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あこがれてた人があったり、きにいらない賛辞があったり、家までの帰り方を忘れるのなんてずいぶん簡単だった。寝不足のせいで胸がどきどきするの、はじめてのバイトの面接の前みたいだったよね。あなたもずいぶんと ....
彼女は天国に向かう途中だった。そこは生きながらにして昇りつめる事ができる。
健康な肉体には健全な性欲が宿る。そして健全な性欲に道徳は邪魔だ。
第一、男女は共に股間の中心をその人格ではコントロールで ....
桜並木から運ばれた花びらや砂利が
しみったれた街道を明るく染め上げる
肌寒そうにぶらり スーツが歩く
俺は生きたい そう
空腹が告げている 日中
微かに陽の当たる 路地を抜けていく
「 ....
宵はカラスの群れと羊たちのサーカス
銀の膜に薄く張り付いた星が剥がれていく
触れなかったあの子と
大事に抱えた僕で
写し描いていたものすべてが大げさにズレていく
夜光虫の森の入口で
た ....
静けさの
充ちて
落ち着き払う
この夜陰、
独り在ることに満ち足りて
私はゆっくり沈んでいく
底抜け宇宙の底の方へ
私はうっとり泳いでいく
其処は貴女の声、発せられるところ
其処 ....
「家族は唐揚げ」
どこからともなく
湧いて出た
その一句
そのしゆんかんから
なにゆえか
俺の心を とらへて離さぬ
幾百万もの言葉があり
百の何乗だかの組合せがある中で
天使 ....
層成す緑が揺れています
奥まる樹木の向こうは白々、
高曇りの空に薄日が射し
何とも爽やかな風情です
(こんな景色のなかに居ると
身体中が透き通って
うっとり懐かしく溶けていく、
そん ....
昨日の信念と、今日の信念が変わる人が居る。
一貫性の無い嘘つきだと、人は言う。
そう否定する人は、今を生きていない。
今の在りかを知らない。
....
風俗以外の女性は知らなかった。
不潔かな。欲望が一人で歩き出したら抑えきれない。男子の体の仕組みはそうなってる。
そんな時は誰にも迷惑をかけられないからマスターベーションで欲望を鎮める。
不潔か ....
どこかが開いている
この部屋には
窓がないのに
寝息が 夜をみたし
空の端をそめていく
昏さは
甘えようとすると裏返る
すきだとおもった指あとも
いまいましく沈んで
....
あなた達とすべる。
小さなおしり達は、
風のやさしい手のひら、
土の広い背中の上を。
都市から遠くはなれた
昼間のような自由な丘で。
そしてあたたかな夜、
星たちと共に駆け上がる。
女性の必需品買い忘れました。
六十四歳父親です。
いくら父親と言っても娘に頼まれた生理用品一人で買えるほどの強い心臓兼ね備えていません。
買い物はいつも十歳年下の嫁と二人です。
女三人と暮 ....
次々と移り変わるテレビの画面をふたり
黙って見ていた
あなたがいま
何を想っているのかはわからない
私は、ただ
あなたに届く言葉を捜して
あなたに触れる手立てを探して
いろいろなこと ....
なるべく大きな声でこう宣言しなさい
~~予定ではこのへんで地球は終了です~~
銀河ヒッチハイクガイド
まだ未来のことなんて話してんのか、お前は
馬鹿にしやがって
昨日から ....
姉の家のミィが死んだ
二十年生きて死んだ
遠い町に就職した甥が結婚して離婚して
ミィを連れて帰ってきた
甥はまた遠くの町へ行き
ミィは姉の家で暮らすことになった
ときどき別れた嫁が ....
三月は卒業の時期
心がそわそわしている
卒業と言っても
様々な卒業があって
新しい道を開く扉のようなもの
卒業には
寂しさや哀しさなどが
複雑に絡み合う
幾つかの卒業を乗り ....
化粧しない女と
化粧する男
売れない絵かきと
熟れない詩人
言葉の重みと
その軽さ
一直線
と一曲線
地図のある部屋の壁
ナビのない車
狂気と
狂喜
....
終電にゆられて、風の強い歩道橋を渡り、またビールを買って帰る
テレビ通販の明かりだけの部屋で、あしの爪を切りそろえて
膝を眼窩にうずめた
いつになく緊張してた官房長官がその昼なん ....
降り注ぐ
陽の光は黄金、
人 歩む
今日という時空のなか
未知、迎え入れ
灯台の下のテトラポッドはいつまでも輝いている
防波堤に波がぶつかって砕ける音は
真っ暗な地平線へと吸い込まれていくようだ
パチパチと光る緑色の灯は
きっと私に何も伝えない
落書きと錆にま ....
洗濯機の中で汚れた衣類が回る。
夜に洗って朝に干して。そんな生活繰り返して繰り返して。
何だか寂しくなって、その寂しさに苛立って。
人に産まれて女に育ち
人に産まれて男になった。
洗 ....
花瓶の近くに置かれた姉の唇が燃えてゐる。
うす紫色の炎が小さく上がつてゐて、読んでゐる文庫本に今にも火が移りさうだ。
目を細めて見ると、表紙に「菜穂子」と書かれてゐた。
....
庭で
風は金色
溶ける時閒
菩提樹だけが見ている
良い四面體の枝だ
少年は「ごっこ」が樂しい
蓋し「縒れ」 獨り遊ぶ
紐で輪をつくり 裸になった氣分だ ....
流した涙や
赤く染まる血が
透明になるまで
過ごした時間
ありがとうは
一億人の心を
結ぶ羽根だって
みんな知っている
ギュッと守られた
お弁当箱よりも
偏ることのない
....
現と擦れて詩が浮かび
境と接して死が浮かぶ
現も境ももう近しく
それなら詩と死と
しとしと濡れて
行ける処まで生きませう
現と境の溶けるまで
背負った重荷の露となるまで
背を正すこと、 ....
あの世にも
さくらはあるのかしら
彼岸の始まりの日に夢を見た
目の前には川が流れ
遠く向こう岸を眺めると
見渡す限りの桜が咲いていた
私は、はっとした
ここはさよならの岸辺
た ....
夜明け
窓を開けると
薄暗い空に、明星が瞬いている
テーブルに零した、煙草の灰を
手で、掬いとっている
うちに
夜が、終わっていく
春先の
暖かい雨は、降り止み
朝日が、微か ....
最寄りの駅から電車に乗る。自宅から車で七八分の距離に最寄りの駅はあった。JR線沿いの市街。
地方にはどこにでもありそうな駅周辺の風景。
車は近辺の有料駐車場に停めた。
どうせなら自家用車で東京へ ....
牛になって
風にふかれながら
草原を食べていたい
できれば
あなたとふたりきりがいい
家が裕福ではないのに子供はたくさんいて、末っ子は九馬君だった。
人間の産んだ子供に九馬って何だろう。名前の付け方酷くないかって、俺でなくても誰でも疑問に思うだろうが、所詮他所の家の事だから耳慣れてし ....
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