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生まれたての
ダッシュされない
耳の美しいカアブ
描いて

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(何か音)
聞いたこともない
さわれない
見る
ことも

青空に
シャープ
黒鍵に落ちる
細い指
 ....
真実が、
私を知っていれば、
それで良い。
 
たくさんの鳥

そして少しの懐かしい人を乗せ
他に何も無いような空港から
飛行機は飛び去って行った

覚えていることと
忘れていないことは
常に等量ではない

夏の敷石の上で ....
{ルビ空中線=アンテナ}に張ってある
鬼蜘蛛の巣が
霧雨にぬれて
{ルビ銀色=しろがねいろ}にゆれている

   風を孕んだかなしみが
   失せた振動鳴きつくす
   ああ

空中 ....
買わなければいけないものがあるのに
あなたはまた、あなたに似たものを買ってしまう
部屋はあなたに似たもので満たされていく
あなたに似たもののほとんどはいらないものなので
あなたに似たものがなく ....
                したたる、

水のひびきのなかに、私の声があ
ります。暗いこころのままで死ん
で幽霊となった私のとうめいな喉。
ぬれながら、だえきもでないほど
にかわいてし ....
あなたがいた
ある午後のことを
ただ
あおいビー玉と
して


ふと
体をわるものと認めたら大人になり
わるさがすでにこころに及んでいることに
気付くころには、あ、 ....
一番線のホームを
羊の群れが通過していく
海の近くに
美味しい牧草地があるのだ
その後を
羊飼いの少年が
列車でゆっくりと追う

夕暮れ近くになると
列車に羊を乗せて
牧舎へと帰る ....
ほとんどの人は、もう
溺れているの
誰も気づいていないだけ

澄んだ指さきが
アルカディア、と答えて
空の一角をさす
新しい風景、新しい秩序
それは
見たことのない宇宙

(行け ....
夕暮れの音楽室で
ピアノを弾いた

平穏で無難な和音

誰がつくりあげるとしても
たとえばそれが夕暮れのサイレンだとしても
F#はF#にかわりはなくて
壁からみおろしている楽聖だって
 ....
先生をビーカーに入れて
塩酸で溶かすと
同じだけの虚しさが
胸の中に生まれた
誰かが
質量保存の法則だ、と叫び
それはたぶん正しいことだった
その日
トスカーナ州の子供たちは
ピサの ....
おちてゆくとき 全景がみえた
滅びのあとも 日々のいとなみはつづき
死んでいるとも知らずに 人々が暮らす街の
道だけが いのちあるもののように
地平線へ向かって のびていた
朝日影にふくまれた わたくしの陰影が
ありのままの白い骨格で
よるべなく
この家に嫁いで来たのです。

その
わたくしが、
わたくしであるが故に、
わたくしを焼べねばなりません。
そ ....
水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を消している
 ....
雨の、話など誰もしていないのに
空が溶けてきたねとあなたが言う
気が付けば隣で誰かが溶け始めていて
手紙に残された文字が一人、笑っている

手のひらは繋ぐためにあって
思えばそんな場所ばか ....
かぞえられないものばかり
あいした罰に つけられた
おもい影を ひるま
ひきずっていた魂が
夜のベンチに 碇泊している
  夕暮れ色の飛行船、
  たくさん空に浮かんでいたけれど
  空と一緒の色だったので
  誰にも気付かれないままでした。

  *

  毎朝、起きたらすぐに顔を洗います。
   ....
窓辺には 
ガラスケースにしまわれた 
誰かの心臓が置かれている 

真夜中の無人の部屋に現れる 
今は亡きピアニストの面影 

奏でられる旋律に 
永い眠りから覚めた心臓は 
脈を ....
   黒縁の眼鏡をかけた教授の講義が一段落すると
   スクリーン上に映し出されたままの
   夏の星座がゆっくりと回転し始める


   古びた校舎の窓側を覆う暗幕は
   その歳月 ....
夜が季節の名前ならば
今夜は惜春
雷雨が迫る黒雲
まだらに明るい空を映して
海が水銀のように揺れる
指先の温度が融点の
あなたという液体
わたしという液体

いつまでも
満たさ ....
駅前に
都会が落ちていた

命のように
きれいだった

なくさないように
拾って
ポケットにしまった

そして
三年振りの待ち合わせに
僕は現れなかった
そうしてノートを閉じますと、随分時間の過ぎたようでした。
季節も時間もとち狂った朝顔について、見てこなければなりません。
でないと、ほんの2ミリの成長を見そびれるとも限りませんから。
ええしかし ....
ある夜から、ガラス球が衝突によって砕ける事さえ悦んだ。
哭いても仕様がないのに、ひとつにはなれないのに。

まるで知らない、仄明るい迷路を彷徨う内に。
はしり火、彗星の尾ひれ、その燐光を追うよ ....
約束、という響きに手繰り寄せられたつもりで
何かを手繰り寄せようとした
霧の先
眠い、眠い、と繰り返す手鏡は
いつここへ置き忘れていたのだろう
それはもう私の中で始まっていますか
とか、君は問いかけて
僕は聞いてない振りをしながら
大きく頷いたりする

海へ突き出した街へ向かう電車は
青い車体に、菜の花が描かれていたりして
最近 ....
少し離れた
海のようなところを
目覚まし時計がひとつ
泳いで行きます
古い色のバス停で
返却期限の過ぎた図書を
二冊抱えたまま見送る
息継ぎだけが
わたしの動作でした
夕焼けの沈む地平の彼方に
メロディと君は消えていった
僕が煙草の火を消せば
目の前に枯野が拡がる
君にも見せてあげたかった
メロディと君は
やがて海の見える丘に
小さな家をたてて住むだろ ....
研ぎ澄まされたナイフで空を
切り裂いた太陽は
六十億もの穴の空いた
大地にやがて沈んでゆく
プラタナスの葉に覆い被さるように
牧羊神の与えた息吹が
薄いガーゼとなって絡まる
初夏の森を中 ....
擦り切れている背表紙を
後生大事に持ち歩く
付箋に躓くことを繰り返してしまった

左手には一束のシャレード
紐解いている間に
夏の森は
微笑や涙やトキメキを頬張って
色彩を奏ではじめて ....
「明日の時の長さは?」


風を切って走る
スカイラインの窓越しに見えた
雲の名前が思い出せない


春の終わり
もしくは
夏の始まり
駆け足で過ぎていく短い季節に
朝 ....
塔野夏子さんの自由詩おすすめリスト(1057)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
譜面- ふるる自由詩17*07-6-22
真実- こしごえ自由詩17*07-6-22
綴じ代- たもつ自由詩2607-6-21
空き家- こしごえ自由詩17*07-6-19
無数のあなた- たもつ自由詩1607-6-14
したたる、- 岡部淳太 ...自由詩23*07-6-12
わるい頬- A道化自由詩1407-6-12
行程- たもつ自由詩1907-6-11
アルカディア- 佐野権太自由詩27*07-6-11
音楽について- 佐々宝砂自由詩407-6-8
考察_〈理科室にて〉- Tsu-Yo自由詩12*07-6-7
そろもん(鳥瞰の話)- みつべえ自由詩1007-6-6
薪_(たきぎ)- こしごえ自由詩26*07-6-6
考察_〈海辺にて〉- Tsu-Yo自由詩2007-6-4
親和する朝、の- 霜天自由詩907-6-4
そろもん(月下の話)- みつべえ自由詩507-6-3
幻視顕微鏡- 嘉野千尋自由詩61*07-5-27
窓辺の心臓_- 服部 剛自由詩12*07-5-24
プラネタリウム・アワー- 嘉野千尋自由詩26*07-5-21
メルティング・ポイント- たりぽん ...自由詩14*07-5-19
待ち合わせ- たもつ自由詩1507-5-18
朝夕- ICE自由詩3*07-5-18
導火の後- ICE自由詩6*07-5-14
- 貝だった ...自由詩207-5-13
ピアニッシモ- 霜天自由詩607-5-13
動作- たもつ自由詩1507-5-11
小さな恋のメロディ_‐エピローグ‐- 村木正成自由詩6*07-5-6
太陽と沈黙- 村木正成自由詩8*07-5-5
夏の鍵盤- 藤丘 香 ...自由詩42*07-4-30
永遠と一日- 有邑空玖自由詩707-4-26

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