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鍵を掛けたかどうかを忘れて
それでもここまで来てしまった
世界の青は静かに落下して
戻れない道の重なりにいる

昔の話をしようか
言葉でしか帰れない、場所がある
こんなにも遠い西の果てで ....
粛然として初夏は重なり
カーテンを引く
夏の重さは水面を広げる
わたしたちは口止めをされている
沖の方では服を脱ぐようにして
海の肌が見える
わたしはあなたが好きだっていうことを
莫迦み ....
思い出だけで終わらないために
日々は刻まれて
小さく、はらりと落ちていきそうなものが
私の中で対流している

一番最後の麦藁帽子が
夏の見える丘の、少し西の辺りを
沈んでいった日のことを ....
空を
携帯の画面で切り取る。


目蓋の裏に
きみの姿を思い描く。


会いたい、と
簡単な一言が云えなくて
切り取った空を送る。
デジタルな言葉は
正確に届くとは限ら ....
私とあなたの間には 
いつも一枚の窓があり 
互いは違う顔でありながら 
窓には不思議と似た人の顔が映る 

私とあなたの間には 
いつも一輪の花の幻があり  * 
互いの間にみつめると ....
早朝の
夜が やっと明け始めるころ
眠りから覚めた
鳥たちが挨拶を交わし始めるころ
色白の
肌が青白く影を帯び始めるころ
私は、

私自身の気配にかすかな境界を感じ
縁側でぽつねんと ....
岩木山の
奇妙に底抜けた反射が
冬の林檎樹を
切り絵の風景にする
小泊に向かう一本道のそばで
その昔、十三の湊が
あったという
巨きな黒鏡が夜を
地吹きの中で待っていて
ため息を飲み ....
夜が ひろがり
のばしきった 手のさきに
星をつける
道から はずれたひとが
砂に ぬかずいている
柔らかで重い
透明感の海の内臓にて
夏に恵まれたくらげが
水に還ってゆきます、あらゆるくらげが
水に還ってゆきます


(出会えた。だから、
(ええ、だから、お別れしなくて ....
言葉を乗せた花びらの
来る上空から
甘い香りが立ち込めて
手の平は夢遊にひらめき
高く 高く 開くよ


ワタクシの生きた
気の上で回れ 花吹雪


ら行は霞んだ空を瑠璃色に ....
 あなたの瞳に映っている森が

 あまりにも美しく澄んでいたから

 僕はあなたの瞳を押し開いて

 中へ入っていった

 あなたは目の前にいた僕を見失って

 慌てふためいている ....
朝の空気の
光に濡れた
清々しい香気に、
私の五感はしとしとと沈み{ルビ水面=みなも}をみあげる重く熟した金属の愁い。

空間をよぎる
不透明な視線は、
無知な陽炎となってさえずり虚空を ....
岬の先の夕暮れ
小さな星を示して
十光年離れているから
あれは十年前の光だ
と、言う君は
教科書のようだ

でも今見えている星は
そのまま今
の、{ルビ一番星=シリウス}

足摺 ....
わたしのカラダ。
植物のツタのようにほそくねじれて、
せかいの天蓋にむけて、
のびていきます。

くるぶしまでのひたる水。
は さざなみのように、
わたしをすくめ。

日のひかりいっ ....
春の底に吐息する
ヒナゲシの色彩の
ポッ、と尽きて灰になる予感に
逆らわず、半音ずつ春の底へ
半音ずつ春の底へ、身を委ね、静まる
少女のスカートがフレアを
静か ....
ほら
徐々に白昼は
朗らかな華やかな他人となり
朗らかに、華やかに
高くなり
遠くなり


ずっと
最適な肌へ
熱を当てそこない続ける私の体の
どうしようもなく密 ....
音の一粒
音の一群
森のむこうに見える森
壊れた城も 偽りの城も
ほんとうの城も遠すぎる



風を浴びて立ちつくし
地図の上の文字に眩む
なんのつながりもなく
 ....
ただよって ふかく 
抱かれて ひろがり
水となって しかし
すべてを忘れ 風の   
かなたで あふれる
ある五月
限りある少女の果樹園は
体中で太陽を吸い
体中で緑を吐きました


太陽へ、よりも、体へ
そう、太陽を忘れたときに最も太陽由来になる体へ、体へ、
の感嘆が ....
言葉の無い場所から
降るむらさき
雪になっていく雨



きらめく細い
棘の氷
原を埋める
雲と同じ色たち



誰かに向けられた心と
他者のための方程式
絵 ....
少しづつ はぐれるようにして
息のつけるところまで
霧雨が 庇う様だ

陽射しが吠えていた 
ハンドル握りながら
ひとすじの 血脈が
太陽に かかると思っていた

そして 同じくらい ....
ヴィレブロルト・スネルは己の運命も未来も悟りはしなかった。
しかし光は己の運命を知っていた。

もっとも速くあれ

それが光の命題であり運命であり
屈折しても反射しても散乱しても構わなかっ ....
序列と権威から遠く
(そうであることが必要だった)
ぼくは夢の ドミノたおしの黒幕を
暗殺するため たったひとつの武器である
ことばを 自分自身へ向けたのであった 
それがどこから降っているのか
何時やむのか
今がいつなのかもわからない黒い雨

傘の中に閉じ込められた
空気の湿った匂い

耳を塞がれた胎児のように
雨に打たれたまま眠っていれば
だ ....
目が覚めても何かと手を繋いでる感覚があった、確かにあの頃は。



拾い集めて繋げた
羽根で決して明日に
辿りつかなかったのは
少し汚れていたせいじゃない


「ひみつ」という言葉 ....
薄曇りの空がからだを湿らせるだけの
ちっぽけな夜だから追いかけてみる

西の地平に月

最後に沈んだ
星の名を知らない、と
静かに胸に沈めた備忘録

    この体は赤道儀だ
   ....
遠い
いつになく
ほそく笑む
青ざめている唇に
小指で すっと紅をさす
星は 、
籠の小鳥と目が合った
さみしい というわけではないけれど
痛むのはなぜ
こんなにも嬉しい朝なのに震え ....
長い髪を引かれた後に、残していった重さ
開いては閉じて、を繰り返す手のひらに
理由を隠す隙間なんて、どこにもないことに気付く


もうここにはないもの

空をかき混ぜた手
海から斜めに ....
傲慢なアロエが花開き
狼煙が上がれば
いけないものが
ひとつ ふたつ みっつ
投げ入れられた天然の業火によって
焼却され始める
炉の中で 
いけないものは
極上の白く澄んだ水晶の球に
 ....
「樹を」
折れてゆく私の直線をめぐって溶け出す樹々、の泳ぐべき海の直線。泳ぐのは海、ひらくのは海。樹の斜線は海を分解して新しい樹々の斜線を生産する。いくつもの遠さに囲まれながら樹はかわくのをやめない ....
塔野夏子さんの自由詩おすすめリスト(1057)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
碧落- 霜天自由詩706-6-12
カーテンを引く- tonpekep自由詩11*06-6-11
曳航- 霜天自由詩1306-6-11
空を切り取る。- 有邑空玖自由詩4*06-6-10
傘を差す人_- 服部 剛自由詩21*06-6-9
ジャメビュの朝- こしごえ自由詩22*06-6-7
津軽・十三湖- たりぽん ...自由詩16*06-6-6
そろもん(キャラバンの話)- みつべえ自由詩706-6-6
記憶熱- A道化自由詩6+06-6-5
宮廷詩人- 千月 話 ...自由詩10*06-6-4
深く森の中へ- 杉菜 晃自由詩12*06-5-31
透過- こしごえ自由詩19*06-5-26
星よ、ほしよ- たりぽん ...自由詩1306-5-25
色彩のカラダ- 光冨郁也自由詩706-5-24
宵のヒナゲシ- A道化自由詩706-5-23
ひとつの白昼- A道化自由詩906-5-18
Luciferised_One_Ⅳ- 木立 悟自由詩106-5-11
そろもん(言海の話)- みつべえ自由詩706-5-11
五月の果樹園- A道化自由詩1006-5-9
三華遠季節_Ⅲ- 木立 悟自由詩606-5-8
知りたくなかった知りたかったものへ- 砂木自由詩12*06-5-8
もっとも速くあれ- 佐々宝砂自由詩10*06-5-7
そろもん(懺悔の話)- みつべえ自由詩406-5-3
- 佐藤伊織自由詩3*06-5-1
お話の切れ端- 夕凪ここ ...自由詩11*06-5-1
私的星座、運行表- たりぽん ...自由詩1106-4-30
花占い- こしごえ自由詩22*06-4-30
- 霜天自由詩506-4-30
ガラスの海- 阿麻自由詩18*06-4-29
啓示- 葉leaf自由詩19*06-4-28

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