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立ち尽くしてしまった
青空が 白く強い綿雲を
ぐいぐい牽引していく
数秒目が離せなかった
帰ってきますも
すれちがいも もうない ところへ
橋の下には
紅い まるく掬った両手たち
....
白線の外側には
出られなかった気持ちを
服のポケットで押し砕く
(一糸乱れないように)
フェンスの向こうにある
夜明けという抱擁の残酷さよ
迷い子の蛍たちが
溶けたチョコレートを ....
ほおづえをついたら
消えるくらい細い 月だね
知らないあいだに
こおろぎが まぎれ込んでたから
窓をあけて 夜に帰したよ
りーん あちらから
りーん こちらから
遠くても 呼びあ ....
(じゅるりと甘い豊水梨
まだ食べさせられていない
疲れこんで放心
ひととおり過ぎてペタと座り込む)
一人で悠悠と横たわりながら耐える
くらしと
半生を捨ててあまい缶詰の汁に
溺れる ....
わたしが森でじとじとになっていたとき
ショコラウサギのおかあさんが
やさしくガーゼで顔をふいてくれた
ホームのベンチにひとり座って
走り去る夜汽車を見送っているだけでは
ありえない出来事だっ ....
いつもの会釈にお決まりの挨拶
それにあとひとこと
胸につかえたしゃぼん玉を ひとつ
ことばに込めて放ちたい
世間話にも地雷はあるかなとか
ぜんぜん気の利いたことでもなく
毒にも薬にもな ....
会釈と定型のあいさつに
あとひとつ何か言って
少しだけ 少しだけ
つかえたしゃぼん玉を空に放ちたい
その話は地雷かなとか
ぜんぜん気の利いたことでもなくて
毒にも薬にもならないような
....
首筋に滲む汗が皮膚のくぼみで停滞している
めずらしく鬱屈したものとひっくるめて
無になれない顔になったまま
往復するうちわが申し訳程度に会釈する
トロトロとした頭の中でなにかを想像してみても
....
毎夏見る帰省のニュース
しっかりと時間を費やす 家族たち
それを眺めることが毎年の行事
思い出すのは病室の洗面台や
トラバーチン模様の天井
となりの家から夕ご飯の匂い
てん ....
月が光ったり包むように照らす記憶のない、まだはじまったばかりの夜だった。
顔の何処かで泣かないように空に瞳を任せていた。どこを見上げてみても
わたしが知らないだけで、星はやさしく奏でていたんだった ....
勝手のうえに
勝手をこぼしてたら
「それをじぶんに言われてたら
どう思う」という矢印が向いて
ハッと
黙ってしまった
おむつなどを買いに走り
熱り疲れた頭で
排尿日誌がいるか、とか ....
あなたは夏のよう
夏というだけで モチーフ テーマになれる
純粋培養した笑顔は季節そのもの
夏の花は熱く咲くから
明日の朝まで待てない 手を放して踊ろうよ
お腹まで響く雷鳴は 大 ....
るーるー、カチ・カチ・カチ・カチ・
うめくようにきつく、くぐもった、湿る声で許しを請う、どうして?、静夜のからくり、まだ内側を掴んで離せない、風が占める、時は鳴り続ける、果てる波と砕ける{ルビ過去= ....
(また降りそうになってきよった)
泥酔状態で唄う桜坂 音痴でふざけすぎるけど
黒いネクタイと白いワイシャツが いつもより艶っぽかった
「泣きそうになったわ」と あとで口にした
その ....
よごれへたれて疲れたきみも
またあしたまで
あしたまでおんぶしておくからね
たくさんぶつかった日も
すりきれそうな日も
いまは一旦あずけて
ずっとぶら下がってみてるよ
....