爽やかな風が吹いていた斎場には
一人の人生に済みの印を押してあげる為に
集まった親族身内たち
果たしてその人の旅の行く先が
天国でもその反対方向でも構わない
もしかしたら
宇宙の知らな ....
さみしさが夜空にぽっかり浮かんでいた。
月は雲に隠れてしまった。
噛み締めたくない孤独は、目の前で立ち昇る煙草の煙と共に、
私の胸にその影を落とした。
夢の中で何人もの人を殺 ....
秋の夜に
煌々と浮かぶ半月は
闇に艶めく大地のあちこち
銀の涙を溢しながら
陶然として傾いていく
わたしは寝床でゆっくりと
その推移を辿りながら
迫り来る世界の無表情に
今夜もやっ ....
その人の
あとを追って
こんな風に
なってしまった
砕けないよ
心
砕けるほど
かたくないもの
流れないよ
涙
流れるほど
弱くない、はず
砕け ....
手紙がある
うす桃いろの
手ざはりのよい 小ぶりな封筒の
崩した文字の宛て名も品が良い
封を切つて なかを開けるに忍びなく
窓際の丸テーブルに置かれてゐる
さて 何がか ....
詩を歌う人は月が好きなんだなぁ
分かるよ
こんな身近に
夜空にたったひとつ
あんなに美しくて あんなに悲しいものは
そうあるものではないからね
僕もその一人
貴方もそうなので ....
天高く
伸ばすてのひらヒラヒラと
透きとおる風、雪舞わす風
あなた待ち
こころがきゅんと鳴る音と
聴かせてあげたいシャランと月光
倒れ込む
キラキラ夜空の下の街
初冬の ....
十匹めの
熊を抱いて眠る
波寄せて ひいていく
ながい一瞬に
あらゆるものを天秤にかけ
そして
壊しました
抱いたまま ゆきます
壊れながら
熊たちの なき声を
眠りに ....
平成最後のなんとかに
みんな全ての瞬間が 人生最後の瞬間だと
忘れちゃったのかなぁ
イエスよ
来てください
憐れんでください
助けてください
弱く愚かで罪深いわたしを
憐れんでください
助けてください
ああ主よ
天使だって、
死ぬんだ、って。
それは、
凍りついた川の岸辺に
天使の肉体がたどり着いていた。
なぜか、
人が、
人の心を、
疑い、
恐れる、
荒野の街の、
夕間暮れ。
....
たとえ愛情の持ち合わせがすっからかんでも
財布に現金とカードが入っていれば
ウキウキ気分
それが程度の低い人生だと言うなら
高い人生って何だよ
俺だって金に困っていなければ
美味いもの ....
怒りが沈殿している
叫びが封印されている
呪いといえば
そうかもしれない
爆破してやる
暴走してやる
叩きつけろ
怒りを、叫びを
そして呪いを
呪 ....
一枚の写真が時を止める
二人がせーのでピースを出して
三年後の未来を照らすような
四季の途中で折れてしまった角を
五回舐めても戻らない形が
枕の下で静かに眠ってる
押し花みたいな夢を広 ....
ああ、できれば
わたしだってもっと若いころに
もっと感性ギスギスしていたころに
こんな風に
詩作とか
おこなっていればなあ
学校にだって
通学路にだって
いきつけの本屋にだって ....
呼ばれたむかし
そんなことも
なかったけれど
なぜか
悪者と
呼ばれていたわけは
わからない
わからないけれど
みられる熱い
まなじりだけは
ほおを刺すように
感じら ....
曇天の下、
足早に通り過ぎていた街並みが
ぱたんぱたんと倒れ出す
書き割りの如く呆気なく
次から次に倒れ出す
後に残っていたものは
果てなく続く大地のみ
俺は ....
みたこともない
みなみのくににむかって
いっせいに とびたつ とり
ないかもしれない
あした にむかって
ゆめを 放つ
たどりつけるのかどうか
じつはわからない
ふゆのむこ ....
近づいて来る人
去って行く人
巡る日々のその中を
波打つ光に包まれて
優しい笑みを浮遊させ
車椅子の老人が
彼方の蒼穹仰ぎ見て
運ばれていく秋の午後
わたしは独り心のなか
静かに ....
電気を17cmに切り刻んで
カーボン紙に時計をコーティングさせて
夕日の足跡の子供のしわに
「ああもうすぐできないね」と叫ばないで
辛くてもネズミを愛さないで
私のこのコンクリートが
....
手も足もでない
遠さを感じ
わたしは青空を見上げて
懐かしいイワシ雲を見つけた
ずーっと
見上げつづけているだけだと
わかっていたんだけど
見も知らずの人に
歌を褒められて ....
今、一度だけ
あなたにサヨナラを言う
そして深く眠りにつくの
あなたは淋しそうに
でも優しく笑って
わたしにサヨナラを返してくれた
どうせまた会えるのだから
お別れの時間は短くて ....
失くしたものは
清らかな意地
血まみれで
無様で
嘲笑われ
下を向き
見つめたい
想いの力が幸せと
かつて信じて
強くあれ
そう
言い聞かせ
ただひとり
泣いたりする ....
どうしようもなく
僕らは果てのない過程に生きる
欠損しながら生きている
全力で力むよ 今を、誤魔化すために
生きる事の苦しみ
※
生きる努力の対価に
人は意味 ....
粉雪が降って
誰もいない夜、
心の花を枯らした
おとなしい哀しみが
うつむく
林檎の木から
甘酸っぱい香りがする
幻想世界、
真っ新な空気が
喉の奥まで冷やしてくれる ....
老いてゆく 病んでゆく
死んでゆく不安
冬は訪れる
それを受け入れる
受け入れつつある
全てを受け入れ
享受する
決して
諦めるわけではない
神は与え とられる
....
美しいもの。
鉄塔のあいまからこぼれ落ちた夕暮れ、
逆光のなかに貌のない雑踏、
砂時計をころがす赤児、
美しいもの。それは指揮者のない調和、
影のない演奏の旋律。
開いた本の頁が
ほんのり茜に染まる頃
太陽は傾きながら爆発し続け
西空はやがて色彩渦の奔流となる
わたしは本から顔を上げ
地上の夕べの目眩く一瞬を
遠退く意識に刻み込む
夜闇が忍び込 ....
涼やかな風吹き抜けて
水辺のススキ銀に揺れ
水面に君の顔ゆらゆらと
浮かび消えては透き通る
まことに秋の時は行く
静かに確かに冬を呼び
皿の上に1/4に剥かれて干からびた林檎がふたつ
淋しくて寄り添うように折り重なってる
音のない世界にカサリと観葉植物の葉の落ちる音
それでも君は決して起きたりしない
のそのそと目覚める ....
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