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七時三十分の電車に傾く、あなたと共に行こ
う。想像する、上に空が継ぎ接ぎになって浮
かんでは消え、進行方向に語る言葉を持たな
い僕らは、聞き取れる音だけで口笛を吹く。
それだけの空間、それだけ ....
また、新鮮な朝がきて、君はいなかったりも
する。珈琲の香りはどこへ消えてしまった、
というのか。乾燥した部屋に、私が傾く音だ
けが響いた。人は、溶けるのが早い。君が溶
け始めたころは、お手玉を ....
藍色を少し混ぜる
空の端の盛り上がった場所に置く
それだけで一日は暮れていけるし
僕らもゆっくりと、眠ることが出来る

あの日、あの壁の落書き
木に刻んだあなたの名前
遠くへ行けるようで ....
ラストオーダーは君に。
と言いながら僕らに。
手の届かないあれやこれや、
ただ内に抱えながら歩く姿は美しいのかどうか。
僕の中で耳鳴るしかない言葉が、君には大声で聞こえているらしい。
それが ....
雨の、話など誰もしていないのに
空が溶けてきたねとあなたが言う
気が付けば隣で誰かが溶け始めていて
手紙に残された文字が一人、笑っている

手のひらは繋ぐためにあって
思えばそんな場所ばか ....
それはもう私の中で始まっていますか
とか、君は問いかけて
僕は聞いてない振りをしながら
大きく頷いたりする

海へ突き出した街へ向かう電車は
青い車体に、菜の花が描かれていたりして
最近 ....
まあるく、まるくこの上を行く飛行船は四番目の空で
黄色や青に染まってみせながら、天井を越えていく
抱き寄せた僕の中では、懐かしい声が響いて
どうでもいいはずの、無駄な筆先が描く線でさえも

 ....
どこへ行こうか、と呟くと
どちらにでも、と君が返す
どこへでも行けるのが僕らなんだと
もう一度その声を聞いてみたくなる

とても、とても高いところから
世界が降りてきている
一番最初に出 ....
指先で辿るだけのものにも
どこかに意味はあったのだ
そう気付かせてくれる君たちの声は
どこまでも、仄かに明るい
埃を被ったままの本の
隙間を捲る指の順番から
繋がっていくものがある
体温 ....
滴が。
朝の、


窓枠を二つに分けるようにして落ちていく。
今も手を伸ばせば壊れてしまいそうな足跡。
遠くなっていく風景写真をいつも隣に置いている。
あの日、行方知れずの人が今も笑いか ....
いつの間にか
とは言っても気付いてはいるし
知っていることと、そうでないこととの狭間で
見えているものは見えている

遠天
空が遠くなった
うつむいて歩いても、どこかで触れているような気 ....
言葉はどこへ帰れるのだろう。

淡い憧れを乗せて放たれる矢の、狙いを定める君の手の、震え。秋が枯れ、冬に着替えると。いつか未来になっていくあの海沿いの(崖の)カーブの緩やかさが、懐かしくて、縋りた ....
時々には、迷ってしまう


何もないままに、辿り着いてしまうこともある
戸惑いを超えると、水平になれるらしい
幾重にも繋がっていく扉を間違えてしまった君が見るのは
ビルの谷間に引っかかった ....
月を落せると信じていたから、いつか触れようと誓い合う。


ゆっくりと近づいてくる景色を、
遠ざけようと、するために眠る。
いつからか儀式となった風景を、懐かしいと君が言った。
首をかしげ ....
明るい夜も、暗い夜も、それぞれに色々な夜があったけれど。


遠く回り道をするように。言葉が言葉からそれからを選んでいくように、一瞬だったものを、ふと、足を止めて拾い上げてみれば。もう、「それか ....
昨日が朝になりたがる日
どうにも眠れない嘘がある
まだ、一つひとつを上手く運べない君は
回りくどい道程でもって
明日の夕暮れになりたがる
前へ、前へと変容する君たちがいる
秋空がいつの間に ....
想像して
君はよくそう言うけれど
実際のところ僕は、何も思い出せずにいる
海沿いの寂しい国道を夕暮れに倣って左に折れると
何もない町があるのか
君の住む町があるのか
もう、どこにも行けない ....
ついでだからそれも(どこか遠くへ)
捨てておいてよ
使い切れなかった、使い捨ての
積み残していく、観覧車
  (あの景色はどう見ても、空回りしていた)
夏は、どこを切り取っても夏で
僕はい ....
薄暮れて
眠り続けた一日が
黄昏に、朝と夜とを迷う視界に
君の小さい、窓辺に向かう後ろ姿が


棚引いて


まだ平原には届かないから
打ち寄せる波がこちら側を削っていくのを
た ....
夏祭りの音の屋根
迫り出した空のかけらは
まだ遠い、午後の私へと溶けていった
古い夢の神社の石段を
ひとつ飛ばしで駆け上がれば
頼りない心音のままで
私はきっと、そこにいる

夏の夕暮 ....
吹き抜けのある町に生まれた
回り階段を何度か抜けると
大切なものが床に散らばっているのが見える

高い天井はどうやって作ったのだろう
昨日は知りたかったことが
今日には通り過ぎている
支 ....
沈んでみても、何も知らないままだった


それは六月のサイレン
降り止まない四月の桜
同じところを同じだけ繰り返して
歌声はそれでも高いところを目指している

好きな人を好きな ....
「天井に穴が開いてね。いつまでも眺めていたら、
   なんだか塞ぐのが、勿体無く思えてきたんだ。
     ほら、そこから突き抜けていけそうだろう?」




一割ほどの ....
夜に、時々の夜に
震えるほどに凍えてしまう私なので
留まるために何度か
君を殺したことがある
深い深い、寝息
子守唄はいつもどこから来て
どこへ行くのだろう

私たちは何が怖くて
寄 ....
君の欠片がまたひとつ、足りない
玄関を出たところで気付いたけれど
君はそのまま飛んでいこうとするので
あわてて、腕を掴むと
そこからいろんなものが、外れてしまう

繋ぎ合わせようと、もがい ....
閉じられた、そして
知ることもない雨が過去になって
それでも夕暮れと朝には
部屋は明るくなるので


花暦
今の頃は
冷たい雨を探す前に
どこに行けばいいのですか
すべてを抱いたま ....
雨の部屋に静かに崩れる砂の声に
それでも傘を差せずにいる
いつも狭い夕暮れだった
零れていくものといえば、僕らの影ばかり

当たり前なほどに
当たり前はなくて
二十年後の空の色よりは
 ....
鍵を掛けたかどうかを忘れて
それでもここまで来てしまった
世界の青は静かに落下して
戻れない道の重なりにいる

昔の話をしようか
言葉でしか帰れない、場所がある
こんなにも遠い西の果てで ....
思い出だけで終わらないために
日々は刻まれて
小さく、はらりと落ちていきそうなものが
私の中で対流している

一番最後の麦藁帽子が
夏の見える丘の、少し西の辺りを
沈んでいった日のことを ....
長い髪を引かれた後に、残していった重さ
開いては閉じて、を繰り返す手のひらに
理由を隠す隙間なんて、どこにもないことに気付く


もうここにはないもの

空をかき混ぜた手
海から斜めに ....
塔野夏子さんの霜天さんおすすめリスト(77)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
口笛- 霜天自由詩509-10-29
転換- 霜天自由詩309-9-5
ホーム- 霜天自由詩507-8-15
耳鳴る- 霜天自由詩407-8-2
親和する朝、の- 霜天自由詩907-6-4
ピアニッシモ- 霜天自由詩607-5-13
飛行船四号- 霜天自由詩707-4-12
ショルダーバッグ- 霜天自由詩507-3-8
形状- 霜天自由詩607-2-26
あの日、行方知れずの- 霜天自由詩1207-1-14
遠天- 霜天自由詩1007-1-3
落涙- 霜天自由詩406-12-7
高い平原- 霜天自由詩306-11-26
空が悲しくなると僕らはいつも- 霜天自由詩1006-11-4
高い空を泳ぐように飛んでいく鮎の夢を見る- 霜天自由詩506-11-2
ロールプレイング・デイズ- 霜天自由詩506-9-28
名付け- 霜天自由詩1106-9-3
サマー(アゲイン)- 霜天自由詩506-8-28
こんなにも単純に美しい世界が- 霜天自由詩906-8-27
スローモーション- 霜天自由詩1006-8-16
吹き抜け- 霜天自由詩406-8-8
沈んでみても、何も知らないままだった- 霜天自由詩906-8-3
ひとがた- 霜天自由詩706-7-24
君の河が海に混ざる、その前に- 霜天自由詩606-7-16
練習- 霜天自由詩806-6-28
closed,and- 霜天自由詩606-6-26
蒸留水- 霜天自由詩706-6-15
碧落- 霜天自由詩706-6-12
曳航- 霜天自由詩1306-6-11
- 霜天自由詩506-4-30

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