誰もいない駅のホームで
私もベンチに座りながらいなくなった
目の前を横切る自動車たちも
時間の速力に負けてきれいに消滅していった

陽射しが背中から射し
線路越しに落ちる駅のホーム ....
雨は止んでいつの間にか
少し傾いた電線の上に
冷たそうな空が切り取られている
横たわるものはそのままに
しておけば
やがてもっとあいまいになるのだろう
無造作に広がる煤けた空気の中
均等 ....
  私は死にます
  毛羽立った蜘蛛猿を
  折りたたみ、鞄に詰め
  雨降りの後の細い小路を
  私は気軽に駆けていきます
  お元気で
  どうか、お元気で。
電車内で態度の悪い
高校生をいきなりぶん殴ったら
倒れたきり動かなくなった
多分死んでいると思う

態度の悪い高校生は
態度さえ悪くなければ
こんなことにはならなかったと
後悔しながら ....
小平市の住宅街でバリバリと音が鳴り
とつぜん、目の前の住宅が取り壊された
私は三か月前から仮の住まいを持つだけなので
家が壊されるこまかな事情は知らず
事情を知らないゆえ
その家は突然、取り ....
きみは
とてもきれいだから
それが理由で
いつか死ぬんだよ
うらやましいな、
冬の檸檬を
ひとつ
ポケットに入れている
きみの感性を
いつだってぼくは
軽蔑してます。
  おまえの
  黒い頭蓋のなかで
  やわらかい緑色の犬が湿っていく
  (今、それは
   事実だ)
闇が近づいて
満ち潮のように
音もなく
あたりを沈める

冷たい空気に
体を震わせて
やっと夜に気づく

なんという 孤独だ
飯場に着くと、俺たちは襤褸雑巾のようにへたり込んだ。ねばい汗が皮膚に不快に絡みつき、作業着は雑菌と機械油の混合された臭いを放っていた。風呂は順番待ちだし、俺たち人夫は泥のような湯船に浸かるしかな .... 喋ってはいけない夜よはやくはやく
ぼくらは一人一人潰されていく
空気をすうようにかおをあげると
そこだけが赤くあとは青い
ぼくらは祈り祈られる
望まない死を望むようになるまで
  ながい階段が その夜
  わたしの内に滑らかに延び
  喉の辺りで途切れていた


  笑えるほどにせせこましい
  悲しみなど疾うの昔に
  桃色の床で何者かに
  踏み ....
私は歩けない私は歩けない私は歩けない私は歩けない私はあるけない
私は歩けない私は歩けない私は歩けない私は歩けない私はあるけない
私は歩けない私は歩けない私は歩けない私は歩けない私はあるけない
私 ....
共に感じていることは
なかった

この10年
私は私の内側を
作ろうとした

それは
他者が
私をわかろうとすることを
拒否するためだ
   朝、歩いていく道が開けている
   青く高い空が輝いていて
   私は
   コンビニで買ったコーヒー缶を飲み
   煙草を吸いながら
   駅までの距離を歩いて ....
 散財につぐ散財でまったく有り金がなくなった。
 ギターすら売っちまった。
 あとにはおんぼろの車と愛すべき彼女だけが残った。
 友達への借金も残ったままだ。

 そんなある日彼女を連れて海 ....
くるりと回すと宝物は潮の匂い、使い込まれたそれらはところどころ錆び、いっぱいあるけど違いがわからないって言うと笑う顔に歯がない、かつてキスやらクサフグやらと一緒に愛車のトランクに入れられたそれらはこれ .... 安売りをしていたので
星をひとつ買った
命名権付きということで
相応しい名前を小一時間考え
以前飼っていた犬の名前をつけた

部屋の電気を消すと星は仄かに瞬いて
偽物みたいに綺麗だ ....
海がもしも優しくするって約束してくれたら
あたしは沈没してもいい
船になる
何をして何をしないで生きられるサラダにプチトマトは入れない 覚えてる
あたしは最初 小鳥の卵だった
知ってる
あたしは卵から孵った子
わかってる
あたしは あたしだってこと
いつまで経っても飛べないけど
それが あたしだってこと
ちゃんとわかっ ....
みあげてもみあげても空は足りなくて骨になったら海に行きたい   小さな島に移り住み
  満たされたひとたちは
  くだらない寓話を書いた


  虫を殺した
  テレビを観た
  風邪をひいた
  支払いを渋った
  過ちを悔いた
 ....
 
 
部屋に海が落ちていた
魚の姿は見えなかったが
遥か遠くを
タンカーが航行していた
 
朝のうちは
キッチンの方へと吹く
潮風にあたり
そのように過ごした
 
午後 ....
  壁に穿たれた
  美しい釘のそばで
  うしなった言葉を私たちは捜す
  古臭い絵には茂みが描かれている
  垂れ耳の犬のながす 白く長いよだれ
押すなよ!押すなよ!といってる人の
背中を押すのはよしなよ
ねえよしなよ

押すなよ!押すなよ!といってるくせに
背中を押してもらうことを
期待するのはよしなよ
ねえよしなよ

俺の ....
  かれらが、一体なにを
  言いたいのかちっともわからず
  ことばのなかにひらめく暗闇をさがした
  目を凝らして 耳を澄ませて 鼻をとがらせ



  けれども本当はかれら ....
  驚くに値しない
  あなたの指のなかに
  古い町がひとつ埋まっていようが


  青い部屋でわたしは 静かなチーズを齧る
  散らばっていた 丸い 悲しみの粒を
  一列に ....
夜の海辺を
韻を踏んで歩くと
奇妙な砂利は
ペイントされ
同じ表情をかもす
眠りに落ちた
カモメの泣き声を
閉じ込めた貝殻に
吹き込んだ愛について
空き缶に零れた
海の ....
雨で
ヒゲが湿って
しょぼくれてる猫

軒下から
灰色の空を呪い
ふやけた肉球を
丹念になめまわす

寒いだろう、とか
冷たいだろうと思うのは
いつだって人間の勝手で

猫は ....
  硬い建物は
  不躾な質問に似ている


  夏の朝、
  青い樹がそよぎ
  世界から こぼれ落ちそうになると
  わたしは動けなくなるのだ
  かつては二つ並んでいたが ....
はるなさんのおすすめリスト(1953)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
救い- 葉leaf自由詩515-12-20
許されたときの記憶- noman自由詩215-11-8
kumozaru- 草野春心自由詩215-11-8
キンタマ王子、高校生を殴る- 花形新次自由詩315-11-6
窓枠- 高橋良幸自由詩9*15-11-3
冬の檸檬- 左屋百色自由詩915-11-3
zugai- 草野春心自由詩215-10-27
ひとり- ガト自由詩8*15-10-21
出稼ぎ人夫- 山人自由詩4*15-10-7
祈り- 佐藤伊織自由詩3+15-10-3
ながい階段- 草野春心自由詩515-9-22
私は歩けない- 小川麻由 ...自由詩3*15-9-18
雑記- 佐藤伊織自由詩315-9-6
ラッキーデイ- 崎山郁自由詩4*15-8-26
メモリーモーテル- ヒヤシン ...自由詩5*15-8-15
夾竹桃/即興ゴルコンダ(仮)投稿.61- こうだた ...自由詩5*15-8-8
夕日- たもつ自由詩3515-8-1
約束してくれたら- もっぷ自由詩11*15-7-18
何をして何をしないで生きられるサラダにプチトマトは入れない- 北大路京 ...短歌515-7-16
あたしの唄- もっぷ自由詩415-7-13
_*- もっぷ短歌415-7-6
満たされたひとたち- 草野春心自由詩115-6-27
言い訳- たもつ自由詩515-6-22
美しい釘- 草野春心自由詩215-6-20
よしなよ- カニさい ...自由詩115-5-29
かれら- 草野春心自由詩415-5-24
並べる- 草野春心自由詩16*15-5-23
微笑の群れ- かんな自由詩8*15-5-22
奇跡の耳- ガト自由詩4*15-5-21
不躾な建物- 草野春心自由詩515-5-17

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