すべてのおすすめ
高層ビルの屋上は
空にいちばん近い場所
憧れにはまだ
手が届かなくて
背もたれたフェンス
微かな痛みを
切り取ろうとした
いま飛んだら
誰かの翼になれるかな
軽い気持ちで ....
山育ちなので 傷は自分で嘗めて治した
月がしだいに瘦せ細り また少しずつ太るのを
薄目を開けて時々見ながら
朽ちた倒木の根元の洞に潜り込み
飲まず食わずで幾晩も
痛みは知りません 傷つい ....
青空が言っている
死はここにあると
公園のベンチから立ち上がって
探しまわる
散歩のひと
ランニングのひと
子を連れたひと
また
ひとばかりさがしている
誰にも会いたくないの ....
実家の方角から、炊き込みご飯の炊ける薫りのしたような。
晩秋の寂しそうな母の背が、硬い根菜を刻んでいたような。
途中で無性にカップヌードル食べたくなった。
コンビニの駐車場に車停めて店に入ると一個だけ買った。
店内で直ぐに開封し蓋を開けて備え付けのポットからお湯を注ぐ。
熱いそれを持って寒い外に出 ....
夜の入口にて
誰かと誰かが話している
太陽が無限に没した後
地球という宝石箱はぶちまけられ
夜の入口にて
誰かと誰かが話している
蠢く闇に包まれて
密やかに、密やかに
....
風のようにたくさんの場所を通ってきたから
ぼくらの言葉に、風景が滲むことがある
暗くなっていく夕方や遠い電車の音に、あなたを思い出すのは
あなたの声が、その景色を映していたからなんだろう
....
とてつもなく深い闇がやってきそうな夜
私たちはたがいに嘆き悔やみ
とりもどせない時間を語った
テレビはあいかわらず五月蠅い番組だらけで
MCの甲高い声だけが鼻についた
声帯をナイフで ....
白い部屋に横たわり
独り時が過ぎるのを
さっきからずっと眺めている
)右足の親指が急につり
)反り返ったまま動かない
無音無言の部屋のなか
時は流砂のように流れていき
私が上げる ....
たくさん詩を書いて
たくさん詩を消した
推敲などろくにせず
縋るように投稿した
作品と呼べるものなどなく
とても人様にお届けできるものではなかった
それでも悪くないねと誰かが言ってくれると ....
目をつむると
疲れた子のように 眠ってしまった
コオロギの子守唄が
じつは 守ってくれていた
目を開けると まだ生きていて
うれしくって
だから 全部
水に流せる 気が ....
なにもかも
あんまり悪すぎて
ことばにならない
心の叫びを
きいてほしい
この詩を読んだら
こういう想像して
1人の男がいる
夜眠れずに
その男は絶望している
男は死にたくても ....
折り重なる記憶の襞が
一枚一枚剥がれ落ちては色褪せ
何の感情も伴わずに
震えている、震えている
脱力して
欠落はせずに
只々遠く平板になっていくもの
反芻される記憶の渦に
今 ....
その蜩は、おそらく、その日暮らしで生きておられる。
その鳴き声は、その日一日のための鳴き声ゆえに美しい。
夏夜にヒューズが飛んで、飛んだヒューズを両手で優しく捕まえた。
そいつの正体は何と小さな蛍で、僕はその小さな光で一夜を過ごした。
目を閉じて眠りなさい
死なないように
願いを掛ける時は
まつ毛の一本ずつを
短冊にしてみよう
流されて天に届く気がする
美しい寝顔のままなら
毒を飲むこともない世界で
明日が来るのを前 ....
くらしは繰り返す。
あたかもしずくのように。
ぽた、
ぽた、
いのちは繰り返さない。
昨日のくらしのように。
縁側で
ぷっと
西瓜の種飛ばし
放物線の先を
追っている
幼い子供が
独り居て
遠い夏の日
夏の午後
その日を生きる
幼子が
風に吹かれて
風に吹かれて
名無しで ....
枝分かれしていく言葉がゆれる
きみのすべてをぼくが知ることはないということ
水のなかに流れる時間 時間のなかに生まれる空
たくさんの景色が人と人とのあいだにあって
知らないきみのことが何故か好 ....
つま先にあたった石ころが
ころころ
ゆるく転がって川に落ちる
何の音もしない
七年前
職場のわたしの歓迎会は
小ぎれいな洋風レストランに皆集まった
こ ....
無造作に置かれている靴
気に留めることもない
朝の出勤の時
靴ベラを用意
行ってきます
繰り返される日々
奥さんが友人と温泉旅行
次の朝私 ....
死にたいとググッたらこころの健康相談ダイヤルの番号が表示された
生きたいとググッてみたところ同じくこころの健康相談ダイヤルの番号が表示された
すこし元気が出た
全部あきらめた
と嘯きながら
いくつものことを忘れてきた
(つもり)
甘いのか、苦いのか
{引用=即興ゴルコンダ より、お題は たばすこ氏}
細かな砂利と一緒に寄せ
滑り落ちてゆく
向こう側へ
くるぶしまで濡らしては
かえすゆらぎ
見上げれば
三角形の
それぞれの頂点が
数万年の誤差で
瞬いている
毒があるんです そういって
その花は泣いた
拭っても洗い落としても
緑の茎を伝う紫の雫
花びらの裏側に
にじみ出てくる薄暗い素性
どうしても許せないという
戸惑い 悩み
毒などない振 ....
駅の片隅にポツンと存在して
急ぎ足で通り抜ける人並みをながめる
ボックスでは最高の空間を提供してくれます
想像もつかない雑多な感情の言葉を
際限なく引き受けてくれ ....
浅い眠りがぷつぷつ切れて
各駅停車の鈍行便
どこまでも続く雨音
霧のかなたで零れる警笛
深く
時間の底を潜っていく
ナイフのように黒光るレール
見覚えのある景色を切り割き
鈍く軋む
....
あなたから
教わったのは
こころの殺しかた
海に染み込んでいった夕陽は
逆さまの血のしずく
波にたゆたう血の油
何度も殺しました
あなたに気に入られようと
あなたに見つけてもらえ ....
降り始めたちいさな雨粒を
ひとつひとつ
こぶしで撃っていく
敵のいない闘い
ボクサーのロードワーク
撃ちきれない雨粒のなん粒かは
火の玉になり
眼球の中で
また、道々の砂利のす ....
あなたの悩みの種が、僕故に撒かれたものであればいいのに。
あなたが僕を想って夜も眠れず、僕故に胸を痛めたらいいのに。
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