すべてのおすすめ
夜にはあれほど潤んだ月が
今はただ白く粉っぽい
褪せた青いテーブルクロスに置かれたままの紙切れ
書かれていない恨み言
呼吸を忘れた小鳥たち
見交わす一瞬の生と死を包み込む愛が
朝に急か ....
世界は夜に浮かぶ星
心はあたたかなものを求めるのを止まない
明りのともるところに人はいる
歩き疲れて痛む足
傷ついてもひねくれまいと思う想い
明日を信じる力はなくても
時は受け入れて行こう ....
狂った世界の鼓動からは
もう受け取るものはなにもない
梅雨の晴間のウザったい午後に
少し前に死んだ詩人の詩を読んでいる
俺の世界は幸か不幸か
たいして変化してはいないが
本棚に並んでい ....
あなたは目を閉じる
すると見えてくる
哀しみ
逃げるのではなく
拒むのでもない
内側にある哀しみと
向き合う
泣いている人が
本当に悲しいのかは
外側からはわからない
笑っ ....
ずいぶん歩いて歩いて、ひざこぞうはすりきれて足ひきずるようになったよ。
いくど、ここは果ての先だ、と思ったことだろ。
らっぱのみしたワインの瓶、公園のひみつ基地のしたでねむった夜、あったかそう ....
最初から
何も始まってなんかないんだ
何も始まったりしないんだ
別にそれでいいんだよ
最初から
何も求めてないんだよ
ただ生まれるから捨てるだけ
本当にただそれだけなんだ
どん ....
いつくしみを
ぼくに いつくしむこころを
ひとの知の火がなげこまれた
焼け野が原にも
ひとの予期よりうんとはやく
みどりが咲いたことを
アインシュタインはおどけながら呻いている
....
僕たちは食べ物もお金もなく
日が暮れてから兄ちゃんと
母さんを迎えに
町はずれの工場まで
来たけれど
いくつも並んだ古い四角い建物はすでに人の気配すらなく
黒々とあいた窓はどれも底なし ....
お薬を飲んでいる時と
お薬を飲んでいない時
どちらが本当のアタシで
どちらが本当の世界なのかな
そう思うたびにアタシは悲しくなって
紅のラインを手首に引いてみるんだ(何本も)
いつか再び
....
予告なくもぎ取られた背中の羽根は
踏みにじられて血塗れの雑巾と化し
意識は朦朧としてひざまずき
涙も声も出せずにただ愕然とする
それでも月は昇り星は輝く
明日という日がまた来るのだと
....
風が吹いていないのに
道路沿いに植えられた背の低い植物群が
多分、何百万枚もの小さな葉を従えた
何万本もある細い枝を
台風が過ぎ去ったばかりのように
すべて同じ方向に振り上げているのだ
ま ....
自由。それは広大な草原を駆ける馬。
自由。それは大海原を切り裂く帆船。
ほんの少しの自由を得る為には
愛されるより愛する者でいることだ。
人生。それは成功と失敗。
人生。 ....
わたしがだれにもわたせないのは
生活と いのちなのだとおもう
かみさま というひらがな
ちりぬるをわか
あのこが結婚を するとゆった
地下鉄桜通線の駅の名前をひとつひとつ確かめる
もう ....
大正10年の今日、おばあちゃんが生まれた
生前 色んなものを貰った
今来ているセーターも その中の一つだ
本当は スカートもついていたのだが
元々パンツルックばかりの私のこと
早 ....
喀血する連中の
猥雑な足さばきを見なよ
割れた石畳で
ブレイクビーツみたいさ
いつまで経っても周波数が合わないから
指先がバカになるまでチューナーを弄んでる
枯渇の上に怠惰を築 ....
家路の途中教会の前を通ったら
華やかな結婚式が行われていた
入り口のゲートは開かれていて
お祝いに来たたくさんの人たちが
花びらを宙に舞わせて新郎新婦が出てくるのを待ってる
....
忘れられた歌が戸を叩く
風が酒乱の男みたいに木を嬲っていた
(何も知らない子どもがゲルニカを見ている
あなたは映らない鏡
恋している
空白の輪郭の投影よ
純粋すぎて
愛 ....
思えば人はこの上なく恵まれている
余程の運をなくさない限り他の動物の食材にはならないのだ
なのにいつから
どうして人間は必要以上に食べはじめてしまったのだろう
その旺盛な食欲は繁殖力に繋が ....
悲しみは訪れる
予告なく
足音も立てず
時刻を止めて
くれたらいいのに
逃げ出したいけれど
行き先が見当たらなくて
呆然としたいのに
誤魔化しようがなくて
わたしはわ ....
ひとは弱い
だから強がる
ひとは弱い
だから逃げる
ひとは弱い
だから苦しむ
ひとは弱い
だから後悔する
ひとは弱い
だから涙する
ひとは弱い
だから歯を食い ....
おじいちゃんと
LINEを始めたのだけれど…
おじいちゃん…
『「りんご」はい次は「ご」!』
って…
唐突にしりとりを
始めたかったわけじゃないよ僕は…
送信した「り」は
“了解” ....
意識の界面に皮膜を張る詩を
時々引き剥がしながら
優雅な革命に憧れつづける
蒼ざめた情緒不安定
ひとりで ずっと待っていた
帰省先で亡くなった男性が住んでいたアパートの
部屋の畳は思っていたよりきれいだったが
乾拭きをして ちょんと座って
ひとりで 届くのを待っていた
荷 ....
きみのかあさんになりたい
お洋服を手縫いしたり
陽に透けるきれいなゼリーをつくったり
おひざにだっこして絵本を読んだりする
いつも子育てのことで
はらはらと気をもんでいる
きみのとうさ ....
香り咲く こぼれる笑顔 拾わせて
走り去る 後ろ姿 拾わせて
発する声 楽譜の音符 拾わせて
瞳から あふれる涙 拾わせて
嘘は 限りなく拾えるのに
真実 ....
冷蔵庫のシュークリームが
パサパサになっている予感とか
時計を見なくても今が大体何時かというのに気づいている眠り
それは当たる日もあれば外れる日もあるけれど
天気予報ほど重罪じゃないさ
....
詩っつうのは無意味なのかなぁ
(今日はいい詩、読んだんだ)
虚空を掴んだ握力は
そのまま真っ黒なレモンになって
僕は無力に口開けて
高濃度の滴る宇宙を頂く
なんつう痺れる感覚な ....
波の音のような鼓動が、からだのなかから聴こえる。
何度もふたりで夜を越えてきた。
あの日、水面を踊るひかりの反射に助けられたことを、わたしは忘れない。
わたしたちには海がある。
だから何が ....
君を乗せて連れて行きたい場所に
花が咲いてたら僕は困るよ
名前も知らずに綺麗だなんて
簡単に言う人が羨ましい
苦くて渋くて癖になる味の
エスプレッソなら答えられるのに
甘党の君はカフェ ....
想像することと嘘をつくことは
とても似ている
ときには一緒の場合だってある
愛がどちらの顔も持っているように
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