな話- A道化自由詩1105-8-6
果実症- A道化自由詩1005-8-4
真夏淘汰- A道化自由詩1705-8-1
夏籠- A道化自由詩1005-7-24
激しい白昼夢- A道化自由詩13*05-7-19
あるカーブで- A道化自由詩3204-10-8

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