友人の死の
秒読みが始まった
君は「生きたい」とぼくに言った
このような時に
かけてあげられる
有効な言葉は
まだ発明されていない
すべてを
否定するかのように
ぼく ....
指先であそぶ旋律がピアノの鍵盤の上を流れて
部屋に溢れるやさしい音階のすきまに
天球図は青くひろがってゆく
東のかなたの
さそりの心臓は自ら発火し
そのきらめきは引き出しの奥で眠るルビー
....
ぼくは流れてゆく、洗面台から消えてゆく、洗面台の排水口から、少しづつ、消えてゆく、冷え切った蛇口と、無造作に放置された、石鹸の反目、ぼくの手は、今日も汚れてしまった、ぼくは石鹸で手を洗う、今日一日分の ....
人類が滅びて久しい荒野の中心
ぽつりと浮かんだ吹き出しに
最後の最後にだれかが書き込んだ言葉は風化して
そこに霞んだ消え残りが歌うのは
何だったか
今では誰も読むことは叶わないがただ
貧相 ....
一滴の血
一滴の汗
一滴の涙からできている人間がいる
全細胞にくまなくゆきわたっている
人間が美しいのはそのためだ
人間誰 ....
立ち眩みがする
ぼくは街の中でしゃがんでしまった
しばらくそっとしておく
歩けない
アヒルのようにも
吐き気はない
街が回りだしたのだ
さけびたかった ....
感情の糸をわたる指先は
安いヴァイオリンのように響いて
逆立つ髪を宥めれば
傾いた首の方へ流れてゆく
(鼓膜を抜けて届いた先には
やわらかいあなたがまるまっている)
明滅 ....
子供達の笑い声が響きます
夜の頃、寒空の影のあたりで
冬の薄皮の下、破れそうなぎりぎりのライン
ジャケットを探す手で
ため息の縁をつかんでみる
思いのほかよく伸びるそれを
つま先まで引 ....
私 不在のまま
幾つかの涙が流される
私 不在のまま
地球は回る
私 不在のまま
予約録画は始まる
私 不在のまま
私の詩は読まれる
シェフトフではないが
不安である
なんと言うこともなく不安である
落ち着いていられない
地震が来る
火事がでる
死が迫る
急勾配の地下鉄のエスカレータ ....
馬鹿ターボ
全開で帰宅する俺
髭をたくわえ少しワイルドな俺に
おかえり、を言う娘は少しワイルドな俺に少し慣れ
一番星が出始めた空の下で縄跳びの練習中
綺麗でしょ、綺麗でしょ
いや、 ....
光が息を通りすぎ
ひとつの花
ひとつの羽に分かれてゆく
線だけの街に
雨がひとつ咲き
小さくふるえ 増えつづける
無音に打たれ ひざまづくとき
白い林の連なりを見 ....
天気のいい日はたまらない
家からは出ない
窓も開けない
(つらいのだ)
去年の夏は猛暑で
「来年の花粉はひどいでしょうね」と
誰かが言っていた
*
....
今朝も電車の中で
僕はすし詰め
くたびれた背中のお米達に
すき間なく囲まれて
まぐろの気持が少しわかった
目を閉じると
あのきれいな木目の板へと
運ばれてゆくのを感じる
「 ....
ふわり
ふわり
不安はよぎり
譜割も未完に詠われない
ティンノートに書き溜めた
並べたてた 煙たい詩言
−自由でありたい−
ポカンと吹き上げた
悪戯 ....
生まれ落ちたのは下町だった
色褪せた写真のように
どれも茜色に染まっている
真昼の公園も
二間のアパートも
父親が働いていた小さな町工場も
視線の先には
いつも人がいて
ろくろ首の ....
焼けた町に流れる町内放送には暗号があります
シヴァー、する、
傾いたトーテムポールの影にはゆふゆふする群れ
浮力です、それは、黒からの、
パンの中のさかさまになった木の実は甘酸っぱいも ....
a.
睨み合う矮小
憎しみと欲望は
隔てられた割れ目の
隙間で歪曲された
輪ゴムの一面の憐憫を
その他の面の不実を
伸ばし
引き裂き
廃棄され
虚しさの
秩 ....
アンダルシア鳴り響き、
呪いの言葉も吐き尽くされ続けて、
尽くされているのに続けられてて、
僕は、僕たちは、
アンダルシア。
そのなんたるかを知らない。
朝になったら、
彼女は少女に ....
宮沢賢治の詩を読むのは、とても辛い
自分の苦に、まといついてくるみたいだから
彼は、いつもじたばたしている「デクノボー」であるから
辛いけど、あざとい詩もあるけど、美しいから困る
日本語が ....
ひとりで、
ベランダに腰を下ろし、
F-22米軍戦闘機の、
プラモデルを手にして、
雲のない、
午前の青空を見る。
(わたしの両手が湿っている)
あたたかな風は、
わたしの、
首筋か ....
しあわせ村の村長さんは
昨日のことをすぐに忘れる
村の人口は減少してるのに
新しい学校をつくり
新しい文化会館をつくり
そんなこともすぐに忘れて
今は道路をつくることに夢中だ
....
{引用=今も変わらずに花の名である人へ}
きっと気紛れに入れたのでしょう
桜の花びらが
はらりと、
不意に零れ落ちたので
もうどうしようもなく立ち尽くしてしま ....
荒れ野が荒れ野に流れ込み
丘の上の空へと打ち寄せている
冬に冬が接ぎ木され
咲く花は記憶の色をしている
脚から生まれた羽を育てて
小さな小さな双つの稲妻
夜の窓 ....
バスを待つ
風は強く
私を叩きつけて
冬へと逆戻り
したがってるみたい
たったひとつのことが
万華鏡の世界のモトで
本当は一つのことで
たくさんなんてありはしなくて
花の咲かない ....
今回は読む話ではありません。申し訳ない。
最近、調子が悪い。活字が読めない。。。自分の中の課題図書に手を付けれない状態です。
現代詩フォーラムのお気に入りも「new!」だらけ。精神的なものだから、 ....
粉雪が舞い落ちる
ひらひらと
ふわふわと
世界が白に染まる
視界が白で埋まる
浄化が街を覆う
全てがリセットされる
ボクは立ち尽くす ....
空には幾世代もの飛翔した軌跡が
白く重なり
海には幾世代もの尾鰭の跡が
果てるともない波を繰り返している
そしてぼくらはときどき
幾世代もの記憶の上に立って
詩を書いていたりする
ち ....
煙が這っている
吸殻 だとか 灰 だとか
抜け殻 だとか カス だとか
置き去りにして
きれいに消えてみせる
そんなふうに居なくなるなんて
ずるい
ただただ ずるい
儚さだけを ....
押し出されてゆく
押し出されてゆく
波打ち際を
海へ
風が背中を押す
バルチック海ではない
鎌倉の海でだ
実朝が幻の建造船を ....
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