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水に押された風が
屋根の上を梳き
かがやきを降らせ
音を降らせる
光の羽の子と光の蜘蛛の子が
どうしたらいいかわからずに
ずっと見つめあったままでいる
風の螺旋が ....
おまえではない
おまえではない
絵の具を燃やす手
土に火の絵を描きつづける手
隠れていた猫も虫も去り
原はどこまでも静かになる
鳥も鳥を話さなくなり
常緑樹のなか ....
少しだけ人になる人
背のびをして
外を見る
雨の花がひろがっている
光は近く 遅くなり
音は速く速く伝わる
何もかもが光ではいられない
水の水の水の底まで
....
ひとつには多く
ふたつにはさみしい
径の亀裂に貼られた紙が
雨水に圧され 破れかけたまま
むらさきにむらさきに空を喰む
....
緑の下を濃緑が
水のように流れゆく
化石の木々から
止まぬ震動
硝子に分かれる
もうひとつの径
岩穴の向こうの
凍てつく群れ
布 麻
消えかけた火 ....
光を打つものの影が
空に映り揺らめいている
二本の穂の墓
影が影に寄り添ううた
切り落とされても切り落とされても
見えない部位は羽ばたきつづけ
音の無い風が生ま ....
まどろむたびに言葉は減り
空をゆくものは増えてゆく
雨涸らす雨
雨散らす雨
こがねいろの輪の上を飛び
冬空にひとり立つものが
野を分ける径を見つめている
踏みつけ ....
木のかけらと
あたたかい水が
午後と夜の境いめに
蒼い浪となり流れ込む
錆は子らの名をくちずさみ
鉱は荒れ野に伏している
陽を転がす指や指
流れの内に華やいでいる ....
薄くうつろうもののかたまりが
轟々と夜のはじまりをゆく
剥がれかけた
光の重なり
見えたり消えたりするものが
左側をしたたり落ちる
布や布状のものすべてが
四角い ....
多数の角
多重の角を持つけだものが
真昼の雨の径に立ち
水たまりの光を
見つめることであたためている
紙が紙に戻る音
空気が空気に沈む音
踊り たたずみ 再び踊る ....
夜は爆ぜ
すぐにまた現われ
朝へ朝へあとずさる
雨に
種を蒔きながら
触れれば空に到く
咲かないものの履歴
指は水を編む
夜を高くする
何処にも行けな ....
不幸自慢の座頭蜘蛛
緑の文字にうろついている
燃やしても燃やしても
早朝を喰みにやってくる
こがねいろの扉が
花にふさがれている
ここは何処なのかと
首をかしげている
くゆる くゆる
くゆ るく ゆる
白湯のなかを
ゆるく ゆるく
午後は廻る
....
はやにえ
しるべ
ひかりが開けた穴
いそいで
雨の肩書き
午後のおさがり
陽の水母に
別れを言う
溺れかけたのは
羽の子ども
空気の傷が ....
たどりつけない浜辺に
たどりついたものが
ひとり花を詠んでいた
たずねてもたずねても
花は
名のることはなかった
花の後ろの絵を
忘れた
はじまる前の
世 ....