液性大気のなかに
光はあまりすきとおってしずんでいて
見え方がおかしい。
あの貯水塔は私を見ているようだし
とおくで杉が一輪の花のように噴きだしている。
(ほんとは何処も真っ暗なのに)
「ネット詩とビート」
{引用=「テレビは深い参与を求める様式であるから、若い詩人たちが突然に喫茶店や公園、その他あらゆる場所で自分の詩を朗読する事態を引き起こした。テレビ以後、詩人た ....
下り坂は
南を向いていて
西に緩やかなカーブを描く
早朝
陽の当たる坂道を
桜並木のある坂道を
幼い彼は箱を抱えて歩いていた
簡単な恋をしていた
簡単な悩みもあった
け ....
1.
かみさまは、どこですか。
2.
かみさまは、どこですか。
道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩 ....
{引用=
「どのようなエクリチュールも、最終的には、言葉を知らない、コトバ以前の感覚的な、感性的な存在を、コトバによって、ということは同時に法によって貫かれた倫理的な世界へと、〜ある決定的な痛み ....
一週間も社会にでていれば金曜の夜には心がカチカチなので
硬くなった心をすこしでも揉み解そうと長くお風呂に入って
みる。電気を消してずずっと湯船につかって口と鼻との間に
水面がくるよう ....
{引用=
「詩とはなにか?−この問いに対する答えは、詩の方法的、形式的側面からなされるのが普通です。しかし、形式的規律をもたない自由詩以後は、こうした側面からこれに答えることは、全く困難になってしま ....
うたうたうあなたの口もとに
ほほつたう涙のあじは
悲しいだけではありませんでした
にぎりしめた砂の声を
聞いたことがあるだろうか
互いにこすれあいながら
小さくなってゆく声 ....
「あけみ」という女の子の話。
違うかもしれない。もしかしたら僕の話かもしれない。
あけみが僕のそばにいることに気づいたのは彼女の一周忌の夜
彼女にはとても好きなカクテルがあって
僕は供養の ....
それは どこですか
滑り込むような夕凪ですか
平坦な気持ちを
乗り継ぐようにして目覚める朝には
透明なコーヒーの
一番底にある苦味を
噛み締めるようにして始まりになる
遠くない窓 ....
お子さまからお年寄りまでみんなに人気の定番メニュー、
コアセルベート・スープはいかがでしょうか。
まず恒星の素を用意します。恒星の素はガスまたは液状です。
缶やビンに入ったものがスーパーで売 ....
{引用=
「詩学は詩の屍体解剖である」 高村光太郎
}
○まえがき:
はじめにことわっておきますが、私は「詩学」について全くの無知です。はっきり言って、「詩学」が何たるか ....
石鳴り渡る日々過ごす月下
意思成り噤む日々過ごす晩夏
無我より生まれた自我 人は衰えたか
煩悶を良しとせず あえて振舞う奔放は優か
苦悩の輪廻の中で 膨大な自我が無我になることは?
物言 ....
はじめに言葉ありきと
はじめに私ありきの間で
振り子の玉が行き来する
言葉があり 世界がある
(ひゅっ)
私がいて 仲間がいる
(ひゅっ)
木がたっている
(ひゅっ)
私泣い ....
ゆるやかに
お前は、
みみずくの声を聞いたか?
独りで飛ぶ夜の音を
鋭い爪をひからせて
目を丸くひからせて
独りで飛ぶ夜の音を
そよぐ
お前は、
影が走るのを ....
車内はひんやり寒い
乗客はみな一様にうつむき
僕の呼吸だけがまた
不細工な格好で繰り返される
耳元で川が流れている
昔、綺麗な魚に見とれて
手袋の片方を落とした
それは確かにあっ ....
桜
錯乱
咲き乱れ
風に舞う舞う
花吹雪
狂おしく舞え
狂おしく散れ
桜
錯乱
咲き乱れ
闇まで染めよ
夜 ....
夏、わたしのさみしさへ
はぐれた雲がひとつその影をおとしてゆきました。
青い空はわたしのものではなく
雲はしずかにながれてゆきます。
そのあわいかげにいつか はなの
しろいひとひらがあらわれ ....
先生、
ぼくのお兄ちゃんが
このあいだ死にました
ぼくのうちは
3人兄弟です
全員男です
まん中のお兄ちゃんが
死にました
名前はゆうごです
ぼくは「ゆうごちゃん」と
....
空がちりりん
春の鍵をもった太陽が
今日もあちこちの箱をあけにのぼりました
山の
土の
風の
屋根の
木の
公園の
ブランコの
女の子の
かちりかちりと
ちいさな鍵 ....
深い追憶のように
眠りがあなたの肩にやさしく降りてくる
わたしはちいさな歌をつくって
あなたのそばでうたいつづける
──約束だよ
かならずもどって来てね
(あの日 静かな ....
扉しかない部屋で
君は朝焼けを食べている
朝焼けを食べ終わっても
朝焼けはなくならない
俺が隣で朝焼けを描いているから
なくならない朝焼けを食べ続け
そして君はまた扉を排泄する ....
名もない川のほとりで僕らは何も知らずに生きている
いつかの雨で水かさの増えたその川の
どこかで誰かが流されたらしい
虫取り網を持った人たちが
すくって助けてあげるんだと
張り切った手 ....
女の日 檮瀬チカ
今日は雨
傘を左手に持ち
雨の中 神社の鳥居の前に独り立ち
今日は女の日で有ったことを思い出す
誰もいない境内の中 鳩たちがひさしに隠れて群れているのを聴く
....
それは彼が歌う 葉色の吐息
さびしく踊る よる色の翅
かえるの君をおいかけて
銀盤の上を ゆらゆらゆれる
視界の端の夕焼けのような
意識のはしの金の月のような
きらき ....
指でつなぎとめ
奥にひろがるはずの
水をかくした葦の
叢で
わらい戯れてひそみ
その口をふたぎあって
ちいさな音に身を寄せ
ぬくもる鳥となった
あたたかい日に歩こう
の約束は ....
春 風 や お ま え と 初 め て 会 っ た こ ろ
春 の 水 か わ か ぬ う ち に 口 づ け よ
花 ご ろ も 窓 の 外 に は 雨 が 降 る
....
言葉は凶器になった
胸を突き刺し、見えない血生臭さを感じる
漏れることの無い様に歯を食いしばって笑顔を見せる
少しでも弱音を逃がしたら崩れてしまう
頑張っていた
幸せを手に入れるため
幸せ ....
{引用=
?.
地球の脱落者たちは
異星人となり
飛行船の
順番を待つ
誇大妄想やら
、被害妄想やら
、が
今更
セピア色の空から
激しく降っている
....
幸福を抱きとめて静止するあなたは、蕾のすがた
胸に手をあててわずかにうつむくその、
長い祈りにも似た、沈黙
春を知る朝の、淡い喜び
風が冷たくても、
....
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