爆心地から
天野茂典

   


   カマキリに襲われた眼球は
   皿 皿 と 皿 皿 と
   血を流しているのでありました
   そのとき 時計はとまったままで
   あたりは白くなりました
   いまでも錆びた 工場は
   皿 皿 と 皿 皿 と
   硝酸エステルを流しているので
   ありました

  
   日常的な眼球譚でありました
   いまでもひとつの眼球は時計の針に掛かったままです




 
          2004・10・31

 


未詩・独白 爆心地から Copyright 天野茂典 2004-10-31 15:18:07
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