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 溢れる海の{ルビ思想=おもい}を
 透いた生命の鼓動にのせて
 ぼくはきみに語りたい
 {ルビ灼=あつ}い 熱い視線の息吹に恋い焦がれ
 ひとり 沈んでいった人たちのことを
 ふるえる ....
独りでいたいのです
休んでいたいのです
ゆっくり
のんびり
秋の黄昏のなか
孤独を身にまとい
一言も語らずに
ただただひっそりと暮らしたいのです
騒がしい世の中に背を向け
超高速の時 ....
そろそろ すとーぶだしてよ ともいわない
きみは けなげだね
ねどこでほんをよみだすと
かならずわけありがおでじゃまをする
うるさいけど にくめない
たまに てつがくしゃのように
あおのさ ....
腰のまがった老人はめったに見なくなった
まがった腰で
ヨッコラショと 
風呂敷をしょった爺ちゃん婆ちゃんは
わたしが子供のころの爺ちゃん婆ちゃんだ
農村や漁村では今だって
腰のまがった老人 ....
みどりの鳥居をくぐるには

あなたの笑みが必要でした

まもなく消える身であれど

この世は占いじゃないから

意味しかないところだから


焼け石に水であろうと

二階から ....
沈黙して眠るほかない
鬱積を投げ合う蒼い人語の地穴で
帆軸を極北に向けたまま
難破船のようにふかく朽ちていく


沈黙して眠るほかない
世界の清しい涯てをむなしくも夢みて
 ....
心臓に張巡らされた無数の血管のように
言いたいことがあるのに
それが言葉にならないって
きのう電話できみに話したね

勿論、お互いの苦悩や孤独のこととか
きみへの愛や関係性とかい ....
 深刻ではなく 淋しい瞳をもった
 サーカスのピエロ
 ぼく きっと 透きとおった
 この時代の住民にちがいない

 古代マンモスのふかい皺をもった
 象たちが踊り 踊らされる
 過 ....
悲しいとかじゃない

惨めとかじゃない

傷つくとかじゃない

水溜まりを見ているだけ

雨に降られているだけ

雑踏で人にぶつかるだけ


タクシーをひろう

行く先を ....
 幼い日
 ふたりで日向ぼっこをしながら
 影をみていた
 ぼくの黒い指先が
 少女の頬に触れようとする
 と 触れるその直前で
 影だけがふやっと膨らんで
 ぼくより先 少女に ....
寂しいから寂しくないふりを
しているなんてお見通しなの
寂しくないならどうして
そんな限界集落の無人駅に
会いに来ないかなんて言うのよ
あなたの孤独を映し出す
鏡のように澄んだ湖はもう ....
雨のおとが体に刺さって下に抜けて行く
その先のまちで

男が酒を飲んで煙草を吸い
女が風呂に入り石鹸の香りを嗅ぐ
花は季節に散る

どうということもない
あたたかな食卓が
どれだけに ....
月曜日に来た人は とても穏やかな顔をして
私の頭を撫でてくれました
月曜日に来た人は 火曜日には火遊びの仕方を
私に教えてくれました
月曜日に来た人は 水曜日私の小言を片付けて
流 ....
おもいでのまちをとおりすぎて
おもいでのまちにかえる

おもいではとうにうせてあきのそらがひろがる
なんだかかなしくてくちぶえをふいてみる

おもいでのいちばではなにをうっているのだろう
 ....
激情を極め
静けさを極め
祈りながら認識し
認識しながら祈る

この飢え切った界で
この哀しみの界で
導かれ 諦め
静謐に包まれ


光り輝くあの日の君を 僕は決して忘れない
父は生きる 沈黙の中に
母は語る 夢のような言葉
私は横たわる 足りない絶望を枕にして

川の字になった 冷え切った水槽の中
打ち上げられた魚を三匹
飼って眺めて笑っていたのは  ....
流民をへて流民にあう
きみは遠い昔の記憶の中の文学少女

すべての物語を読み切れないように
たとえばたった一人の歴史も解析できずに

やはり僕はでくのぼうにもなれない半端者
きみの洗礼を ....
久しぶりに電話してみる
着信音が十回で、切る
内心ホッとする
まもなく向こうからかかってくる
少し慌てる
「なに?どうかした?」
声を聴いて安堵する
「いやどうもしないけど。今話せるの? ....
失う
出会い
築いては
失い続けて
底を貫く本質
掴み取れたのか
沈んでしまうのか

進む船の舵取り主は
己が意志、病に抗う意志
沈んでしまうのなら仕方ない
精一杯やるんだ、もう ....
哀しみ降って来る
一斉に響きとなり
冷え震え降って来る
どうしようもないね、
この欠損だけはもう

ひたすら雨の降り続く
ひたすら鈍色の大海に
しとしとしとしと静か
大海に雨の降り続 ....
この世でいちばん明るいのは
夜の屋根の
いなびかり

そのあとを
追いかけてくる音は
おそろしいけど、と

小さな人がいう

ならば耳をふさいでごらん
あてがえば
柔らかな手の ....
カーテンの向こう暑くなると告げて
にわかに泣きだすそら

すぐに澄み
そこなしの青の静けさへ
置き忘れられた幾筋かの羽毛は
朝へと生まれ落ちた夢たちの骸
季節の手妻は継目も見せず
ゆ ....
いつのまにか夜だけがふけてゆくが
僕の朝はいつまでたっても来ない

時間の止まったままの時計をぼんやりと眺め
時系列のなかの無限の選択肢に思いを馳せる

ものごとを整理するには基準が必要だ ....
我が家では
いただきますの後
ニャー と号く



あの日から
そうしてる




{引用=ただいまもおかえりも言わない
きみがないた日から}



おやすみの後
 ....
自販機で水を買う
百円の小ぶりのペットボトル
冷房の効いた車輌を待ちながら
冷たい水を飲む
汗が額から頬へ伝い
顎で雫となって
滴る
あたたかい風が吹き抜ける
ホームの日陰で
私は息 ....
太陽よ、
絶え間無く爆発し続ける太陽よ
この地球の善も悪も曖昧も
均等に照らし出す太陽よ
その偉大な開け透けの愛
その圧倒的で広大なる愛
どうしたら
この私的感情の波を
あなたに合流さ ....
山のむこうゆっくりと橙は灰
日暮れて暗く やさぐれて
苦楽の果てに捨てられた
途方に暮れてホウホウ鳴いて
ケルトの老婆アイヌの老婆
とろとろ炙る枯れた掌に
あまいこどものあたまのいたみ
 ....
耀う光のなか 疎らに枯れだす芝生
なにを疑うでもなく
彼女はそこに寝そべり
湧出する表層にみをあずけて
こちらをおもしろそうにみつめている

薄絹のみなれないスカートを
潮風にさらし
 ....
時の過ぎるのを忘れ
畦道にしゃがみ
ひらく瞬間を待っていた
山の向こうに月が姿を現すころ
何かが限界をむかえるように
耐えていたがくが
プツリと裂けて
薄黄色い花びらが
ふるふる ....
古い家財道具を片付けながら
スピーカーから音を鳴らす
若いあの人の声が、聞こえてきた
突然の、夏だ
憧れの、あの季節
可愛かったあの子、すらりとした脚
どこかへ、何かへ、気持ちだけが走り出 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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サーカス_- 白島真自由詩13*16-10-5
水溜まり- 吉岡ペペ ...自由詩316-10-5
- 白島真自由詩15*16-10-2
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