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さいはての地にふりつむ雪のごとく君と重ねる想いは純白
車窓より眺める赤のグラデーション眠れる君の夢に届ける
冬景色 北国の海 雪と星 その中にいる君と私と
ゆるや ....
水深5キロメートルの恋に落ち プールサイドで墜落する午後
砂浜の午睡からうつら目を覚まし すいかの縞の波に溺れる
ピーラーで削がれ半裸になりしきみ 水にさらせば ....
満たされぬくらいでちょうどいい恋を笑えるほどの余裕もなくて
降りそそぐ陽射しの下で抱かれたい滴り落ちる果汁のように
日没を待ち侘びながら夕化粧君の前ではオンナでいよう
短 ....
清さこそ、いやらしいとは思わない?若い和尚の鼻梁にみとれて
アルコール分量わざと間違えて きょう 今 あなたに{ルビ手=た}折られたくて
ガールという字面で服を ....
戒律
日曜の教会の君の白い指若い和尚の無駄なき仕草
口移しそうっとくれたマシュマロは口に出してはいけない祈り
まっすぐな背中や胸を這い回る無意味な戒律汝犯せよ
....
小さな人が困った顔をしていた、きっと困っていたと思う
ケチャップでしょうかマヨネーズでしょうか幸せにいつも足りないのは
君と手を繋ぎ星空を眺めていた一面のペンギン畑
自転 ....
(ここでは宇宙をスプと言います)
最前列右の左のスプを見た見たもの全て衛星で死亡
(ここでは宇宙をンと言います)
ンの声がロケット破壊しつくしてβ・γ線上の{ルビAir=アリア}
....
木漏れ日がもしも零れて落ちたなら
享けとめるためまつ毛をカール
ハリウッドの女優気分で歩こうか秋色緋色の絨毯の上
空高く群れる羊を追いかけて風の尻尾を捕ま ....
我ひとり凛と咲きたるケイトウの立ち姿に見る揺るぎなき赤
夕焼けを映して林檎の色づいて食むる乙女の頬にうす紅
ひそやかな紅き花よと見惚れたる君のまなざし吾もまた乞う
い ....
爆弾を我が身に纏って散り果てぬそれを正義と笑わせやがる
見上げればおんなじ色のはずなのに我らの空もイラクの空も
銃口に面と向かったその時に「万歳!」なんてぜったい言えない
....
一点の翳りも見えぬ空の下白さを競う百合とTシャツ
軒下でチリリと唄うびーどろは風に撫でられ恋を煩う
結い上げた髪にかんざし挿してみる すこし淫らなおんなを気取る
誰がため ....
日に満ちた電車はそっと風になり火照ったほほをすりよせてゆく
夏に包まれた海の底の席で車掌が居眠りしつづけている
唇のはしからはじまる熱気にもあたたかないばら胸に ....
金魚鉢かすめる涼風の行方知ってか知らずか手招きの夏
逝く春の背中押しつつ背中からはじまるアブラゼミの{ルビ時間=いのち}よ
きみがたわむれてた波ならひとすくい両手ですくって ....
よちよちとあどけなき手に握られた小菊の束はあさつゆに濡れ
街かどに伽羅のかほりの漂ひて白き日傘に蝉時雨のふる
いま何処におはしますやら彼の人の辿るゆくへは菩薩か修羅か
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きみがさかなになる週末さしのべた指さえ背びれの端かすめゆく
「あいしてる」吐き出す泡の数かぞえ「さようなら」にも見まごう深み
すべての色が吸収され青だけが残る孤独に想いを置 ....
生真面目にあいさつ交わすその影にほほ笑み潜むデスク前にて
ためいきは貴方の家庭(うち)に置いてきて私の前ではヒーローでいて
バブル期の企業戦士は家も見ず寝る間も惜しんで女を抱いた
....
もう大人になった気がして二本足で立つことにした誕生日
「生命線を持って生まれたかった」スクラップされていくロボット
大福だと思って食べたら素甘だったという悲しみを背負う
....
ガソリンスタンドで働く父のために埠頭で釣りをする母
サンドウィッチにはさまれたクラゲがただ干からびていくのを待ってる
ヒツジの皮を被ったケダモノだが牙はすでに抜かれてし ....
嬉々として初夏の陽気を真似てまで我が玉肌を見たいか春よ