「過去から歩いてきた血液」
十四の頃眠れず、深夜に目覚まし時計の強化プラスチックの蓋を無理やりこじ開け、中の秒針をもぎとった。その時不用意に人差し指の腹の部分を切ってしまい、少なからず失血があっ ....
どうせなら酒色に溺れて、あげくの果てに人生を棒に振ってみたかったな
そんなすくわれようのない生き方が痺れるくらいにかっこよく思えたからさ
その方が文学を志す者の一人としていい肥やしになるんじゃない ....
数式で「ブラックホール」をみても、
心は沈まない。
将棋で「▲7七金」をやられたら、
心はきんとんうん!
絶望を書いて
絶望を試し
絶望に生き
絶望に倒れ
絶望的に笑う
夢を見て
夢を描いて
夢に見られて
夢に壊れて
夢幻は彼方へ
自分を晒し
自分を無くし
....
暗い通路 藍の窓 部屋の番号は変わらない
何度も何度も 同じ電気メーターの横を通り過ぎた その回数分 すれ違った街
見慣れた漢字を掲げる看板はわずか 送りがなや繁体字は ながくて こみいっていた
....
暗闇に蒼白い河原の
小石夥しく静まり返り
流れ澄む川は無音
黒く光る水面の異様
恐るべき氾濫を孕み
奥まった沈黙を保つ
決して終わらない不安は
この沈黙という深い謎に
剥き出し曝さ ....
今日もふらふら
音のない家へ帰る男の背中は
言葉にならない寂しさを{ルビ醸=かも}し出す
〈人生はひまつぶし〉と嘆く男の一日は
二十四時間ではなく
長さの計れぬ夜なのだ
こ ....
あなたが深く絶望するとき
世界は絶望するけれど
その世界はぼくの世界とは違うのだけれど
そのことでごめんなさいと思うのは
あなたの絶望の世界のなんだろう
ぼくは
まあこんな人間でやってきた ....
自分はもともと
オリンピックに興味がない
しょせん人間の体力がいかに
劣っているか
それだけのこと
イルカに勝てるかい
チーターに
ゴリラに勝てるかい
ウイルスにだって
勝てやし ....
*
新年の夜が深まり
姿を持たぬ思考たち
五感の縛りから解き放たれ
星空の下で踊り出す
遠い過去へと遡行する
魂の営みの始まりだ
透明な窓辺で落ち合って
僕ら、それぞれの旅に出 ....
なくしたことさえ忘れてた
時計が引き出しの奥で
止まらずにずっと動いていたんだ
なんで
なんで
止まって
しまって
いなかったんだろう
ずっと
ずっと
動いていたんだろう
....
Stop
Safe
Go
Ah-
思い出すから
記憶なんだろう
過去の記録がヒトの脳内に蓄積される
その大半は埋もれたまま埃を被るに違いない
過去の痛い記録を
忘れる事によって人は安らぎすくわれるのだろう
....
耳朶の下に隠れていた子鬼がふいに現れPCをシャットダウンさせてしまう。ふり向くと堆く積まれた原稿用紙がある。どこからか蝿が飛んできて、用紙のマスの中に不器用に死んでいく。促されるようにCDの記録層に ....
目を瞑ると
さっと広がる
闇のなか
光の気の熱の子が
くらげのように
浮遊する
泡立つ
暗い意識のなか
触手を伸ばしたり
縮めたり
反発したり
共鳴したり
それは忙しい
流動 ....
ワイワイ微笑むんじゃないよ
在りし日のレストランで
見せてたような笑顔
全部がそれなりになってゆく
そんな風におもえた頃
今の自分には
両手で受けても
こぼしてしまいそう
あふれす ....
誰も聴かなくてもいい
そんな気分さ
俺の客は上等だから
メッセージソングを歌う
ふりをして
上質なジャイアンリサイタル
ポエトリーそんなもんだ!
客イコール朗読者なんて
まあ
世間的 ....
マフィンが
きょうは
すごくかたい
あした世界がおわるからかな
熱いポット
たべようよ
声がする
わたしは今
靴下の編み目にいる
グザヴィエドランの映画みたく
君に贈ったプレゼントと
君からもらったプレゼントが
最後には
ぜんぶ空から降ってくる
ひとりきりの
水曜の
....
鏡は水製がいい
こどものあしおとで
目を覚まし
こまやかにブレては
すっかり世界を
ちがった風にもできるだろう
海はポジティブでいい
波のフーガに
くじらの歌に
鮫の鰭やら珊 ....
漁港にひしめいた
マストが
祝祭のように
日常を震わせる。
青年は老人に
釣った魚は逃がすと言った。
地球の重さを
変えたくないから。
団地に干された
数百のお布団から
立 ....
どんよりとした
鉛の雲の切れ間から
青が光って覗いている
俺はくたびれ脱力して
道端に腰掛けている
わけの分からない宣伝カーが
ゆっくりと通り過ぎて行く
ひんやりと動かない空気
傾きか ....
いったいどこに連れてかれるのか
路地という路地
通り続けて何時間
今までになかったことが
起こっているのは確か
とにかく一人では
起きなかった事件
それでも自分の意思が
なかったら ....
日がな一日
謎は謎として取り残され
私は五感の縛りに沈む
思いは鬼火のように揺れ動き
逃れる的を掠めていく
現象する本質を
律動する思考を
掴みかけては取り逃し
夢の底で溺れている
....
「墓石」
それはいつからかはじまり気が付くと終わる
そのようなものをさがしたら
じつにそのようなものしか無く
それはすべての核部へ到り
かつぬけてゆく風やうたであった
なので却って太陽 ....
憧れは橘って苗字で、漢字1字で4音の響きが格好良くって。
まぁ橘にはなれずとも、その内に僕も、屍にはなれるだろう。
日差しがやけに暖かくて瞼を閉じた
こんなことしかこんなことだけ心に抱いて歩いていくだけ
さよならを温めるだけの今も
みっともなく伸びた影二つに夕暮れ落ちて
小さな心を確かめる
今触れなくて交 ....
マンネリ
いつも
景色
飽
涙
記憶
思い出
あのころ
既に心の中で暴れずにそっといきづいている(煙草)
とある公共放送の番組で二本のドキュメンタリーをみた。ひとつは海外で創作活躍をしている画家ともう一つは日本で人気のあるバンドメンバーの音楽家だ。そのどちらも若いクリエイティブな創作家であることには違 ....
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