すべてのおすすめ
公園で
夜のベンチで
おとこがきもちを冷ましている
仕事や人間やじぶんも含めたまわりや未来
おとこがきもちを冷ましている
夜のベンチで
公園で
何度みつめ ....
カラスが鳴いている
豆腐屋の笛の音がする
昭和16年の町の光が射している
悲しみはいつも異国に満ちている
清々しいぐらいあたりまえに朝が
地球が暴力的なまでに回ってい ....
この1年
よくひとに裏切られた
ひとり、ふたり、
さんにん、よにん、
ごにん、ろくにん、
みんなつらかったんだろう
みんながまんしてたんだろう
ぼくは走り ....
託児所に息子を迎えに行くと新しく来たと思われるこどもにジロジロと見つめられた。
ぼくが肌の色のちがうアフリカ人だからだ。
コンビニの明かりに照らされたりしながらぼくは息子と家路をたどる。
....
ぼくがいなくなれば
あなたは四人になれるという
でもそれじゃあ
淋しくてやりきれないから
ぼくを過ぎたら
あなたは四人になれると
そう言ってはくれないか
....
雨好きです
雨があがるように
死んでゆきたいと
うたった詩人は誰だったろう
雨があがるように
死んでゆけたのか
ぼくが死んだら聞いてみよう
雨好きです
....
まちあかりがにじんでいる
考えることが
日々の暮らしを送るためだけなら
まちあかりはにじんだりしないだろう
ある朝の街に泳ぎだすのは
よろこびか
かなしみか
....
あのひとのうちで食べた朝メシは
こんがり焼かれたトーストだった
自分ちとはちがうパン
自分ちとはちがうマーガリン
ジャムもちがった
そのなにもかもに違和感を感じて
....
からからの雑巾でも絞ればでる
これは経費削減の真髄をついた言葉だが
愛というものもそんなものかも知れない
ただ大切なことは
雑巾なら絞り手、愛ならば伝え手
つまり行動する ....
曇っているのだけれど
海のむこうまで見えた
青っぽい灰色
輪郭は鮮やか
きょうは風が強そうだ
つめたい風が強そうだ
とけてまっすぐチョコレート
重力まんまのチョコレート
匂いもひかりのことなんです
地球のうらがわ往復します
とけてせつないチョコレート
口をよごしてみたけれど
....
浄まってゆく
それに身を任せている
この十年となえていた名前が
さいきん出てこないんだ
きょうさ
なん時ごろ元気だったんだろう
だれとも喋らずに天井を見ているよ ....
おい俺いま泣いているのか
薬物に少しおぼれたことのある俺が
今はまったくやっていないだけじゃないか
当たり前の生き方をしているだけじゃないか
だれも褒めてはくれない
....
一回も会いたいとは思わなかった
それは意志のちからではなくて
自然なことだったのだ
理屈ではなかった
植物の蔓がはいのぼってゆくように
継ぎ接ぎだらけの方向性で
....
だから彼女は呪文になったんだ
いまじゃ音だけになっちまったけれど
傷つくたんびに口ずさんでいる
彼女はおおむね優しかった
おおむね面白い発見をしてくれていたし
おおむ ....
あの日
世界が一様に
劣等感を持った
でなければ911以降
あれほどの性急な
清濁の認め合いは
なかったんじゃないか
あの日
世界が一様に
....
女の部屋を出るのは
朝ではなく夕暮れにする
その鉄則
破るほど恋をしたのは
いちどきりだった
たぶん
苦しめるの分かってた
苦しみたいと思ってた
たぶん
女の部屋を出るのは
朝 ....
きょうそとは
キンモクセイの匂いしている
それだけが湿気のように
こすれあう肌が
お花屋さんの冷蔵室の匂いだ
植物みたいな悲しみに
ふたりはじゃれあい
た ....
これだけ言われてもまだ
俺の純情はぶらさがっている
離れようとした
助けを求めようとした
助けようとした
気をひこうとした
これだけ言われているのに
こんなぼ ....
赤子のように
愛したひとがいた
しあわせだった
はじめて知ったひとの乳首を
赤子のようにさがした
姿が見えなくなったり
声が聞こえなくなったりすれば
泣き ....
夜遅く女の部屋にゆくと
女の使っているお椀やお皿に
夕ごはんを盛ってくれていた
二十も年下であるのに
玄米ごはんと海老の水餃子をつくってくれていた
まえから誘われていたのを
ぼくは連絡をと ....
そざつな草むら駆けだしている
雨の窓辺にピアノをたたいている
薄曇りの鏡にあたしがうつっている
夕べは花芯をそよいだゆび
朝には枕にもたれているの
肉の夢をむさぼりみ ....
うかれているしかなかったのだ
さびしかった
信じられないくらいの
さびしい状況にいたのだった
いちかばちかのような気持ちだった
だから
うかれているしかなかったのだ ....
夜をひとり歩いている
もう1時間はんになる
コンビニの袋がちりちり
さびしくないと言えば嘘になる
電車が音をたてている
町のあかりが点滅している
星が粗雑になっ ....
あなたみたいな植物ってあるよ、なんて言われたら
きのう僕は気が短くて
植物なんかと一緒にしてくれるな、と叫んでしまった
しばらく言葉の暴力を浴びせていると
女はひとしきり泣いてから諦観めいたこ ....
墨いろの街道
放たれた欲望は
雨上がりの夜にさえ
涙ながして飛んでゆく
飛んでゆく
好きだけじゃ
足りないみたいだ
このせつなさを
春の切実と名づけ ....
つめたくて
やわらかな
夜中の大気だ
コンビニの袋を
ちりちりといわせ
二人で歩いていた
着込んでいるのに裸なふたり
既婚でいるのに
ややこしいこと ....