雨
降るのかしら。
今
先のことなどわからないから
ただ ありのままを見つめる
内側で降る
血の流れが
どうしようもなく
わたしを形作り
{ルビ廻=めぐ}る
こんなにも
....
毎日は同じことの繰り返しのようでも
少しずつ違っているものだから
通勤電車の吊革をつかむ
君はまるで風に揺れる果実のように
その身を進行方向に傾けている
列車のドアが開くたび
....
母さん僕は
あなたの子供であることを何度
嫌味っぽく言ったかしれない
似ていると感じるほどに
それを振り払うような喧嘩を何度
繰り返したかしれない
そんな母が
「田舎に帰 ....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
それは
いまにもきえいりそうに
ふわふわと
ぼくらのまえにあらわれ
ながれにおち
みずいろにひかりながら
ながされていったけれど
あのひ
だれにしられることもなく
ひ ....
あ、熱
の予感に
振り返れば、白、白、白い、強い
ビニルハウスの、輝き
緑、の匂いに振り返れば
畑の若い夏野菜の、足々の、美しい美しい強い
濃厚な土への、浸り
....
完全態になった
蛹のこころは
虚しい
朝のヒカリを浴びて
黒アゲハ
真っ昼間の
下克上の世を生きる
不完全態のコオロギ
昨日のことは昨日のことと
元気良く
薄暗いうちに
羽根 ....
ド レ ミ ファ そ ら
そ ら
その間にもたくさんの音があることを
君が教えてくれた
少し高めの声で
好きな歌をうたいながら
ささやくように
その歌に似た会話をして
....
夜闇。暗さに光線、たとえばただアスファルトの隆起したひとかけらを照らしている。点は(このままだよ)とささやき、いつしか光の粉をまいて。すふすふと積もり、埃のようにけむりながら少 ....
親愛なる詩友へ
友よ、あなたが今心から愛する{ルビ女=ひと}と出逢い、
日々幸せに包まれていることを、
僕は嬉しく思っています。
僕なりに感じることですが、
「芸術家」「詩人 ....
時間は円をめぐる歩行者のようで、はてのない夢境にて死を装い続ける。驟雨にぬれた林の小道で、あざやかな多面体をステッキで描く。数々の速度がきざまれた都市の舗石の上で、マッチの火をともす。視界をおおい始め ....
酔っぱらった僕は
フライパンの真似をして
空に羽ばたいた
一番高いところで
激しく嘔吐したけど
よく見ると
それは言葉だったので
ますます気持ち悪くなった
すすんでゆく先には
行間が待っていて
いつも 立ちどまってしまう
深呼吸、する
( ふかく、ふかく、吸って、
( ゆっくり、ゆっくり、吐いて、
ふりかえる
ふりか ....
自らの愚かな手で
目の前をさえぎる沼を
つくり出してしまった時は
でくのぼうとなって立ち止まり
かけがえなき友の背後から吹き抜ける
風の言葉に耳を澄まそう
私は木になりたかった
幾 ....
やがて、それはゆっくりと始まる
誰も気付かない視点の高さ
から、夜は上昇していく
もう僕らは沈み込んでいる歩幅
もがくよりも深く落ち着いたリズム
呼吸はあちこちで燻っていて
平面に広げ ....
「京都へお嫁に行ったら苦労するよ」
関西にいたら一度は聞く
でも君を見ているときは
そんな言葉はどこかへ飛んでた
カマカマカマカマ カマ カメレオン…
私はアホみたい方向オンチやから ....
幾人もの
ちっちゃな娘らが
空から降りてくる
ぺちゃ ぺちゃ
ぱちゃ ぱちゃ
ぺちゃ ぺちゃ
と
傘の上での
おしゃべりが
実にやかましい
でも
明日になりゃ
きっ ....
くもり。非常階段へ続くベランダからは大き
な白いビルが見える。本当は白ではなく薄く
濁っているそのビルの外壁には大きなヒビが
いくつか、ひとつ、ふたつ、崩れ落ちるよう
な気配。ジェニファーの俊 ....
いつからか
{ルビ誰彼=たれかれ}のすがたもなき その水
その{ルビ夜=よ}のもとの {ルビ黝=あおぐろ}き{ルビ躯=むくろ}
うごかずうごく
四肢の{ルビ肉=しし}
― … ヒツギには ....
(ぽとり)
点滴1本3時間
(ぽとり)
ペンとノートがあったら詩の一つでも書けそう
だけど悲しい詩になりそうだから書かない
(ぽとり)
透明なビニール容器から
半透明 ....
さじ の中
盛られた 私の
腕に とどかない
ひくい
止めた 前髪
痛くて はずす
ヘアピン
月明かり まばらな カーテン
さえぎる
みたくないと
あわれむ ....
{引用=
あなたの胸に
耳をあて
わたしは
あなたの遠い過去を
あなたの遠いさざなみをきく
風に揺れる草や花
春の雨が黒く濡らす樹木たち
やわらかな若葉を しずくがつたうだろう
....
札幌の市街地は
徐々に西から山影に入ってゆく
ほら
人魚たちの棲息する台地のようじゃないか
あの
東市街地は
あかるい
薔薇色に浮かびゆき
ここは
穏やかな漁 ....
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....
つぶやきみたいなものです。去年も書きましたが、また変わってきたかも。
○私にとっての詩
私にとって詩は、言葉では表しにくい、なにかを感じられるもの。
読んだとたんに、さーっと風だか時間だ ....
そこは底だったけれど、回りまわってきたので、よかった。
*
気づいている、息をしていて、横と縦を感じている。音声と重量にとらわれている。風が強いのはなぜだろう、と考 ....
甘栗むいちゃいました
三点倒立で甘栗むいちゃいました
航空ショーで甘栗むいちゃいました
筋肉ミュージカルで甘栗むいちゃいました
死海で浮かびながら甘栗むいちゃいました
女性専用車両で甘栗むい ....
空の割れた日は
なんでもない午後の水面が
微風にそっとゆらいだくらいの
静かな頃で
お気に入りの帽子を
どこかに置き忘れてしまった
隙間から、パリンと
音を聞いたのは私だけかもしれない
....
一発の弾丸で
死ねるなら
それもよし
苦しむ間もない
跳んできたそれが
命の最後に見たもの
黒い鬣の獣
額の魂の壺を割ったのさ
もはや
私は流れに逆らう人間ではなく
真夏に落ちたト ....
私の信条、というのは実はおそろしく単純で、ひとことで言える。
「他者を尊重する」
これだけである。だから他者の詩も尊重するし、他者の信条や宗教や思想も尊重する。意見が対立するときは議論する ....
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