詩を読んだ日、
見上げると満月だった。
詩を聞いてもらって,
「いいね」と言われる。
詩を読んだ日、
見上げると満月だった。
十月の空の下
飛行船が落ちてくるのを待っている
ぼくたち透明になれなかった
行き過ぎた権利主義や個人主義
自己責任という名の帰属錯誤
民主主義に強い指導者を求めるは墜落の予兆
野を流離った苦行者たちや
石畳に血豆を潰した思想家たちが
一生を費やし学んだものはなん ....
念のため訊いときたいんだけど
お前らって本当に絶望してんの?
お前らって本当に葛藤してんの?
貧乏だったり孤独だったり童貞だったり
なにかしらそういう事情があるんだか
まあ事情があるにしろな ....
{引用=あなたは佇み夕暮れにそまる}
(dal segno una corde)
{引用=いくつものさみしさをひき連れて}
(col legno tre corde)
{引用=わたしの小さ ....
台所が火事で燃えている
私が寝ている間に火が消えてくれるだろう
そう思って寝ていても
火は消えなかった
もうかれこれ
半年になる
強風が冬を迎えにゆき
冬を連れて戻ってきた
....
黒の核
鈍く
ひび割れた音
あるいは
叫び
ドロッ
何かの潤い
視界の外
深淵
排他
無視
受容
etc.
たゆたう
たゆたう
たゆたう
ブルーベルベッ ....
わたし
というのは
ようするに泡だったようにおもいます
電波塔を模した指先には
噛まれた跡があって
手紙を書くたびにそれを思い出すけど
……だって、きずがあるのです
信号は青 ....
おんなが死んだ。顔のない恋人だった。
ミルクを垂らすと、時計まわりに渦をまいて死んでいった。
まんなかにあいた穴が部屋に生息していたものたちをみな吸い込んでしまったので、おとこはだれとも会話 ....
少女達は駅の回りでたむろしていた
少女達は皆乾いていた
全てのものが無機質な情景の中で
既に前からそこに居たように乾いていた
見えない虫の魂がボウと浮かび上がり
それはまるでカゲロウの ....
お茶の水 聖橋を渡って
弱い雨に うたれました
わたしを なくしたまま
あなたが わらっている
薬包紙を三角に折って
手が止まる
そのまま丸めて
くずかごに捨てる
遠く遠くのことを
そういうように
君のことを月と呼ぶ
{引用=即興ゴルコンダより}
道路の
ボタンを外して
話す角度で
回転させながら 引っ張れば
すでに白い車ごと海の上を進む
いや 河口が見えないけど川なのかも・・・
疲れた液体
過去の大小の球を 浮かべたような
蛇 ....
板の下で
眼が見えた
頼まれた
公園の噴水
鳥が彫刻になって
蟻の行列が分からない
人が歩けば
足裏で
お魚連れて行くので
噴水の池には
何もいない
夕立の後 虹でも出れば
....
こむずかしいこと言わんでもよろしいのだよ
たとえばだね
あひるちゃんとはいるお風呂とか
ちょっといいトマト使ったパスタとか
一日おひさまにあてたふとんとか
目 ....
僕の彼女は半月に一度、まるで発作を起こしたかのように暴走する。これは別に大げさな言いまわしなどではなく、「そのとき」が来ると、彼女は急に地面にうずくまり、体をふるわせながら獣の咆哮を響かせるのだ。目 ....
栗をむきました
それだけで
私の友達のもみじの木が
さらさらと笑いました
私は今、手に抱えきれない程の
難題を抱えているというのに
栗をむくのに必死だったのです
ねえ、君と私
....
メダカ、メダカ
メダカが卵を産んだ
妻が喜び声を上げる
メダカ、メダカ
犬のうた
おおかみのうた
サルのうた
にんげんのうた
にんげんのうた
川の音と母の中にいた記憶目を開けるまで生まれるまで
リモコンがリモコンを喰う朝ぼらけ
アマゾンの箱をひらくと射る瞳
ピンどめの天使の影の浮く便所
ぐぬぬより二文字多いぐぬぬぬぬ
....
うれしいことも、うれしくないことも一緒くたにして、あなたは僕を困らせる。
ラベンダーの香りのする部屋で、コウイチがそういった。その香りは彼の部屋を訪れたほかの女の香水の香り。これはわたしの男です ....
あるのか
ないのか
わからない
ドーナツの穴を越えて
オートバイは走っていく
いつか
行き着くかも
しれない
あるのか
ないのか
わから ....
死にたいヤツが死にたそうな顔してると思ったら大間違いでしょ
七福神のようなお顔で笑ってらっしゃるお父さんやお母さんやおじさんおばさん
うんうん頷く鳩だって眠れない午前3時は死にたくなるでしょ
....
ふと覚めて梨の皮剥く午前2時
長月夜 冷えて心に 傘重ね
ふりさけみれば 寄る辺なき鳥
手と指が触れあうためのそれだけのために旅した十代の頃
どこへでも行ける気がしたどこへでも去ってしまえるわけじゃなくなった
屋上のドアが開いていることを行かないくせに期待していた
空に ....
蜂に刺された事はある
蛇に咬まれた事はない
犬に噛まれた事はあっても
狂犬病を伝染された事はない
ライオンの檻には近づかない
骨折はあるが、頸椎や脊髄の損傷はない
指は切ったが切断に至った ....
松の枝みれんみれんと撓むなり
ほんとうのせかいがわかる病気です
どちらかの指が多いか少ないか
にんげんの水位を上げる遊びする
野の首を焼いた野火子のみがわりに
ぼくがいなかった夜と
ぼくがいなくなる夜の間に
とてもきれいな夜がある
素敵に暗くて、静かな夜がある
ポチャン、と魚が一匹跳ねて
それきりのような
夜がある
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