今夜の
君の手の指は
ストリップ劇場で
ストリップ嬢が使う
あのポールによく似ている
ブラディ・マリーの朱い滴を
君が薬指から舐めとるとき
....
Rさんのかわいさが1億くらいあるから
スカウターが故障しましたよといって
昨日
車に挽かせてつぶした眼鏡を
差し出したら
わらってくれて
かいわがつづくから
かのじょとかになるかも
....
水あかの目立つ
くたびれた流し台に立って
不器用に皮をむいたりんごの
やけにざらざらで
ぼくの手でさらけ出された
瑞々しい果肉の表面を目の当たりにして
なんだかぼくの心のどこかに
い ....
ポレポレ東中野で、『わたしたちの夏』という映画をみてから、きっかり五十日経っていた。その間、わたしは、毎日の生活を送り、詩を二篇書いた。ごく短いものを。
そうして、五十日後の十一月五日、 ....
洞窟の中は星が咲き乱れる秋だった。
呼吸を止めて止めて止めて、それでも息を飲んだ。
鳥が一羽また一羽と、架かっていく。破裂を含むように、孕むように。
断層の線を睨んで、暗い夜に、昼に ....
水族館に行って
手をつなごうとおもっていたら
行きたくないといわれて
それは
手を
つなぎたくないから
つなぎ
ハンバーグ
パン粉
つまり
あいたくないし
かのじょとかに ....
あざやかにあなた
クオリア
染まらないのです
逆さまの本は
世界の全て
この気持ちを
識らぬまま生き残りました
かつてのわたしは
ひたひたの膜です
行方など
落ちていません
下司な笑い声と垂れ目が癪に障るから
刺そうと思って
松葉を
ぎんなんに
豚鼻出っ歯が苛つくから
刺そうと思って
USBを
パーソナルコンピュータに
無造作に投げ捨てられたポケモンと携帯電話とコカコーラ
僕らがコンビニと呼んでいる
長細い直方体には
どんなものでも揃っている
弁当もポテトチップスも
洗剤や電池や、ティッシュまで
だから僕がその日
その、冬 ....
愚鰉頌獯は馬鹿なんですかと
いいながら
キャベツをいためると
あまみがまして
でも
あまみがましても
まずい
あと本当に馬鹿だから
重ねて指摘することは
無粋
考 ....
固いタイルに
きみはうつ伏せ
ぼくはぼく自身より
長く鋭い針を
きみの背骨の中点に差し込む
素早く、直角に
屹立させる
こうして
線と
....
あおぞらにふれることのなかった雲に
おやすみと声をかける
届いているように見えたのは
錯覚だから
あなたは泣かなくてもいいんだよ
秋は
なにかがたりない
地上の彼処に ....
もとめあうことのできない淋しさはなんてきれいな夕立だろう
ねえ、死にませんかとふいに問いかける硝子のようにうつくしい人
すきまから洩れだした風 ああきみの前世はぼく ....
彼女のためにリボンを作ろう
真っ赤なやつを
どこからでも見えるように真っ赤なやつを
きみの腹を
綺麗な
正方形にくりぬいて
そこを通して僕は
桜吹雪が舞うのを眺める
蒼い春にも
暗い冬にも
きみの正方形から
桜吹雪が舞うのを ....
長い間音楽を聴かないようにしていた。朝、満員電車に揺られ、つり革に手のひらを乗せ、片手で本を読んでいる。誰の声も聞こえない。電車の走る音が体中に響いている。車内にアナウンスが流れる。次の停車駅を告げ ....
隣室で眠る友人の寝息と、近くの高速道を走る車両の音がこんな夜更け、他人の家にて混じりあう。
私は妙に目が冴えてしまい、携帯のディスプレイの灯りを頼りにこんな散文を綴ったりしている。
友人の出し ....
縄文土器を
保健室に忘れてしまい
取りに戻った
夏の日
熱く
熱く光は燃え
廊下を歩く人たちも
ブラスバンドの行進曲も
そう仕向 ....
傷つく度に綺麗になれたら 私はひとりでも心の底からの孤独にならず 綺麗な自分である事に、安心していたい。
薔薇の耳をもつ女は砂浜で白い夢を見る。彼女には鏡の中に見失われた星が寄り添っている。彼女が呼吸をする度僕の瑪瑙の眼の中を一陣の風が吹き抜ける。燐光を放つ青春の残滓は大地に星座を描く。僕は振子時計が向日 ....
しんしんと
雪のように眠っている
君の
シャツの
胸のあたりに光がにじみ
そこだけが
かわいた月面になる
白、
黄、
水色 ....
三橋に降り積もる数字の粉。
揺るぎない25分は
実り在る者にとっての要。
ふと
街角のどこかで
売り物が非売品へと変わる音がする。
整形された鉱物の響きは
大多数の河岸に置いてき ....
終わることが救いなのか
終わらないことが救いなのか
誰にもそれはわからない
仕事から帰ってきて
疲れた身体を横たえていると
秋の夕べの静けさに
ほっと気分が晴れる
このまま終わってほ ....
不思議だな少し不思議だ覚えてるいや嘘ごめん誰ですあなた
落下してきたような鳥たぶんあれ青鷺かなと思うんですよ
プルートー愛していない逃げてくれとにかく片目抉りたい也
わからない木々の ....
ゆうがたという言葉が
雨をよけて
まもなく
やってくるので
部屋の掃除をしています
きいろいから
うさぎがすき
おおきいうさぎ
意思の疎通ができない
きはひとりでは
きになれないことを
しっている
だから
もりになった
さみしいなんて
ことばもしらずに
星明かりの駅が
ひとつずつ滲んでゆく
瞳は
乾いてなどいない
まったく逆だ
夜から
いちばん遠いところが
すべてを飲み込み
夜を生むための
夜になる
そこに
ある ....
猫のひげが巻きついた星の判断が秋風に吹かれている。小石はその巨大な耳を痙攣させながら酒場という酒場に愛のリキュールを撒き散らしてゆく。そのとき雨の棺を夜が跨ぐ。すべてを照らし出す幼年時代の夢想が彼女の ....
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