二時半は、二時半で、いつだって
ロッキングチェアの揺れない時刻だ
海辺の街でもないのに
波の音が聴こえるのは
朽ち果てた夢のせいか
それとも途切れ途切れの記憶のせいか
家族の温もりが残るリ ....
スコット・ラファロは25歳で死んだ
死因は交通事故だ
オーティス・レディングは26歳で死んだ
死因は飛行機事故だ
ジャニスは27歳で死んだ
死因は薬物中毒だ
ジム・モリソンも27歳で死んだ ....
I was walking on the street
Peoples were losing living time
Various things are crossing to my ey ....
もう なんにちも
雨は降らないし 降りようがない
雨乞いの呪文も
もはや効き目は薄れ
わずかばかりの
水を流して
やり過ごしている
{引用=さかな 苦しいだろう
さかな 底に怯え ....
右足が重いと
おもっていたら
いつのまにか
根が生えていた
しかたがないので
歩きまわる
根をおろさずに
....
レジにやっと
バイトのおにいちゃんが来て
二番目でお待ちのお客様こちらに
と言ったのに
五番目でお待ちの馬鹿そうな若い男が
三番目でお待ちの俺をさしおいて
割り込んできたもんだから
てめ ....
おんなが笑う
おんながしゃべる
おんなが怒り
おんなが泣いた
おんなの寝顔に安堵する
....
昼休み、お弁当を開けると
中には凪いだ海があった
これはどうしたことだろう、
と電話をしても妻は出ない
それどころか、
海の中から聞き慣れた着信音がする
海が見たい、と言ってい ....
筏を組み上げて
稲穂の海へと浮かべる
あなたの両眼にはいつも
息をのむほど静かな炎が灯っている
風が吹いて黄金の波が揺れる
考えていたことを忘れてしまう
....
きみの親指と
ひとさし指の間を
一羽の兎が往復している
冬の夜がするどい針金を張る
白い煙がきみから蕩け
それからあわ立ち、
草原を{ルビ艶 ....
彼岸花が咲いてた辺りに
今は桜が咲いてる
誰かの雨を
涙と勘違いして
駅前で女が
ヴァイオリンのように泣いていた
男がやって来て
指揮者のように煙草をふかし始めた
観客のように
人々は足早に通り過ぎた
銀色の魚が身を翻し
都会は ....
渋谷の公衆便所に入ったら
「ほらおとっつぁん、チャックを閉めて」と
初老の息子は傾く体の親父を支えて、言った。
なんとか息子に支えられ
よたつく親父の背中には
(いたる)と3文 ....
右へ行くと海があり左へ行くと詩があり
ます。そんな街に住んでます。近所の沼
で子供たちは言葉を沈めて遊ぶ。強風。
泥だらけの手を見せなくていい。そろそ
ろ雨が降るなんて言わなくていい。何も
....
魚を燃していたのだと
きみが言う
誰にともなく
酸化をはじめたばかりの
鉄の表面に似て
せつないくるしい
いとしいさびしい
かなしいや ....
雪を割るつかなくていい嘘をつく
この1年
よくひとに裏切られた
ひとり、ふたり、
さんにん、よにん、
ごにん、ろくにん、
みんなつらかったんだろう
みんながまんしてたんだろう
ぼくは走り ....
キリンが首を伸ばして
夜空の星を食べていた
星がなくならないように
父は星をつくった
どうしてキリンが星を食べるのか
なんて関係なかった
父はただ星をつくった
やがてキ ....
{引用=――はるな「物語たち」に寄せて}
つめたい夜がやってきて
わたしの両手の爪を、一枚いちまい
丁寧にはいでいった
つめたい夜がやってきて
物語の ....
よみちに
しかが
にひき
つったっていて
ひきそうになったけど
ひかなかった
どうぶつが
にひき
たっているのは
めおと
たぶん
でも
なんか
めおととか
やめとけばい ....
小銭を持って忍び込む
生臭い二つの身体で
薄汚れた僕らの下着は
日々の生の慎ましやかな残渣
死に対するささやかな抵抗
乾燥機をかけよう
余計な水分が
涙にならないよう ....
めざしのような
ししゃものおなか眺めては
惚れたと思ったあの気持ち
いったいどこへやったのか
箸でみそ汁つついて探す
夕餉の残 ....
こういうの書いてなかったら
おれはたぶんヒトゴロシになってたさ
気に入らねえやつらみんな
徹底的にヤッちまうヒトゴロシになってたさ
おまえがおれと目を合わせれば
....
あの熊ゴローは
いんちき機関車の煙突に
しばりつけてきてやったんだ
見てこいよ
あいつ今ごろ泣きわめきながら
ぐるぐる回ってるぜきっと
犬も虎もこてんぱんさ
象なんて ....
雨の一粒一粒が誰かの愛なんだってイメージできたら
一身に浴びる人は拍子抜けするくらい幸せなんだろう
すごいスピードで飛んだ鳥!
かれにとって街は一瞬通りすぎた愚痴みたいなものか
す ....
砂利は自由いつも違う
0.2ミリ違う
そこがいい
芸術になれないのがいい
風はそのへんで吹いている
花はあのへんで咲いている
詩なんてそれでいい
自分の言葉は邪魔なだけ
世界に ....
ゆうこちゃんは元ヤンキー
スイングドアどっかん
カートでつき破って
おっはよー
おぉ今日も元気いっぱいで品出し
野菜売り場へ突撃だ
ゆうこちゃんにはカボチャ割る鉈
....
ドアノブがなくなっているとは!
ドアノブを差す棒しかない!
部屋をくまなく探した
見つからない 見つからない
なぜだろう?
棒をハンカチで回してみた
なんだ ドアが開くじゃない
ドア ....
頭からガソリンをかけて
火をつけて燃やされる男が
ジャケットのCD
500円で陳列されているブックオフ
手に取られては戻される
ドカベンプロ野球編とゴルゴ13
輪廻のように 始まりと終わ ....
アパートの暗い階段を上って行くと
二階には嵌め殺しの窓があり
そこだけがまるで古い教会の天窓のよう
純粋に光だけを招き入れていた
迷い込んでいた一羽のすずめは
幼子の震える心臓のよう
....
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