すべてのおすすめ
風に消えてゆくものたちだけが本当のことを話している気がするのは、人生が砂粒の落ち方を果てしなく見つめるようなものだと朧げにわかってきたせいだろうか、明らかなものはそれ以上のどんなことも語ること ....
静かだ
ああ 静かだ
やっと夜の深まり
落ち着く己の神経が
闇の奥処に潜む
何かに触れる
のっぺらぼう
何処までいっても
平坦な始原の異様、
茫漠と広がる匿名性
静 ....
遠くへ行ってはいけないよ
ゆっくり行くんだよ
雲のお母さんは
小さな雲を心配そうに見送った
雲の子とカラスは
街へ出かけた
あの赤い雲は何?
あれは綿飴だよ
すごいよ口から ....
あのう すいません
悲しみって燃える塵ですか
それとも燃えない塵ですか
どちらでもないですよ
悲しみは塵じゃありません
悲しみは壁を越えていく力の父です
そしてひとと世界への想いやりの ....
恋と愛はヒトツか――
コガレ コガサレ モヤサレテ
ヒトメ シッタガ ユエニ コロサレテ
ミハ シカバネ トカスモ
ココロハ コイ コイ ジゴクユキ
純粋な あまりに ....
冷房消したら亡霊も消えた。
夏が終わると部屋が広く感じる。
欠けているものを持っていた
人より過分に持っていた
幸福のレベルゲージが
あがらないのはそのせいかな
欠けている月の明かりに
夜が浮かび上がる
夜中に目を覚ましてしまうのは
....
マジでどうかしちまった
あぁイカれたよ
頭の中でヒトラーとマザー・テレサがSEXしてる
それで産まれた赤ちゃんをミキサーにかけて、そのベイビーシェイクを俺が飲み干すのさ!
お前も一杯どう ....
すべてが終わったと思ったのは
ありえない夢を見て憐憫な感情と
寂寥感に押しつぶされた朝
傘もさせない晴天の空の下
会社に向かう電車の中で
再び閉じたまぶたに夢を願ったとき
過去と現 ....
好きなだけ
あなたを見てるだけ
離れて声を聞いているだけ
私の心は感じさせないの
すれ違うだけで
空気を一つ共有するだけ
こんなに近くにいても
たぶん私達って
宇宙の星くら ....
例えば
人間の寿命が ずっとずっと長くて
体の成長も衰えも もっと緩やかであったなら
貴方ともう50年くらい 一緒に居たかった
愛してる 愛してる
そう言いながら 貴方の ....
彼女は水色の服ばかりを着ていた。
キャンバスには、青と白の水彩画。
それは何? って聞いたら、
「空」って。
他には何か描かないの? って聞いたら、
「いいえ」って。
低血圧で低血糖。 ....
音楽史上、最も有名なエピソードの1つ
貴女ークララとロベルト・シューマンとの恋愛、結婚
そして夫亡き後のヨハネス・ブラームスとの謎の関係
数年前、僕は貴女が主人公の映画を観た
オープニング ....
玄関の前で斜めになってカメムシが死んでる
斜めになって題名を叫んでいる
詩は叫ぶものとは
言いたかぁないが
耳に突き刺さる
詩は突き刺さるものとは
言いたかぁないか
聞こえるものは
し ....
ぶらっと寄らないかあの店へ
忘れられないひとが待っているかもしれないから
すずなり横町とライブハウス
本多劇場と誰も歌わないあのうた
ロングバケイションとお気にいりのロケーション
計 ....
オリオン座の足もとで
邪魔にならぬよう寄り添って
無限の空を散歩する
私は嬉しくて跳ねる
嬉しくてたまらないのだ
ただ側にいられるだけで
ただそれだけで幸せ
ねじばなの咲く土手にすわって、
わたし、むこうを向いていたの。
ローカル線の電車が駅に、
すべりこんで、鳴らす警笛……
ええ。2両しかない電車で、
雲のようにながれてゆく。 ....
もうかなり昔のこと
僕はあなたの住んでいた部屋
お墓を訪ねたことがある
そのとき、あなたのお墓の前で
僕はこう祈った
『クラシック音楽、あなたに関わるこの仕事を
僕の一生の仕事、天職と ....
汚れたままでいます
あの人がくれたキスがなくならないように
顔も洗わず、シャワーも浴びずに
太陽を浮かべてくれた貴方
演奏されたリクエスト曲は「明日への架け橋」
一緒に聴いた歌の意味も分らず ....
そこは始発駅
そこは終着の駅も兼ねている
冬の夜はまだ明けていなかった
寒気が顔の皮膚を
まるで
剃刀みたいに切り裂いてくる
旧年が去って
新年を向かえていた
時刻は午前四 ....
秋口が開き
無辺の静かさ、響く
赤々と彼岸花咲く土手の向こうから
手招きするように
ゆっくりと、ゆっくりと
)もうはっきりとは
)思い出せない過去がある
)色褪せながらジリジリと
....
死んでしまいたいと思うことは多々ある。
わたしが今住んでいるアパートのベランダからは、
オベリスクのような細いビルが見える。
わたしはその細いビルをわたしの墓標だと思っている。
その細いビルを ....
悲しみが少しだけ減った夜には、
悲しみをプディングにして食べてしまおう。
そうしなければ生きられないのであれば、悪になることは悪ではない。
問題は悪をもって何をなすかなのだ。
悲しみが少しだけ ....
打ちっぱなしのコンクリートに、ウサギ模様。
あれは星雲、これは星。あれは星座、これは銀河。
わたしたちの見ているのは、宇宙。
まだ見ぬ宇宙がそこにあると……紫煙の向こうに、確かめているわたし。
....
私は一千九百五十五年の生まれです
歴史の示す通り
十年前の四十五年に世界大戦が終結していますね
この国は
ポツダム宣言を受諾して
敗戦を向かえました
学校で教わったよね
....
灰色の街道沿いの
深く暗い井戸の底、
白く円かな女の顔が
微細に揺れ動きながら
切れ長の目を閉じ浮かんでいる
死んでしまった死んでしまった!
わたしは戦慄のうちそう悟り
隣で無表情に ....
もし
太陽が燃え尽きてしまったら
月が代わってくれるのかな
いい加減
夜ばかりの照明役には厭きているだろう
ここは昼に回って精一杯輝いてくれないかな
たとえ
太陽が燃え尽きてしま ....
飛んでいる矢は静止していることに
時熟できる者は決してゼノンのパラドックスが
あながち間違いではないことに気づく者であり
現在は常に過去であることを知る者である
それは己を時間化することに ....
年に何度か行く梨園
近づくに連れ甘い良い香り
食べ放題だからといっても
そんなに食べられるわけではない
精々多くても五個くらい
大きく育っている梨
木々から強い生命力を感じる
....
馴れ馴れしく話しかけてきた空が
ぼくに飽きて離れたことに安心していた。
ひとりになったぼくは、青い朝が街にひっそりと
カーテンを少しだけあける頃、急に毛布が恋しくなる。
だけれども、冷たく ....
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