記憶度
湾鶴



頭の丸みと髪の流れに沿って
手の平を浮かべる
カメラは遠くで蝉のごとく鳴り続け
レンズは割れんばかりに照らす

足を水桶へひたす
過去にも存在した気のする
記憶をリピートさせるように
この午後を記憶する

足で跳ね上げた水飛沫 
まあるくゆがんで空中へ
何度も跳ね上げ
流星群

目にしたのは一瞬の輝きで
きっと過去に存在したのは この輝き
そして明日から追記されるのも 

記憶の濃度が高まり
赤く染まった足の甲は
ひんやりと心地よい

頭に浮んだ手の平はうらましげに
滑り降り水桶の太陽をすくった


自由詩 記憶度 Copyright 湾鶴 2004-08-09 00:18:00
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