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彼らは同一のまま
やがて二手に分かれて
一方は家に帰ったけれど
もう一方は宇宙船へ
打ち上げの時を過ぎて程なく
夜の帳がおりるように
明るさは次第に失われていき
一つの照明器具もないまま ....
おもいでの形見
私にとってこれは
変わらないことのひとつ
ここには風は吹いてこないけれど
ほがらかなひだまりがぽうっとしている

いつまでも
微笑する宇宙のふちで。
私の子午線 ....
電車の好きな少年だった


窓のそとを
いつも景色を走らせていた
乗客はいなかった


やがて彼は
景色のなかを走った
走りつづけた


いくつかの景色をつなぐと
電車にな ....
もう、
どこからどこまでが地図だったかなんて
関係なくなって
美しいことをいうよ
きみはきみで


ごらん、
すれ違う人々の両手には、何か
約束のようなものがぶら下がっているね
 ....
記号となった
分岐点のひとつひとつが
日付変更線を
越えていく

書き忘れた欄に
いつか名前は記されるから
鳥に名前はなくても
南の島は待っている

春は匂いなのに
雪はこの胸に ....
無垢なるいのちをみつめる光は
かげることのない心臓だ

だからそのいのちの影は
しずむことなく
みちるばかりで
月の亡霊のように 果てしがない海原をひっぱる

陸地の無い水平線上に ....
弧を描く波打ち際で
世界の縫い目をたどる短い旅路
遠ざかる、境界を引き寄せ
空と海を縫う指先が左右に揺れる
「こっちだよ」または「バイバイ」
その境目のメトロノームが
いつかのあなた

 ....
橋はもうないのに
人は渡っていくのだった

橋の向こうには
もう誰もいないのに
それでも会いにいくのだった

いつからか
橋を渡り終えると
振り向く癖があるように
エンジンのいらない 未来の飛行機が ひんやりとしずかに 旋回している メキシコのような景色の あちらこちらで 牛の化石が見つかり どれもこれも 老衰に違いない 長い時間を生きたのに 石になるまでには  .... 夢のなかの
無口な祖父のように
窓が
そっと近づいてくることがある


いつも同じ景色ばかり見ている
だから
無表情のままで
風のような息をしている


私は窓を見る
いや  ....
誰か、などとごまかすのはよそう
あなたを、思うときの空だ
湿った雪雲が切れていく
灰色の向こうに広がる薄い青
きっと強く、遠くのあなたを想っている
灰色と青色が近いのは空のせいだ

   ....
一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる

呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま

ふりむけば
うすい
半透明の
殻が ....
本の隙間から
光が溢れている

行間のひとつひとつが
とても眩しくて
僕らは本の影の部分を
読んでいるに過ぎない

見失った灰色の街で
出会ったばかりのきみから
きみの本を借りた
 ....
枕元には雨の匂い
室内はいつもより無機質
コップに挿した一輪は真っ赤な横顔
衣擦れの音も呼吸も壁に吸い込まれていく

表情豊かな外形が圧迫するのは君の胸
心の濃度が薄まると疎通を ....
 
話す声が小さくなっていく、朝
きみは一冊の
ノートになった

軽くなった身体をめくって
話の続きを書く
これからは大切なことも
大切、とは少し違うことも
こうしなければきみに届か ....
彼女は彷徨する
宇宙のもっとも昏い場所で
輝度分布と力学的質量分布の不一致を求めて
五次元を通り抜けるために
 

彼は停止する
宇宙のもっとも冥い場所で
客観的には停止した時間のなか ....
薄紅そまる風の道
夕闇せまる草の道

落日の片隅に
佇む人の
瞳に映る翼の模様
羽ばたく視線は
彼方を知らない

澄まして聞こえぬ
その名のみ
凝らして見えぬ
その姿のみ

 ....
雨上がりの
仄白い、広い、ひとつの湿度が
冬の夜の終わりに、ふ、と
灯る


夜明けだ
空はひとつの肺となり
冷たく湿った冬の朝を呼吸する
細やかな鳥の霧を含んで
 ....
昔、
浜辺に白紙が漂着した。
それは昨日、
ぼくが君に貸した
本の一ページだった。
文字はおろかシミさえ無くなっていて、
大海で起こりうる時間の消失を
実証するのに充分だった。もしくは、 ....
陸地がだんだんと溶けていってしまったので
今はもう 小学校の運動場ほどの大地
そして水平線
終わりに着いたんだね、と君は言う



 ....
プラットホーム
薄青く透けた空白へ
真っ直ぐに冴え立つ
色の無い脊椎の林の
プラットホーム


始まる
冬の朝の微細な輪郭線は
薄荷のことなど忘れた振りをしよ ....
遠い風の透けた
銀のしずくが
{ルビ月影=つきかげ}おぼろにひびいて
さびしく薫る
ぬれた黒髪
結いあげる白い手

静かすぎる吐息の重さは
うつろな視線の光
映る予感の静寂が ....
あたりまえのような空白に
止まったり動いたりする記憶

五つの夜のうち
一つはあなたが入り交じる

あたりまえのような静寂に
現れたり消えたりする感覚

五つの夜のうち
一つはあな ....
知らない言葉を使っても
ちがうパズルのピースのようで
僕は完成しない

知っている言葉の羅列は
なくしたピースの裏側のようで
僕は完成しない

   崩れかけた木製遊具のある
    ....
 
 
夜になると
鳥は空を飛ぶことを諦め
自らの隙間を飛ぶ

高い建物の立ち並ぶ様子が
都会、と呼ばれるように
鳥は鳥の言葉で
空を埋めていってしまう

知らないことは罪ではな ....
祈りは
誰かにむけるのではなく
私の中に沈んでいくだけだった



地下鉄は
風景なんて
みえないんだ


しらなかったよね
電車に乗って
どこまでも
見渡す限り
風景が ....
ぼくらの足裏には磁石があって
方位を引きずりながら暮らしている
北とか東とか南とか西とか
ちゃらちゃらと引きずりながら暮らしている
引きずった後にはたくさんの花をこぼしている
それを美しいと ....
時計は空を飛んだ
時間のことなどすっかり忘れて

町工場の青い屋根と
遊園地の小さな乗り物と
チャペルへと向かう花嫁が見えた
風景はずっと続いているようだった

やがて良い感じのする原 ....
指専用のバス停に
思い思いの格好で指が並んでいる
やがて指専用のバスがくると
指たちは順番に乗り込んでいく
おそらく指にしか
行けないところがあるのだ
慰めが必要だったのは
本当は誰だっ ....
最後まで
射しこむ視線
うっとりと透ける黄金の光に
浮かびあがる白い顔が沈黙をまもっている
一瞬間、

じゅうりんされた庭に
咲く血の花が
わたしの静脈でかおる午後

いく ....
塔野夏子さんの自由詩おすすめリスト(1063)
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窓ガラス- たもつ自由詩1207-12-12
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