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最初から廃墟だった場所で
最初から破片だった言葉を
拾い集め交わし合う
それは破片だから
時に自らを 誰かを
傷つけてしまう

しなやかで
すきとおる思惟で
編み上げられてゆ ....
なかなか雨はやまない
僕は夢想する
星空模様の傘をさして
君のところを訪ねたい
ジャム一瓶ほどの幸福をたずさえて

なかなか雨はやまないから
君のもとへ辿り着くまでに
傘も溶けてしまう ....
光の中で見えるものを見て
闇の中だけで見えるものを見て
いまそのどちらでもない
薄暗がりだからこそ見えるものを
見ている君の瞳が
葡萄のように熟れてゆく
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で

六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
 ....
もうどこへも逃げてゆけない言葉たちが
{ルビ凝=こご}る五月闇
夏の色が濃くなるごとに重くなってゆく空

その空の重みに耐えかねて
虚ろになる意識
否 虚ろを装う意識

綴るご ....
時折
君の身体から星が発生した
君はいつもそれを
無造作に僕にくれた
――君は星が好きだから
そう云って微笑っていた

何故身体から星が発生するのか
君自身も知らなかった
――何故だ ....
君の翅を食べた
君がそうすることを望んだから
君の翅はよくできたお菓子のように
心地よい甘さで
もろくあわく溶けていった
最後に君の背に残る
翅のついていた痕をそっとなぞると
それも夢の ....
春が来ると
君が心臓に飼っている星座が
かぼそい声ですすり泣く
それを夜ごと聞きながら
どうすることもできない
ただ ほら
ルビー色のチューリップが咲いたよと
君の記憶の窓のむこうの
 ....
夢の痛みが灯る街角を
回遊する銀の魚群をすり抜けながら
君は物語の解体と再構築を繰り返す
君の中で発火する思惟が
気難しくも美しいあるひとつの構造を浮かびあがらせる
時の流れの中にふと訪れる ....
水宮うみさんの塔野夏子さんおすすめリスト(9)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
失伝説- 塔野夏子自由詩7*24-4-29
長_雨- 塔野夏子自由詩6*24-2-23
obscure- 塔野夏子自由詩5*24-2-15
あじさい- 塔野夏子自由詩12*23-7-5
五月闇- 塔野夏子自由詩7*23-6-1
星_座- 塔野夏子自由詩18*22-1-1
君の翅- 塔野夏子自由詩12*21-10-5
記憶花壇- 塔野夏子自由詩5*21-4-19
スケッチ:夜明け前- 塔野夏子自由詩4*19-1-11

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