すべてのおすすめ
近づけば 遠のく
宇宙の影を ゆめに
おいかけて かえりつつ
あるのか はじめの
ことばの 断崖へ
またひとつ あらたな
欠落を ありがとう
ともに ぎんいろの
ページを すごした
しめやかな 夢の小冊
満ちるとき 抒情の紙を
火にくべて なにごとも
語るすべなし 封印を
解いて 空を傾けると
月が ころがりおちる
つぎつぎに矜恃の
虹をかさねて重く
はじけないように
あふれないように
みずからを律して
どんなに 踏みかためても
道は じぶんのものに
ならない どれだけ
あるいても あなたの
背中に たどりつけない
空の種族が おとした
羽根を ひろいながら
あるいている 一千本
あつめたら つばさと
交換してくれる 約束
ひこうき雲が ゆったり
拡散しながら 高度をさげて
着陸場所を さがしている
地につくまえに すっかり
消えてしまう というのに
幕をおろして 劇をはじめる
中枢神経に 花がさくとき
ほんのわずか きみの頬をそめる
熱量が欲しくて まいばん
星の軌道を めぐってくる
ひとつの 荒野のおわりに
名前もしらない 月の花が
ほそながい 清潔な
首を さしだしていた
火を消して ねむった
いつか 見たことのある
風景ばかりだ ひとは謙虚に歴史を
学ばなければならぬ はじめから
螺旋をたどるのは いくつ
いのちが あっても足りぬ
なにかが しきりに
こぼれる
鈴のように
銀のように
ふるえる 天窓
おちてゆくとき 全景がみえた
滅びのあとも 日々のいとなみはつづき
死んでいるとも知らずに 人々が暮らす街の
道だけが いのちあるもののように
地平線へ向かって のびていた
かぞえられないものばかり
あいした罰に つけられた
おもい影を ひるま
ひきずっていた魂が
夜のベンチに 碇泊している
ひかりの 牽引が
ここちよい 日だった
つむじ風が 花びらを
まとって 帰ってゆくのを
ひねもす ながめていた
化石を みがけば
ふかい 睡眠がひらく
いちども とぎれずに
わたしへ つむがれた
塩基配列の ざわめき
ぼくらは たがいに
記号に すぎないと
了解しあった あの場所で
待っています なんどでも
そこから はじめましょう
心は 魔法の呼吸がなければ
読み解けないし イメージは
裸眼にうつらないから 純粋だと
目をつぶった あなたの
耳たぶを そっと噛んだ
都会の夕景を いちまい
めくると 古い柱時計が
ふるさとの 砂山に
なかば うずもれて
幸福な 夢をみていた
ほし が でている
こんや は ここで
たおれよう なんの
みかえり も なく
ゆめだけ を みて
遠くまで 届きたい
おもいが 橋となる
その たもとから
深淵を のぞいて
たちすくむ
川の上流で
洗いおとした
顔が いくつも
よどみに
たまっている
投げ網のようなものを
過敏に かわしている
どこへも組織されないから
居場所をもたぬ そういう
たましいの 種類である
ひとの領分で ないものが
ふりつもる
夢のなかに めざめて
いつまでもいつまでも
砂を かき出している
夜が ひろがり
のばしきった 手のさきに
星をつける
道から はずれたひとが
砂に ぬかずいている
ただよって ふかく
抱かれて ひろがり
水となって しかし
すべてを忘れ 風の
かなたで あふれる
序列と権威から遠く
(そうであることが必要だった)
ぼくは夢の ドミノたおしの黒幕を
暗殺するため たったひとつの武器である
ことばを 自分自身へ向けたのであった
こわれた たましいの
かけらが 寄り合って
ぼんやり ひとの
かたちを つくっている
影がないので それとわかる
王冠で すくおうとして
おびただしく こぼれる
純血のひとの うしろのほう
丘のうえに 月が
座礁している
荒野では道がわかりません
ヒースの丘にのぼっても
海はみえません けれど
匂いたつ まぼろしをたどって
かならず行きます きみの家に
いまのは世界中の石像が
月のちからにひかれ
変身しようとして
均衡をうしない
たおれて砕けた音だ