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夜を媒介する。私たちはためされてはかられて、いまこ
こにいる。あるいは朝を、また昼を媒介して、私たちの
心身が伝導体となって、少しずつ接触していく。私たち
が味わう陽気や狂気も、ひとつの通りすぎ ....
潮風にさびる
落日の{ルビ夢幻=むげん}
ゆく手には
茫洋の{ルビ天=そら}

遠音の影を
ひびきつづける海岸が
涙できず知らぬ世で 立ち尽す
瞬息の流星

ほそぼそとあが ....
黒板の粉が
午後の日差しの中で踊ってた
あたしもその消された文字の一粒で
キラキラと笑っていたんだ

ブラウスの隙間から
風がこぼれないように
37℃の痛みを飾って
眼鏡越しに見える世 ....
冷たいアクアリウムの床は濡れていないのに濡れた色をして
あたしたちの足音を消してゆく
透明な嘘の輪郭に包まれた
透明に眠る魚たちの呼吸は泡となり嘘の空へと昇る
あたしたちはぴ、ぴとその輪郭を辿 ....
モノクロ写真の空中ブランコは怖い
目を閉じると
笑いながら落ちていく女性の姿
彼の手を取らなかったのは、わざとでしょう
うれしそうに
でも少し泣きながら落ちていく
きっと
これも演出なの ....
近づけば 遠のく
宇宙の影を ゆめに
おいかけて かえりつつ
あるのか はじめの
ことばの 断崖へ  
あかるい空
カーテンをひいて{ルビ包=くる}まれて
そのどこかに羽根をみている
呼吸が彩度をわすれて
いつか廃れた街のようだった
足音は屋根をつたって
きみに会いにゆく
こ ....
森林の中
ひっそり潜む
小さな月


あさい眠りの
はざ間を泳ぐ
黒い魚影が


ゆらり と
身体をしならせ
ついばんでいく


冷たい魚の接吻に
吸いとられていく
 ....
つなぎ忘れた何かを探そうとして
それすら不意に
忘れてしまう

星空は
いつでもその名を受け取りながら
毎夜を必ず終えさせる地図

瞳がうつす一瞬を
嘘かと惑い
ときには真逆に ....
こわれている

こわれていること

そのことは

ただ こわれてしまったこと

かいがらのなかの

ほんのすこしの くらがりに

ことばを うしなって

うつむいた まいに ....
午前零時の産声が
真夜中を、とおりすぎて
青雲でゆれていました
しかしながら
その姿を見た者は
だれひとりとしていなかったのです

川岸に転がっていた小石を持ち帰り
庭のすみっこに置い ....
またひとつ あらたな
欠落を ありがとう
ともに ぎんいろの
ページを すごした
しめやかな 夢の小冊
秋じゃなければできなかったのでしょうか
空洞は風が増すほどに
流れてゆきます

 いちにちの日短さ
 胸の欠けてゆくそして
 焦げてゆく茜の陽
 

沈んでゆき夜になる前の隙間で ....
満ちるとき 抒情の紙を
火にくべて なにごとも
語るすべなし 封印を
解いて 空を傾けると
月が ころがりおちる   
つぎつぎに矜恃の 
虹をかさねて重く
はじけないように
あふれないように
みずからを律して
黒髪を 風にすいては色もなく

岸辺に咲いた 白い花

ひんやりうずく 視線に限られ

カラスアゲハは はねを日に焼き 沈黙を舞い千切る
 
 
あまりに静かなので
どうしたものか
耳を澄ますと自分が
階段になっていることがわかる
踊り場には
温かい春の光が落ちて
多分そのあたりに
思い出はあるのかもしれない
遠くで ....
濡れ縁に向かって
みずみずしい素足

包絡線ぎりぎりで飛ぶ
剥がされたもの
必要無かったもの

水に自分の貌を写したり
他愛無いうたにひるんでみたり
はるかな結末への
錯誤ははじま ....
   いさり火の あかく燃えたつ 秋の暮れ



いっぴきの蜘蛛は、
自分の領分をわきまえて
一心に一糸の糸を張りめぐらす。
それはそれは正確で絶妙に

果して、
わたしはどう ....
北風が公園の遊具を
カラカラと転経するかのようで
あわてて耳をふさぐと
もう名前も忘れたあのひとが
私を呼んでいるのに

声は私を忘れて
名前はだれにも届かない

やっとちぎり取った ....
どんなに 踏みかためても
道は じぶんのものに
ならない どれだけ
あるいても あなたの
背中に たどりつけない
落葉がそぞろに風にふかれ
雲は青く高い空をゆく

うらの{ルビ小径=こみち}の縁石に腰をかけて
杉といっしょにゆれている

夏の{ルビ遺言=いごん}は朽ちることなく
静かに実 ....
空の種族が おとした
羽根を ひろいながら
あるいている 一千本
あつめたら つばさと
交換してくれる 約束
ひこうき雲が ゆったり
拡散しながら 高度をさげて
着陸場所を さがしている
地につくまえに すっかり
消えてしまう というのに
かすかな声でなぞる
あれは面影
うらの林のすきまからみえた
私の亡霊
沈むことのできない舟
いっそうの複音

静かな{ルビ水面=みなも}をもっている
{ルビ自恃=じじ}{ルビ矜恃=きょ ....
かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている

朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
この瞬間に降っている雨粒を
どこまでも遠くへとつないでいく
知らない街のマンションの屋上で
雨粒は途切れていた
雨が降っていない街の
日差しはとても悪意に満ちて

雨が降っていても
雨 ....
群青の森から
逃げてきたものたちを
ひとつずつ捕まえる
白くやわらかい部分に
サインペンで名前を書き込み
(神聖なものはすべてKではじまる)
ありふれた雑踏の中へと
放り投げていく
グ ....
水の本を開く
文字は流れ出し
意味は溢れ出し
あとには
水の思想だけがのこる
川によってはこばれ
人びとの喉をうるおしながら
水の暗喩が偏在する
その波の繰り返し
晴天と雨天の交替
 ....
白い 塗りかべの 建築や 小路を 抜けて

とまどいながら 最初の 一声が いまだ

はばたいている ように かぶさって いた

こちらがわの 無垢な 海砂の 地へ

いく ....
塔野夏子さんの自由詩おすすめリスト(1057)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜を媒介する- 岡部淳太 ...自由詩707-11-18
はるのよこがお- こしごえ自由詩6*07-11-17
透明だけど、在る- ku-mi自由詩11*07-11-11
水族館の日- サトリイ ...自由詩8*07-11-11
- 壺内モモ ...自由詩307-11-5
そろもん(翼の歌)- みつべえ自由詩407-10-29
スワロウテイル- アオゾラ ...自由詩907-10-29
月をついばむ魚- 渡 ひろ ...自由詩30*07-10-28
ステラ- 千波 一 ...自由詩13*07-10-26
風景- こむ自由詩2*07-10-26
かえる- こしごえ自由詩12*07-10-25
そろもん(紙の歌)- みつべえ自由詩407-10-19
鏡の泣くとき- 唐草フウ自由詩15*07-10-17
そろもん(宵の歌)- みつべえ自由詩207-10-14
そろもん(志の歌)- みつべえ自由詩507-10-10
黒白断片_(こくはくだんぺん)- こしごえ自由詩6*07-10-7
返事- たもつ自由詩28*07-10-3
Presto(プレスト)- 大村 浩 ...自由詩10*07-10-3
曼珠沙華- こしごえ自由詩14*07-10-1
夏の望遠鏡- たりぽん ...自由詩11*07-9-26
そろもん(星の歌)- みつべえ自由詩407-9-22
きもの- こしごえ自由詩18*07-9-15
そろもん(黙契の話)- みつべえ自由詩407-9-8
そろもん(秋空の話)- みつべえ自由詩707-9-3
みちのり- こしごえ自由詩12*07-9-1
日付を打たない手紙- 藤丘 香 ...自由詩63+*07-9-1
- 葉leaf自由詩1307-8-28
- Tsu-Yo自由詩407-8-27
水の本- 岡部淳太 ...自由詩1107-8-24
夏の終- モーヌ。自由詩10*07-8-24

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