カマキリに襲われた眼球は
皿 皿 と 皿 皿 と
血を流しているのでありました
そのとき 時計はとまったままで
あたりは白くなりました
....
ひとつ
息を吸うたびに
くうきが 肺のそこに届く
吐き出せば
からだは
音の波をかきわけて
くるくると
上に 昇るのだ
追いかけていく先の
もっと上のほうにある
空の高 ....
立ち並ぶビル群の幽霊
ビル風が吹き抜けると
敷かれゆく風の線路の上
滑らかに空中列車は行き交う
乗客は皆視線を落とし
日常に見つからぬ出口を
携帯電話の画面に封じ込める
「 ....
指は捩れた釘、その錆びた切先で裂く、僕らは、
宙を、
僕の頬を、
きみの鎖骨の下を、
すると膚と肉がみにくく割れて
黒い血が落ちる
横たわる僕らの眼に青色の空が映る。
完全な空の ....
ぼくの 内側には
ふたつのいろをした
無数のコトバが はりついていて
ぼくは それを通して
世界を みている
ぼくのお弁当のスウプをみんなわらった
カバンをぬらし ....
花を 手折るのが
わたしであるうちは
わたしは花ではなく
手折られることもない
ナイフを構えるのが
わたしであるうちは
わたしは傷とはならず
痛みにうめくこともない
無数のあな ....
つぶやきみたいなものです。
○私にとっての詩
私にとって詩は、言葉で表せないものを言葉で表してくれるありがたいもの。
表せないものってなんじゃ・・・小川に素足を浸した時の、「あの感じ ....
今日から自分をデブだと思うことにした
デブ・・・
そのうち人にも呼んでもらうつもりだが
まだちょっと気恥ずかしい
1.
デブ界に足を踏み入れる
赤ちゃんのような笑顔の石塚
うんち ....
「チャールズ・ブコウスキー」
あなたは自分を制御できない自分を、
ダメオヤジ、だってわかっていて
せっかくのチャンスを片っ端から壁に投げつけ、台無しにしてしまったのだ
チャンスって ....
最上階のプライヴェーエト・ジァアグジィーの
黒い鉤型の湯出口に
バラいろのヤモリどんがつっかえている
赤ん坊のように柔らかな爪のはえた
短い後ろ足をじたばたさせ
水道管の奥へ奥へと身をよじら ....
深夜、男友達から『お前のことずっと上海してた』と電話。ひどく
驚き、『ごめんなさい』とだけ応えて電話を切る。自分の言動を振
り返り、しばらく彼には会わないでおこうと決める。図らずも点と
点 ....
週末の淀んだ駅の構内で
すれ違う人々の心の{ルビ懐=ふところ}に
「ある独りの人」がおり
優しくうつむいていたり
寂しくほほえんでいたりする
「ある独りの人」は
(声をか ....
風が私の輪郭をなぞる
私は風によって顕れる
その刹那
私は世界だ
世界が終わるとも
声は続く
風の意志は続く
世界は風によって名付けられ
名は風に隠されている
声は名 ....
陽が当たらないこの部屋には夜が堆積したまま、おはよう。
けして眩しくはないけれど、それは挨拶だ。
腕を下にしていたのでしびれた。下敷きが平たく硬いのは、しびれずに楽に生きていくための防 ....
まけじゃんけんというものをおそわりました
さきにあいてがだしたてに あとから
わざとまけるてをだすじゃんけんだそうです
ぱーには ぐーを
ちょきには ぱーを
ぐーには ちょきを
ま ....
駅前の
立ち食い蕎麦屋のトッピングの
百三十円の
黒い汁に浮いたかき揚げを齧りながら
予感することと
予感された世界に生きることとが
微妙に喰い違う
駅前の
ガソリンと赤錆の臭 ....
奥歯に力をこめるとサイコロが
意外なほど簡単に砕けてしまった
耳と耳の咀嚼する
ねばりけのつよい青空
と
鼻先に広がる雑踏
その一枚むこうで
花火が音もなくたちゆらぎ
ぽこ ....
霊安室の白い籐籠のなか
ピンクの野の花にうずもれた君の
艶のない栗色の背中から
ひからびた鼻先から
濁った黒目のまわりから
しぼんだ肉球のすきまから
丸々と太ったノミどもが次から次へと ....
居酒屋の「ジジイ」は啖呵を切った(採録・抜粋)
*
ボウズへ
*
そこのボウズ
テメェのしてることはつまらねぇことだ
わかるか
わからねぇだろ
カン ....
おれは見たい、
赤錆びた鉄塔の頂きに
鳥のように爪先立って
人影のなくなった都市を見たい
きみとだ
おれは見たい、
太陽のとなりに炸裂するもうひとつの太陽の誕生を
塵からつくられ ....
1
野村さんの奥さんにはきちんと名前があるが「野村さんの奥さん」と呼ばれても野村さんの奥さんはあまり気にしない
野村さんの奥さんは決して「若奥さん」なんて呼ばれないことを知っているがそ ....
街路図には
方位が記されていないので
正しい道順はもうわからない
人影のないアーケイドを逆順に進めば
三番街と一番街のあいだに
二番街がない
封鎖された地下通路から
川底 ....
少し煩かったので首に巻いた鎖を強めに引っ張るとあっけなく死んでしまい仕方なくオブジェにでもと思い立ち鎖を梁に掛けてそのままテコの原理でククッといや本当はズズっという音がして小便やら大便やら ....
冬納めの儀式は古来より西院にて執り行うものとされている。その間、本尊は伏せられ、黒いラシャ布が被せられる。これを本尊隠しと称する。永年、雪守家の末子の役目とされてきたが、鴉葬以来、毎年、隠し役を選ぶ ....
いま、北川透の『荒地論』を読んでいる。なにをいまさら荒地派などと。。。と思われる方も多いかもしれないが、WW?敗戦直後の日本において<詩を書くということ>の意義を、それを単なる個人的な創 ....
ドナウ川の交番脇を
飛ぶ石曜日をつんざいて
マンテンバイクのレッドロブスター号にて
SOON SOON SOON
高速道路の真下も真下
巨大ネオンも若々しく
田園地帯に屹立する
ディ ....
ついに満を持していとうさんまでが(笑)登壇。原口昇平が佐々宝砂へのポイント投票時のコメントに「触発する批評」の宣伝をさりげなくやっちゃったりしているが(笑)「触発〜」ですら為しえなかったこのサンヨーオ ....
1.
顔を洗って髭を剃ると
私の顔は鏡の中にあった
洗面所の窓
その外にはいつも外があって
夜がまだ薄っすらと残っている
貞淑なやす子は朝食の後片付けをしている
今までの毎朝 ....
日曜日だっていうのに
昼過ぎになって
ようやくベッドから起き上がると
カーテンを開けるまえからそとは
なんとなく雨模様で
アタシはそんな気がして
出窓のふちに腰掛けると
....
ハピネス。
幸せについて語ろうとすれば
それは光のように輪郭をなぞって透けていく
影はすべて
光を雄弁に語るハピネス。
流れ、を捉えることが難しいのと同じくらいに
私たちが生き残るのは ....
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