すべてのおすすめ
真夜中に、
嵐の音が怖くて目を閉じたジーナ
だけど嵐の音じゃなかったみたい
目を閉じている間に、
季節が変わってしまって
途方に暮れてる小さなジーナ
ふれる ....
ウルムの大氷期のそのさなか
夜の手触りと、ほのかな曳光に、
うらがえる雪はのぼりゆく
ひかりを帯びていて、
しゃん しゃん、雪が、
ともあれ、このように、考えのまえにすでに、寒さが
....
先生
唇が、
ふるえてしまいます。
電線に
飛行機雲が斜線して
雨上りが地上をうっすらとはいでいきます
あの日
陽炎で生まれました
わたし
浮遊する
夢みるからだで透けていき
....
どうぞ、遠くても
椅子など用意しないで
明日と言えない日々のこと
薄くなりそうな約束ばかりで
指切り、唱え続けた数だけ、待ち惚け
長い長い、人の列から落ちる
とりあえずは、笑顔で
....
世界の終わり
円になって座る緑の子供たち
暗い風景に泳いで雪虫を口から出していた
壊死しだす末端はしだいに
君の為だけだと呟いて枯れていってしまう
....
梯子が燃えるとき 時間は終わる
線を、引く
初めて泣いた日、
引き摺ったままの羊水で
始まる
一段 歩を進める度に
薄れていく
消しゴムで消せない、
それが条件
引き攣った跡 ....
船をまたぐ
昨日より長くなった分だけ
自分の脚に目盛を入れる
円盤のような声で
おしゃべりをする少女たち
そのフードの中には
いくつもの星が散らばっていて
誰も知らない星 ....
手を
両手を広げ、そらへ
飛ぶように飛ばないように広げ、手を、そらへ
色々と自由になった気がして
交差点を、待つ
輪郭を見ている
箱の世界にいながら
回転を繰り返すのは
いつも ....
彼等は天使なのだから自由に降りてくる
ひとは誰も彼等の姿を見ることができない
彼等に思想はない
彼等は天使であり善でも悪でもない
天使は通り過ぎる
ありとあらゆるものを刺し貫き ....
――切り立ってごらんなさい。つまさきで。手の先を。あなたの手のひらには死の網が浮き出ている、巻雲の申し子だ、耳の中で変色する早苗の葉音を頼りに、内園からつなぎとめておくのです。私はおさない被告人、砕け ....
円盤が
おまえの頭上高くを浮遊する
未確認の淋しさを乗せて
円盤は 氷点下の空を浮遊する
おまえの淋しさを憐れんで
おまえの淋しさに同調して
(いずれも認められていない淋しさ)
空の白さ ....
想いの底辺には 夜がある
底の抜けたコップ
無限の水槽
すべての星に名前をつけることなんてできない
本当にそう?
挑戦してないのに言うのはなしだよ
目に見える範囲で好き勝 ....
(今日の日付をつぶやく)
灯台の未来
石段の螺旋をおりていく
水平線はかすかに騒めき湾曲している唇だ
防波堤を渡り
砂浜へと呼吸を滑らせる
ヨットの帆は風に膨らみ
反転した星のように ....
なだらかな夜の背骨の上を
滑るようにして僕は歩く
温度を持たない
曲がり角を曲がり
名前を寄せない
ガードをくぐる
透明感を隠した街に焦がれる
僕を覆う他人の溜息
....
鏡に映す)顔が白く仄めく
朝日の刻々と刻む音に
変容する影
どうしてか かなしくなる
私という生きものは、。
例えば(いけないかしら躍るように)、
昨日買った手鏡が、
私を映すという ....
遠くにいる人を想っている
列車は夜の手のひらをすべるように過ぎてゆく
舞い落ちる雪はその速度に蹴散らされて
散らされた後たいへん静かになり
静かに舞い落ちて
舞い落ちて
落ちて
落ち ....
軋む
一歩ごと
軋む
心ごと
逃げ込んだ森は
甘美な瀞が満ち
わたしは愛しい景色を
凍る爪先で犯してゆく
痛む
一言ごと
傷む
一夜ごと
明日を司る月が
昨日 ....
追いかけている背中は
とても遠いもので
積み木を崩されるだけが
この街のすべてじゃない
あなたを追いかけているようで
僕に追いつきかけている
手をのばせば繋いでいるようで
もっと違う ....
それでも朝は来るので
わたしはまた生まれてしまう
約束されていないことなので
途方に暮れている
わたしは手を持たないので
仕方なく
眺めている
ふりをしてみる
鳥の不思議な動きを少 ....
オレンジからあふれる香気。
呼吸するように光る朝。
満ちる朝の空気のなかで
わたしは
透明な部分となって小石のように転げ落ちる。
覚醒するとき
海はともだちだ。
水色の水平線に遠く浮かぶ ....
ところで出口はいつ開くのだろう
開けても開けても扉がある
私のうしろには開けられて腐ってゆく
かわいそうな扉たちの死骸が連なる
縦に
横に
斜めに
そして滅茶苦茶に
発つ人
切りつける遮断機
渡す鉄橋、区切る線路
正確な手すり、錯綜する枯れ枝
途切れ続ける白線、刺さり続ける鉄塔
罅割れ ....
あ、
あ、鳩の
光、銀杏の
光、それらの
光
ぱた、ぱた、
一時的な昼下がりが
水銀の微粒子の鳩として
アスファルトの日向へ、群がり
アスファルト ....
ひとり立ち姿
死んでいるように
つぶやく灰の後ろに映る
星の塔が旋回してから
七色のアーチをくぐり
一瞬する視界の腐蝕する太陽へと身を焦がす
失えるものなら失ってみなさいな
零の ....
宵の衣の澄む空に
水を含んだ
月浮かぶ
果てを映したせせらぎに
火照る裸体を浸します
夢に染まった
つめたさが
しずかに狂って微笑した
(すわ)
終りにそなえて 花が咲く
空間を触ってみた。
階段の手前あたりに
暗く空いた穴に
魂を吐く子供
透明な魂を吐く透明な存在だ。
黒髪の視線が伸びてゆき
瞳が羽化をすれば
艶やかに空を含み
風と交わる
まぼろしの重さと
重さのまぼろし
戸惑いと迷いと
緑のはざま
きらきらときらきらと
取りもどせないものの列
手のひらに 手のひらに
降り来るものたち
むらさきが
....
風の筆で残す暗号は
地図のため息と
おたがいの足跡をかくして
いつも同じかたちに戻ろうとします
その度に行方は
なぎさに吹き寄せられて
波に、雨に、さらに細かく
見失ってしまい
....
つめたい予兆
つきぬけた青
零落した透明がふきぬけて
静寂の時が閃いた
冴えた旋律ふりそそぎ
ふるえる細胞 光を放つ
はてしない星の覚醒
あたたかい血の記憶
染まるための レッ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36