浦安ボニー&クライド
平瀬たかのり

 あの熊ゴローは
 いんちき機関車の煙突に
 しばりつけてきてやったんだ
 見てこいよ
 あいつ今ごろ泣きわめきながら
 ぐるぐる回ってるぜきっと

 犬も虎もこてんぱんさ
 象なんて鼻をかた結びだ
 おう、アヒルは前々から
 特に気にいらなかったからな
 二度とガァガァ鳴けないように
 クチバシへし折ってやったよ
 
 よおマイハニー
 首尾はどうだい何だって
 お姫様とか呼ばれていい気になってる
 あの高慢ちきなメスブタどもの
 ドレス下から捲りあげて
 頭の上で茶巾絞り
 そんでもってパンツずりおろして
 ほっぽりだしてきたってか
 怖い女だねおまえはまったく

 きなよマイハニー
 パレードが始まる
 とうとう俺たち二人だけのために
 BGMは大音量のジャニス・ジョップリン
 尻を出しなよ
 先頭車両のてっぺんで
 さあ、つがおうぜ

 泣きさけぶ子供ら
 怒りくるう親ども
 目をふせる恋人たち
 俺がおっ立てた中指に
 月明かりはやさしくきらめく
 
 ああ、夜空が
 こんなにも澄みきっていたなんて

 なあマイハニー
 そのまま、首ねじって俺を見て
 夢見るような甘い声で教えてくれよ
 俺のこの自慢の富士びたいに
 どいつもこいつもの血は
 美しく飛び散っているかい?




自由詩 浦安ボニー&クライド Copyright 平瀬たかのり 2013-03-10 18:17:31
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