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ぼくらの足裏には磁石があって
方位を引きずりながら暮らしている
北とか東とか南とか西とか
ちゃらちゃらと引きずりながら暮らしている
引きずった後にはたくさんの花をこぼしている
それを美しいと ....
文章が
飛行してゆく
文章が飛行した後を見上げる
たなびく理の跡

ボーイングの羽の撓みのような
少しきょうふ感のある
右上がりの字を気にしながら
ぼくは帽子を深々と被り直す

い ....
粛然として初夏は重なり
カーテンを引く
夏の重さは水面を広げる
わたしたちは口止めをされている
沖の方では服を脱ぐようにして
海の肌が見える
わたしはあなたが好きだっていうことを
莫迦み ....
空が飛んでいる
空が飛んでいるので全ての羽が浮上する
見つめることはいつだって透きとおる
見下ろせば ものの在りかはかなしい

重力の堆積が歴史で出来ているなら
ぼくらの言葉は足跡のように ....
あなたの方で風が吹いている
わたしはわたしで知らないことばかり捜している
秋がそこらじゅうで溶けはじめるとき
空き瓶には夕くれが満たされるとき

幾つもの詩を繋げるようにして
わたしはあな ....
何もない処に秋がやってくるとき
ひっそりとして
わたしは言葉の行方を知らない
わたしはわたしを有りの侭にしている

夕くれに空はふりだし
空はそこらじゅうで実り始める
声を掬ったりすれば ....
あなたはわたしの何もかもを知らないし
わたしはあなたの何もかもを知らない
それでいいと思う

それでいいと思ったら
夏の柔らかい部分では
雨の方で都合をつけて
わたしとあなたを
水たま ....
夏のことをよく知っている人がいて
その人は
例えば緑の葉っぱを重ねたような人で
ときどき
鮮やかな花を咲かせていたりする

ただ画家がその人の絵を
描こうとするとき
その人は
たちま ....
どうしようもないくらいの
空の返還が
わたしに帰ってきた
わたしの唇は青いことでいっぱいになる

空に着歴がある
それは長い長い数列
雲は遠くの蒸気と会話したりするけど
やがて話が尽き ....
思い出が居眠りをしているのでした
今日も少しづつ暑くなりそうな感じがしています
揺すって起こそうかと思いましたが
そのままに

夏 それぞれの葉が今にも喋り出しそうな
明るさの中で 震える ....
知らない方角から
明るさを取り戻してゆくかのように
朝はぼくのもとにやってくるのでした
遠くの響きは
古い透き間から静かに流れ
ぼくを取り囲むのでした
後戻りする物音は見あたらないのでした ....
どこかの方から誰かが去って
白い砂漠がぽつんとあって
顔のない人が歴史の本なんか読んでいるのでした
私は私を側に置いて
私を見つめ続けなきゃならないのでした
ひとつ思うことがふたつに別れ
 ....
塔野夏子さんのtonpekepさんおすすめリスト(12)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
詩人- tonpekep自由詩6*07-12-25
あざ- tonpekep自由詩13+*06-11-26
カーテンを引く- tonpekep自由詩11*06-6-11
鳥瞰図- tonpekep自由詩29*06-1-21
約束- tonpekep自由詩27*05-9-27
ひとつの秋に- tonpekep自由詩12*05-9-4
siranai- tonpekep自由詩22*05-7-12
夏男- tonpekep自由詩21*05-7-5
空の形- tonpekep自由詩45*05-6-25
夏の日(because)- tonpekep自由詩12*05-6-14
土曜日の朝に- tonpekep自由詩20*05-6-7
誰かが去って- tonpekep自由詩7*05-5-29

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