すべてのおすすめ
愛娘が毎朝八時に起こしに来る
歪み捩れた時空の層を超えるのは
なかなか大変だそうだ
[合鍵を作ってやろうか?ちゃんと電車に乗って来いよ]
おはようのキスをしながら僕は言う
[そんなことし ....
天花粉の丸い小箱にはいっていたのは
祖母や母が立ち切狭で廃品回収に出す前に
切り取った釦
鼈甲仕立ての高価なものもあれば
校章入りの錆びた金釦や
普段使いのプラスチック釦
そし ....
1.
ふるい
ふるい人々……
2.
赤い水の中でうずくまる胎児、きみだ
3.
分厚いガラスに閉じ込められて
ゼリーのような水色の
重苦しさの中
少年のきみは自分が苦しいこ ....
寝覚めの悪い朝
今日という一日に不安を覚え
それでもやり過ごす
なに
そんなに珍しいことではない
よくあることだ
そんな風に言い聞かせて
虚ろな眼差しを
すれ違う人達に見せ ....
塵屑を捨てる人がいれば塵屑を拾う人もいる。
僕はその間で眺めてきた。
クリスマスには赤い電球の羽根。
僕は公園から煙突の下をみる。
一体何を捨て何を拾い集めてきたのだろう。
窓辺にネコがいる
闇に紛れ部屋を覗いている
近づいても臆することなく
ひげと耳をねかせ目を細めるだけだ
ネコを真似て尾を揺らしてみる
濁点を払うようにはうまくいかない
ネコが跳 ....
ハックルベリーフィンの冒険譚を捜そう
君の風景といっしょに遊びたいんだもの
風の自転車で空を描こうよ
永久に休みなんて来ないんだから
勝手にやすんでしまえばいいんだ
食べる。寝る。愛 ....
緑の下を濃緑が
水のように流れゆく
化石の木々から
止まぬ震動
硝子に分かれる
もうひとつの径
岩穴の向こうの
凍てつく群れ
布 麻
消えかけた火 ....
墓碑銘として刻む言葉は
「愛される資格も適格もなかった」
そうしようと思った
深夜のバスの暗いライトの下で
死にたいとは思わなかった
逆に強烈に生きたいと思った
だが生きたいという欲望 ....
ほとり
ほとりと歩めば
小菊の間から
白黒のぶち猫が傍にやってくる
買い物袋にはノルウェイサーモンと
ブリトロ
メジマグロが収まっていた
サーモンを一切れあげると
ニャァと鳴く ....
雪は降る歌いながら雨よりも静かに
雪は新たなページをめくる
見慣れた場所へ胸いっぱいの息で踏み出すために
冬晴れの鋭さに青く影を曳いて
ぬくもりを一層 切ないほどに
....
彼らは殺風景な部屋でいつか許される時を待っている
猫舌の私はそれを笑えない
朝食はトマトで、豪華な食器が小刻みに震えている
ひねもす自問自答を繰り返す
真っ白だった壁と心にはシワができはじ ....
ふと思ったのだけれどね
人間には通気孔が必要だってこと
きっとどれかの上着に入ったままの入場券もいつかは必要なんだ
なくてはならないものなんてそんなにないんだけれども
たやすい自由はい ....
陽鳥
きのうのことのようだ
逃げ出すように ひとり列車に乗り 海を目指した
行き先は 宮島
宮島のカラスに逢いたくなったのだ
途中 かあかあ
二度ほど 鳥が鳴いた
....
分厚い雲のはるか向こう
白く明かりを投げてくるのは
まるい太陽
アスファルトに吸い込まれながら
乱れ舞う淡雪
踏みつけようとすると消え
歩こうとすると
視界にまとわりつ ....
夜 小鳥たちは哀しみの巣をつくる
発動機の音がちいさな心臓をふるわせ
人も鳥も水に逃げようとしている
死は同じひろがりで樹下闇を照らし
美しいものの名をわすれていく
冬 かじかんだ指先が ....
あなたを思うと、
わたしの心に幾つもの
穏やかな図形が描かれる
熱い珈琲をかきまぜながら
窓の向うの樹をあなたは見ている
たぶん、世界じゅうのすべてのものが
....
歳くった
いつの間にか
歳くった
浦島太郎の様に
玉手箱開けてしまった
いつの間にか
おじいさん
若いつもりが
おじいさん
下らぬことで
悩んでいたら
おじいさん
どうしたもん ....
夜の
一本道
寂しくはない
ただ
星に近づく
私のペンは「あなたたち」を描くことには一切の関心を持ってはいない
* * *
雪は白いから尊いのよ
透明だったら見えないでしょう
ほかの色だったら世俗を纏うでしょう
* * *
一つの部屋では未明を迎え
東京の骨が窓辺でうたう
(白い白 ....
日差しは入り江を満たす穏やかな波のよう
ちいさな冬も丸くなった午後の和毛のぬくもりに
鉢植えの場所を移しながら
――古い音楽が悪ふざけ
週日開きっぱなしのトランクをむやみに閉め隅へ蹴る
―― ....
風が伝える想いがある
風が伝える死もあるだろう
さびしさもある
かなしさもある
日日のなみだも
やりきれなさも
そして
それらを
きっと誰かが
拾ってくれると
信じること、そうして ....
夜が明ける
東の空を赤らめて
陽が昇る
誰も知らない一日が始まる
泣いたり 笑ったり 妬んだり
喜んだり 怒ったり 微笑んだり
生きる 生活を営む
始まりの ....
私は悪い人間だ
悪党ではないが悪い人間だ
鼻つまみ者で
嫌われ者だ
悲しいが事実なのであろう・・・
生き辛い・・・
ATMに寄って
壮絶な家計状況に直面して
コンビニで東電に電気代を支払い
クリスマスプレゼントもあるしなあと
曇り空なんて見ないふりしてバス停へ
あたしの仕事って、いつ人口知能に取って代 ....
漂いの中に浮かぶ船はとても空虚だ。
空虚は僕の心を浸潤する。
広がり、閉じる。
この情緒こそ難破船にはふさわしい。
水面に移る悲しみを鳥たちが啄む。
僕は自分が何か勘違い ....
ビリビリに引き裂いた
力任せに 泣きながら
それでも気が済まなくて
鋏でジョキジョキ切り刻んだ
その切れ端を 徹底的にシャッフルした
元の形などわからないように
二度と思い出さな ....
「孤島」
樹や動物と共に棲み
助け合うことを知っている
ひとに蹂躙されない
蹂躙しない
等身大の月のひかりにただそよぎ
喜び 哀しみ 反射する
時に痛い波濤をかかえ
消滅を怖れない ....
つかのまの休日に天使がやってきてしばし話をすると
迷走する天界のことやいま抱えている天使間の軋轢のこと
ほんとうのリベラリズムや偽物のプロパガンダの見分け方や
彼?にもいるらしい兄弟姉妹や縁 ....
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