泣くために悲しんだことがある


砂浜にかじりつくようにくいこんでいた白い貝は
まるで生きているみたいに艶やかな色をしていたから
指先で撫でたら深くもぐりこんで逃げてしまうような気がした
 ....
ほうほうと
夜を捜す声がする
ほう 一羽飛び
ほう 一羽飛び
またひとつ木は居なくなる
雨のなか
しっかりと手を握る子ら
緑の闇に
飛び去る羽音を見つめている


 ....
夜の更ける頃
君の身体から
今までに聞いたことの無いような
音が聞こえてきた
安らかに君は君の中で
溺れているのかもしれなかった

+

縄跳びの回数を
数え間違えて
少女はずっ ....
「      」

昨夜のあいさつは、耳からこぼれる雨のよう
に切なく潤い熟し、さららと色を空を映す欠
けては満ちる月の鏡。

お早う
もうこんな時間
そろそろ失礼します

耳に残 ....
太った男の人が
日向で陽の光を浴びて
まだ少しずつ
太っている
やがて坂道経由の犬がやって来て
すべてを食べてしまった

+

お座り、が得意な子でした
お手、もしたし
 ....
驚くべきことに土佐日記はおとこがおんなになっておとこのことばを使うしか日常の文学が書けなかったという困難を表している。日本語を使うときそんな歴史があったことを考えるといろんなことがみえてきそうだ。おと .... {引用=
「鼠の小説には優れた点が二つある。まずセックスシーンの無いことと、それから一人も人が死なないことだ。放って置いても人は死ぬし、女と寝る。そういうものだ」
(村上春樹『風の歌を聴け』より  ....
暗闇に咲く白い花は風に散り {ルビ蝶=ちょう}の羽となり

  ゆるやかに宙を舞い

残された葉の一枚も一本の細い茎を離れ

  ひらひらと

豪雨の過ぎた激しい川の流れに飲み込まれて ....
焼き鳥が
香ばしい匂いを振りまきながら
暁の空を行く
カルシウムでできた複雑な骨を失い
たった一本の竹串を骨にすることで
初めて得た飛行を
力の限り大切にしながら
もうコケコッコ ....
真夏の日差しの照りつける
石畳のオランダ坂を下っていると
左手の幼稚園の中には
元気に足踏みしながら歌う
水色の服を着た子供達

入り口には
ひとりはぐれて泣いている男の子
笑みを浮か ....
しにゆくものなんです
ぼくらは
それだけなんです
ぼくらは
それしかじょうけんが
ないんです
そんなにむづかしいですか

かいひはいりません
しにゆくものということだけなんです
わ ....
好きなものを頼みなさい
メニューを渡すと
娘はしばらくうつむいて
星が見たいと言う
隣のテーブルにバスがいたので
手を繋ぎ乗る
ひとつ前の停留所で
サーカスを見るために
大半の客は ....
たもつさんの詩集が届く。注文してから、すでに2ヶ月が過ぎていた。発送元には何の罪もない。メールで注文したのはいいが、自分のアドレスを間違って入力していたのだ。いつまでも連絡がこないはずだ。ネットは、す .... 夜と同じものが立ちはだかり
窓の外は暗くにじむ
歌うは神の無い月
瑠璃色の雲の一節
苦しみの幾拍かをとどまらせて





すべての低いとどろき
午後の果て ....
よく晴れた日
ハンガーに吊るして
自分を干してみる
きっと人はこのように
優しく干からびていくのだろう
水分も記憶も失いながら
+

鏡に向かって
笑う
そんな嘘
ばかり ....
眠りは当局から支給される
月にいちど注文をすることになっている
私は主に スタンダードな「白の眠り」を注文する
けれどいつもおなじ眠りというのも
あじけない気がするので
やはりスタンダードな ....
尖った粘土に
刺さった虫
のように
息だけ
している
息しか
できない

+

明方
キリンの群れが横断歩道を
渡っていく
あれは首長竜の一種だ
と弟に教える
弟は悲しそ ....
人の嘘で
鳥は空を飛ぶ
鳥の嘘で
ドアは人を
閉じ込める
ドアの中で
人は鳥を
飛ばし続ける

+

いつも
三人なのに
いつも
八等分
してしまう

+

 ....
 バケツに頭を突っ込んで、水の中の微生物
を見ていた。はがれそうなコンタクト。ギリ
ギリのところで私は目を閉じる。
あれ?今、確かにイカダモが!

ザバアッ!

顔を上げた勢いで、バケツ ....
朝のやかん
なぞって
もう一度寝る
エビの夢を
見ながら

+

階段
すべてが
階段
そんな
建物

+

夕刊の
「帰」という字を
黄色く
塗っていく ....
煙突から煙 が似合う夜更けに
マフラーが棚引くと息が詰まる
三水に魚 の意味を模索する内
私の顔が魚に近づいてきている
ような感覚を 例えば鰓がある
息詰まるマフラーに愛着が涌く
   そ ....
意識されない曲線の内側で
永久機関の少女性が調弾する。

その輪郭は振動し
奥深く鳴りつつ最果ての嘘を静める。

お先に失礼
直線的で清音の科白が膨張する空のもと
つきぬける(或いは私 ....
三本目の脚の脈打ちを性器に感じながら、夜はたちうかぶ精気たちを無数の舌でささえてゆく。いまだ散開しつづける空の屍骸が夜のなめらかな声帯をたきつけて、金属のすりあう音をたてさせている。人と人との間には巨 .... 高い夜
低い夜
地が空へ向かう夜
遠すぎる火をあおぎながら
あまりにも廃墟に近づきすぎていた
雨が緑を照らしていた
小さな葉が群がり
石と石をつなぐ力にしがみ ....
触れ合うためにあるものを
手、と呼ぶのなら
私はいらない
私には
ない

たそがれは穏やかに
その時を待つ
眠れない暗闇と静寂は
心を熟すのではなく
怯えさせるのでもなく
た ....
アル中男の逸話      祷瀬チカ 
頭を抑えてやっとの思いでベッドを起き上がると握っていた目覚まし時計は昼の二時を指していた。何の気なしに、手を差し込み両手を広げると、差し込んだのは昨日の夜出 ....
 思い返せば僕にも「青春」と呼べる時期はあった。新宿・歌舞伎
町で地面にダンボールを敷き、夜明けの始発の時刻に僕等は立ち上
がり、それぞれの現実に向かって歩き出し、駅の改札で互いの手を
打ち鳴ら ....
ある麗らかな朝、一行の詩が書物から立ち上がってはるかな水平線をめざして言葉の海を泳ぎだしたまま行方不明になった。さっそく捜索隊が組織され船出することになった--------。


どうも気がすす ....
ガッツ星人にやられて
爆発炎上してしまったウィンダムに
ウルトラセブンは 別れのことば ひとつかけてやれなかった

次の瞬間には ウルトラセブンは闘っていたのだ
地球を侵略者の手から救う ....
わたしがなにかを破壊するのは
これが最初ではない
路地裏に落ちて砕けたガラス
影のささない正午の広場
舗道をめぐる人間の群れ
音楽は次第に雑音となり
女王が不吉な命令を下す
彼女の声は叫 ....
岡部淳太郎さんのおすすめリスト(1118)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
砂浜で拾った貝殻はどこまでも沈んでいった- ベンジャ ...自由詩11+*05-10-24
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散歩道- 加藤泰清自由詩3*05-9-29
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