「思春期」


疎ましく膨らんで
悩ましく弾けて
狂おしく奔って
暑苦しく押し黙って

思春期なのか
四月は変拍子

狼狽える前髪で
躊躇う指先で
彷徨う吐息で
蹌踉め ....
霧吹きのような雨はふかみどり

胸の奥まで吸い込んで

わたしは森になる

しばらくすれば

じゅうぶんに水を含み

耳を傾ける

彼らは

永遠を指し示すこと ....
雀始巣
すずめはじめてすくう


佐藤さんちの玄関の
パンジーの寄せ植えから
オハヨウを拾い上げて

鈴木さんちのベランダの
古い室外機の裏側から
サビシイを探し出して

 ....
空から
剥がれた薄皮が
ふうわり落ちてきて
森と街と人の
あらゆる隙間を
滲ませる

君から
届いたLINEが
妙に素っ気ないのが
どうでもよくなるくらい
僕の指と吐息は
 ....
桃始笑
ももはじめてさく


コートを脱いだら
沈黙していた鎖骨が
独り語りを始める

ポケットから出た
あてどない指先が
止まり木を探している

音符を思い出した
爪先 ....
指で感じて
頭で捏ねくり回して
指で嘘をつく

唇で感じて
頭で探し切れず
唇で誤魔化す

背中で感じても
頭は留守で
背中は語れない

爪先で感じても  ....
枕元に外した
メガネの瞼を
そっと下ろしてやり

眠るときも
髪を七三に分けておく

深夜
明かりが消せない部屋の
無影灯に浮かび上がる
手術台のような
蒼白のベッドの上で

 ....
まっ白い
豆腐を
そっと
水底から
すくいあげるように

たいせつにしてきただろうか


リリースした
魚を
ゆっくりとした眼差しで
見送るように

やさしくしてきただろう ....
手のひらのキズは
キズ薬が治してくれる
うっすらと
キズあとを残して

胸のいたみは
日にち薬が
ゆっくりと
時間をかけて治してくれる
いたみの記憶を残して

薬箱を引出しにしま ....
脚の細い象の背中で
ユラユラしている私の
広すぎる糊しろは
饐えた臭いを放っていた

何も企てない午後を
ユラユラ生き延びた私の
丸すぎる背中には
錆びた罪が生えていた

心地 ....
セールスマンが 私のこと 歌ってた
仕事で へこんで
お客さん この上もなく ひきつった笑顔で
見送ることしかできない

きっと 弱いのは
さずかりもの
つらいって 歌うのは わ ....
なんとなく
気配を感じて振り向くと
君は精一杯まん丸い目をして
じっとこちらを見つめていた

一番好きな映画の
一番良いシーンを横目で追いながら
僕は君の真っ直ぐな視線に負けて
し ....
単焦点のレンズをつけて
春を探しに出かける

低い雲が垂れ下がった街は
名前の無い色合いで
マフラーの内側の囁きは
聞き覚えの無い言語で

嫌なものは
ぼんやりとしか見えない
 ....
真っ赤な嘘っぱちを
誰も見抜いてくれなかった

橙色の夕日にとろけそうな
もはや追う者もいなくなった
逃亡者の長過ぎる影

気味の悪い戯言を並べた
ノートの頁は哀しく黄ばんで

 ....
どれくらい時間が経っただろう
もうずっと
海の見える街で
透明な観覧車に乗り
まわっている

昼間の
高い位置からの眺めにみつけた
泳ぐ船体はすこしずつ南方へ向きを変え
遠ざ ....
あなたが笑っている
あの頃とちっとも変わらない笑顔で
透明な手が拍手している
わたしの胸が温かくなる

あなたが俯いている
心無い言葉の礫に打ちひしがれて
透明な手が拒んでいる
わ ....
勝てない
その勝負には勝てない
自分より劣っているから安らぐ
その気持ちには勝てない

劣っている人に寄り添って
生意気な態度を取られて腹立たしく思っても
やっぱり劣っているから
泣 ....
あまりにも悔しくって
青空の端に噛みついたら
前歯が少し浮いただけのこと
決して笑ったんじゃないよ

蹴ろうと思った空缶を
君が先に蹴っちゃったから
握り締めていた拳を開いて
左右 ....
風を読もうとして
青空の中に人差指を立てた
風上から風下へ
紙飛行機は滑っていった

時を堰き止めたくて
夕焼けの中で小指を絡めた
川上から川下へ
笹舟は忘れ去られた

水面に ....
ケンケンパ
ケンケンパ

道路にロウ石で丸を描いて

ケンケンパ
ケンケンパ

まるまる転がるよ

ケンケンパ
ケンケンパ

見上げてね

ほっとしてまた下を向き
ケン ....
いない人だからちょうどいい そんな気持ちになったので
センベロしてみた
千円でベロベロになるほど飲ませてくれる店が下町にあるらしい

「たきおかとカドクラ、ハシゴするけど来る?」
とツレに聞いたら
空腹を我慢でき ....
そうだったよね
くねっとすること

ぺとっとして もぞもぞして
変な感じがそのうち分からなくなる

それって変態じゃない?
とわたしが言うと

とてもすまなそうな顔をしながら
胸に ....
あなたがいる有り難さ

こころのままに いつものようにして
喜ばれて嬉しくて

けれど好きな人に
わたしよりもっと好きな人と一緒の気持ちで
感謝されたよ

あなたがいる有り難 ....
笑顔が見たいと言われても
上手になんか笑えない

ほらどうだ!
と、手品みたい。

ゆりかごのようなサプライズに
にっこり身を委ねた

ありがとね
佇んでいたのだろう
あの時のわたしは

苦手なことを並べた
傷付きたくなかった
それでも出会いを求めて
やって来た

缶ビール片手に
やわらかな言葉で話す
路上に座り込み
生活者 ....
これだけ飲んで
これだけ腹を割って

笑えているのだから
明日は明日の風が吹く

野生を奪われずに行きたいね
上座のない、円卓で話したいね

ぶっきらぼうや
口さがないのに頂いてしまっても

下座もない、円卓で話したいね

ひとつ意見をしただけで
100の説教を喰らわされたのだとしても

おどおどしながら ....
乳房をなぞった手のひらが
首にしばらくとどまっていることには気付いている

思想も愛も何も無い
自尊心に勝つ為の殺人予告?

迷惑なんですけれど。

キモいから触らないで。 ....
自由にのびのびと泳がせてくれる人と
長続きするのだなと今さら知る

海水魚を飼っていた時
気遣って水槽掃除をしてくれた夫が
水温センサーを水に戻さなかったので
海水魚たちはみんな煮えました ....
空丸さんのおすすめリスト(4837)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
発条式発泡詩_<1>- nonya自由詩1416-4-9
休園日- 自由詩37*16-3-23
雀始巣- nonya自由詩17*16-3-19
春って- nonya自由詩12*16-3-15
桃始笑- nonya自由詩16*16-3-10
ポンコツ- nonya自由詩16*16-2-26
入眠- ryou自由詩416-2-26
寝顔に- ryou自由詩516-2-23
薬箱- ryou自由詩416-2-21
ユラユラ- nonya自由詩18*16-2-20
『労働賛歌』- 座一自由詩9*16-2-15
君が教えてくれた- nonya自由詩22*16-2-12
単焦点- nonya自由詩17*16-2-7
虹の後始末- nonya自由詩21*16-2-3
観覧車- 自由詩13*16-2-3
透明な手- nonya自由詩20*16-1-31
勝てない- 鵜飼千代 ...自由詩20*16-1-28
消耗品- nonya自由詩14*16-1-27
- nonya自由詩17*16-1-19
ケンケンパ- 鵜飼千代 ...自由詩16*15-11-25
そうがいいと言われて- 鵜飼千代 ...自由詩11*15-9-30
センベロ- 鵜飼千代 ...自由詩22+*15-6-15
コロポックル- 鵜飼千代 ...自由詩25+*15-5-29
あなたがいる有り難さ- 鵜飼千代 ...自由詩18*15-4-10
ハンモック- 鵜飼千代 ...自由詩13*15-1-26
手をとる- 鵜飼千代 ...自由詩18*14-11-24
藪蕎麦- 鵜飼千代 ...携帯写真+ ...10*14-10-24
円卓- 鵜飼千代 ...携帯写真+ ...8*14-10-9
別にリーマンしていたら- 鵜飼千代 ...自由詩6+*14-9-29
水槽- 鵜飼千代 ...携帯写真+ ...13*14-9-17

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