感受性というものは人それぞれだが、特定のジャンルのものに特に鋭敏な感受性を持つようになる経験は誰にでもあると思う。例えば音楽に目覚める、美術に目覚める、将棋に目覚める、様々な種類の開眼がある。その中 ....
聖書をよく焚いてから飴玉を投げ上げてください。
反転します。
落下しない
林檎
蜜柑
それから
檸檬。
安物です、この宇宙は。
{引用=( ....
割れた幾何学が
積み上がっていく夕
雨のような寂しさを身にまとうひと
抽斗は
開けられることはないのだろう
知らないよもうあのTシャツ、パジャマだし、忘れていった君が悪いし
なにか次の出来事を準備していた
裸体たちは 敢え無く 黒炭の
テクスチュアの内にほどけて
やわい鹿も
二頭ばかり居る
私 という語は ざらりとした
塗料を風に削がれて
あおい粉塵だ
詩を拒むので或いは詩を映すので
建物はこんなにもあかるい
縫い目に指を入れて
糸を噛み切る朝に見た夢の
回遊水槽の中に
何も泳いでいなかった
指先から春になった、わたしは大好きな歌を口ずさみながら、
誰もいなくなった地球を歩いている。
夜なんてものが本当にあるとしたら、きっとこんな表情をしているんだろう。
つま先まで春になった、だけど ....
俺の家は狭い1Kでペット禁止だが
木曜と特定のメニューの日には俺の膝の上には猫がいる
まずは都会の暮らしに傷 ....
うたわないディランと
自殺をしないカート・コバーン
ビー球の 転がりのなかを
夕焼けが駆け抜ける
きみにあこがれる
いつか人生に
椅子を失くす日、
....
晴れた
青い ひかりたちのなかに
つくえが 落ち葉を待っている
いりくんだ緑にはずむ
からすうりのかなしみは
朱く 苦く あまく
なんども 熟れ ....
よく晴れた十月の午前
山の上の一軒家にひとりで住んでゐる松倉さと子さんのところに
郵便局員がたずねてきた。
「ごめんください、お届けものです」
「あら、何でせう」
「どうぞ ....
茄子にソースをかけたものを食べて外に出た。人が叫んでいる。何事かと思うがこの目ではよく見えないので構わず歩いていく。車と車の間には程よい間隔があってところどころにきれいな売店も出ている。ジュースを買っ ....
惑星が足首を巡るたび、つま先に星が溜まった。指先ですくい上げるときみの瞳にひかりが集まって乱反射する、宝石のように。鋭く傷をつければもっときらめくことを知っているから、きみを大事にしていた。見つめると ....
残酷に思える詩と、優しさを感じる詩が、僕にはあって、
僕は優しい詩が好きだ。
戦闘機より、パンケーキが出てくる詩を読んで、楽しい気持ちになりたい。
怒りや悲しみを、表現しないと駄目なときがあ ....
ステージが替わると
アルファベットはカタカナになり
午前5時は夜から朝になり
妥協点と思っていたすべてが沸点になる
かつて愛した爆音
こんにちは安心安全
無限はイオンモールに散らばっていた ....
みすてられた
犬に
なりたかった
けれど
かこが
いまでは
黄金郷
みすてられた
犬に
なりたかった
けれど
みすてられた
犬に
なれなかった
今日
あ ....
なにか
白い ものが
のこされて ゐる
うまれたものが
去つた そのあと に
そしてこつちを
みつめてゐる
長い午後に
時が
裏返 ....
こ、工場のえんとつから、もくもくと煙がでているところを
目指していけば
いいと思うのだけど
くつしたを履いてない方の足が歩き出してくれない。
多分、私が思うに、歩いては行ける距離だと思います。 ....
白いりんごをのせた皿に薄陽がさしてゐる。
月をたべた少女が硝子の洗面器にそれをもどした。
日が暮れる。わづかに年老いてゆく。
宇宙の武勇伝に気をとられて
鰻と共に忘れる何か
稲穂を渡り行く風
極暑が緩んだ夕暮れ
遠花火の記憶の重なり
ジミーでも思い出せない
ルーチンワーク
差の女がつい視界に入る
レジは半ズボ ....
地球は、カビたあんパンにそっくりだ。
中身がこし餡だから、
こんなにも私を哀しませることができる。
つぶ餡なら、
ピーマンを食べ残すデブのように、
人目のある場所で子を構い倒すママのよう ....
真夜中のスーパーマーケット。どこにも行けないわたしを守る光の零れたシェルター。その隅で半額のお刺身を手に取る。賞味期限の近い3割引の食パン、腐りかけの安いバナナ、廃棄寸前の玉ねぎサラダ。見放されたもの ....
夜、自分で自分の髪を切ってお湯で流したところ。外では台風が吹き荒れ、窓に重い空気の塊が当たる気配がする。奇妙に空腹ではあるけど食べないほうがいいだろう。そっと自分で自分の頬に触れると、顔がある。幸福で ....
バス停で中一ぐらいの可愛い顔の女の子が
足の指には派手なマニュキュアを塗り
パンツ丸見えの姿勢のまま
スマホをいじっていた
近くのオジサンが目のやり場に困った顔をしていた
こういう光景は田舎 ....
夜の月光に
静かな羽根がやさしく舞います
てのひらを胸にあて
赤い血のつながりを確かめます
メガネの少女をいつものバス停でみかけました
そのときのその心には、
けっして忘れない ....
星の死がいつまでもうつくしいってのは
人間のかんかくで勝手にいっているだけで
おなじ星同士からみたら
けっきょくねえグロテスクきわまりないだろう
人間はいろんな色やひかりに
わりあいなんでも ....
君と一緒に花火をしたら、
夏が可愛くなった。夜が可愛くなった。
君ももっと可愛くなった。
僕は、夜の絵を描きたい。
あなたが安心して眠れるような、温かい、あるいは、涼しい夜を描きたい。
もし描けたら、僕もその絵のなかに入って、
きみと一緒に夢を見たい。
光を消して過ごしました
朝に揺れる光を消して過ごしました
吐かれた煙を夜から夜へ引き継いで
アベンチュリンの若葉を
湛えた私の両目が鏡の中で溺れている
揺れているものすべてを
....
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