あなたは指で狐を作る

狐の唇が
狐の唇に触れる

百年が過ぎて

そっと離れる
あぶらぜみ 8年かけてうまれなく

蝉がなく

なかないなかない

喚くのは

我慢強い北国の

魂ひきつれ



泣けば気持ちが晴れるのに

喚くのは

どこかの ....
あめはうそだよ
むこうはどうせ晴れている
公園にそなえつけた船でもこいで
地平線にぶざまなきせきを残す
なるほど
もやは信じてもいいのか
それはもう間を隠してくれるから
いきいきとしてし ....
  西向きの窓から
  斜光が射す



  食器が並べられ
  煙草に火が点けられ
  いくつかの詩が書かれ



  最後に僕が
  玄関から入ってくる


 ....
  奪いたかったのは
  肉体ではなかった
  きみの内側にひそむ
  薄暗く丸いものでもなかった



  それは概念だった
  女だった
  ぼくが
  命をかけて奪い ....
やんだ、やんだわ、おうとうと、おうとうさんの、おうと、あれ首、
ほうどううきょうう、こううきょうか、きょうきょうう、しきょうう、

おかうさん、みちはたにゆりをすてないで、
ああしはみちみちひ ....
  みんな寝てしまった
  ここは薄暗い
  煙草の匂いが残っている



  三つの茶碗が
  シンクで黙っている
  ここは薄暗い
  ぼくは誰だろう



   ....
あなたは
決してわたしをゆるさなかった
はじまりの
隠しあう接触のぬくもり
黒くながれおちる髪を
手櫛でやさしく梳きながら
洩れる水を袖口に運ぶ


清潔な距離がくれた
まどろみの ....
すみれの花時計で十四時から二十三時までの十七分間を
世界で一番きれいだとうわごとくり返しながら
豚のように運ばれてゆく

荷馬車を降りれば
なまぬるく甘い夏に抱かれるのだ
息を詰まらせ汗ば ....
言葉はすでに
意味を 捨てた
俺は死にたい
木の 幹として
みんなどうしているのかわからない
それとも 僕に友達はいただろうか
夜の闇は深すぎる
今の自分を越えて行くには
車もなかった
ハドソンリバーの向こうに、
ブルックリンの光が散らばる
 ....
赤子のように

愛したひとがいた

しあわせだった


はじめて知ったひとの乳首を

赤子のようにさがした

姿が見えなくなったり

声が聞こえなくなったりすれば

泣き ....
  君に
  言いたいことがあったけれど
  誰かが言ってしまったから



  もう何もない
  日が翳る
  電車が騒ぐ
  来なければよかった
頬を殴ったのに
許された
私も母に似て
生きていくのか
殴られた男が
私の肩を抱く
力強く
殴った頬は赤く腫れ
力強く
私の体が腫れる
まだ生まれてもいない腹の中で
小さかっ ....
馬面の犬が
馬なのか犬なのか
誰にもわからない

郊外をギャロップで
駆けていく
どこへ行こう
あなたとはなれて
ひとり

さびしいよ  オレ 単身赴任
と、言ったら

みっちゃんも
さびしい
と、
涙をいっぱいにたたえて
うごかない体をふるわせて
白く
 ....
古い人体解剖図
の中の男に
愛をささやかれる
夜遅く女の部屋にゆくと

女の使っているお椀やお皿に

夕ごはんを盛ってくれていた

二十も年下であるのに

玄米ごはんと海老の水餃子をつくってくれていた

まえから誘われていたのを

ぼくは連絡をと ....
  一輪のすみれを
  花のところだけ切り落とす



  いとしい{ルビ女=ひと}よ
  きみの優しさが
  どこまでも悔しかったからです
冷蔵庫の中から
あなたが出てきて
おとなになりたかった
と訴える
こんな夜には
ビルよりも背の高い
おとなになりたかった
おとなになりたかった
目が夢を欲しがる時
演じることが 遠ざかる
電車の シートで
自分のことが 好きだった
{引用= ――はるな「桃のこと」に寄せて}

  桃を剥く
  なるたけ薄く
  しゅるしゅると
  あなたを剥く
  透明な肉



  最初に
  いだかれた痛み
  それ ....
  さわってもいいけれど
  そこにはないよ
  僕の手にも
  やせた胸にも
  ズボンの下にも
  さわってもいいけれど
  つたえられない



  書いたっていいけ ....
セミ
かと思ったらエビ
枝にたくさんの甲殻類が
困っている


 朝目覚む
 早き時刻
 妻に声をかく
 名を呼べど答えず
 名をもう一度呼ぶ
 目を開けず
 もしやとよく顔を見る
 もしやと閉じた
 目を開いてみる
 妻にっこり笑みて ....
海に帰る男の子がふえている。海に帰る途中で冬になった東京に寄り、からだを売り飛ばす男の子がふえている。海猫がコロニーをつくるビルを、非常口を確認するように稼いだ金を数えながら、のぼる。うにゃん .... 熱風と潮のからさに生足を出したというのは言い訳だろう


追想と他人の秘密を剥がす酒 求めないはずの指先を磨ぎ


隙をみせ皮膚が食われるもよおしを芽吹ける場所が賑わっていく
  突然
  女の胸が
  扉のように開き
  細く
  こわばった
  いくつもの指たちが
  ぼとぼとこぼれた



  モネの指
  キースの指
  アルゲリッチ ....
届かなかった
無数の声を
毛むくじゃらの姫が
歌う

時計が砂になるほどの
はるか昔の
花束
  お願い、
  ドアを閉めて。
  その椅子に座って。



  涙のギター、
  スライドして。
  出来るだけ、
  音を伸ばして。



  歌うなら、
  ....
はるなさんのおすすめリスト(1953)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 春日線香自由詩211-8-14
ウツセミ- yoyo自由詩211-8-13
うそつき- 中川達矢自由詩11*11-8-12
斜光- 草野春心自由詩11*11-8-12
奪いたかったのは- 草野春心自由詩3*11-8-11
あれ子- 古月自由詩4*11-8-11
吸殻- 草野春心自由詩2*11-8-10
こいびと- 因幡菫子自由詩32*11-8-9
すみれの花冠- 三原千尋自由詩911-8-8
死んだ心- 番田 自由詩311-8-8
NY五年目- 番田 自由詩211-8-8
赤子のように- 吉岡ペペ ...自由詩311-8-7
翳り- 草野春心自由詩511-8-7
畏怖- 長押 新自由詩1*11-8-6
冗談- 春日線香自由詩111-8-6
泣く光- 草野大悟自由詩5*11-8-5
秘密- 春日線香自由詩211-8-5
新しい女のへや- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...111-8-5
すみれ- 草野春心自由詩511-8-4
エンカウント- 春日線香自由詩1111-8-4
一人のリーマン- 番田 自由詩111-8-4
桃を剥く- 草野春心自由詩5*11-8-3
つたえられない- 草野春心自由詩511-8-3
誤訳- 春日線香自由詩411-8-3
- 生田 稔自由詩1411-8-2
- ズー自由詩3*11-8-2
油断大敵- 伊月りさ短歌311-8-1
イストの指- 草野春心自由詩411-8-1
夢の果て- 春日線香自由詩211-8-1
クソ- 草野春心自由詩211-7-31

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