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[103]st[2017 08/16 09:54]
***** 詩人は知らない ****
鳥は知らない
自分のもっている翼が
どんなに貴重なものかを
コウモリは知らない
自分のもっている超音波レーダーが
どんなに貴重なものかを
タカは知らない
自分のもっている どこまでもみわたせる目が
どんなに貴重なものかを
もしわたしに
鳥の翼があり
コウモリの超音波レーダーを装備でき
タカの目をもったなら
昼も夜も自由自在にそらをとび
どこまでも 地球のはてまで 旅をする
鳥は知らない
コウモリは知らない
タカは知らない
詩人は知らない
自分のもっているものが
どんなに貴重なものかを
[102]ハァモニィベル[2017 08/14 20:47]★1
*
捧げよう Sの霊に。
《 いのちを 人に ささげる者を 詩人という 》 (坂口安吾)
自ら爆弾となって敵艦にぶつかった
たいていは、途中で射ち落されてしまったであろう
自ら飛び散る火の粉となり
火の粉の中に哀しく咲いた
そういう巡り合わせに燃え尽きた
詩人のために
*
[99]st[2017 08/14 05:05]★1
**** 眼前に立ちはだかる勇気の壁 ****
勇気をだして いやならいやと
すきならすきといい
やるならやると やったなら
人生は かわっていたかもしれない
勇気は 人生をかえてしまうほどの力をもっている
嫌いなひとを 嫌いといえたなら
こんな不幸には ならなかっただろう
片想いの恋人に すきだといえたなら
しあわせな日々が おとずれていただろう
あの時に あの株を買っていたら
億万長者になっていただろう
勇気さえあれば
なにもかもかわっているだろう
後悔しても もう遅いが
勇気さえあれば------
*******...
[98]鵜飼千代子[2017 08/13 19:50]★1
君が握る人差し指は
今はまだ一本のわらしべ
化けるかな
馬鹿じゃないよ
吹き出して
組み上げて
開いて組み敷いて
仕舞っちゃう
単純じゃないことをわかりやすく紐解くと
高山植物のお花畑が眼前に広がる
[94]st[2017 08/13 03:45]
**** 片想い ****
きみがそばにいると いつも何もいえなくて
遠くからただ みつめるだけ
きみのことをおもうと むねがあつくなる
卒業でわかれることが わかっていても
なにもいえなかった
きみがうまれそだった街をたずね
きみの住んでいた家へゆき
きみのおもかげを重ねる
夢の中ではできていた 甘いくちづけは
とうとうできなかった
もうあれから数十年がたつけれど
いまでもまだ きみのことが好きだ
こんなに好きになった初恋は
永遠の片想い ------
[93]幽霊[2017 08/12 11:22]★1
必シ中継所
シ体。君が知るべき朝は故昨日。
凍てつくのギロチン。 青白い冷気 そのコップに注ぐ。
彼女 ふわり おでこ。神の肺のため 風..。
[92]st[2017 08/12 05:07]
海青く 白いヨットは 風に乗り カモメをつれて 沖へと向かう
[91]るるりら[2017 07/25 10:19]★2
一滴の 揺らぎに
一斉に 稲の花ほころび
宇宙は それらを わがこととし
ひとつのこらず 見とどけ
そのちいさな いとなみの
いちぶ始終を よろこんだ
霧に つつまれる結実の日
おはようと どなたかが言い続けていたらね
やっと
おこめの あかちゃんになったよ
おはよう どろのなかだよ
こんにちわ 風のなかさ
あれ だれかのおなかのなかにも
うごめいている ゆらぎのぴくりん
[90]st[2017 07/24 16:04]★1
影が線を消し
光と影がゆらめくモネの絵をみながら
ドビュッシーのクァルテットを聞いていると
目と耳が印象派に奪われ
幽玄の世界の扉が開く
まわりのものが すべて消え
時間さえ消えてしまうのではないか
と思うほどの錯覚に驚く
対象をそのまま音楽にするラヴェルとちがい
ドビュッシーは対象の印象を音楽にするので
心の奥底まで 入り込んでくる
境界の線が消え 振動する影が境界となる
まるで量子論のゆらぎの世界だ
[89]46U[2017 01/14 22:59]★1
「君影草のディオリシモ まとって来世で汝を待つ」
夢で交わした指切りが 眼裏に灯る雪の駅
君影草のディオリシモ すれ違うたびふりかえる
狐に化かされ保名となって それでも君の影を追う
[87]46U[2017 01/13 21:58]
巡る星辰 たかぶる精神
星の炎が身を焦がす
月の光をグラスに充たし
舐めれば意外や 舌を灼く
今宵の月光は火酒のようさ
用心召されよ 恋の民
[82]ハァモニィベル[2017 01/08 19:08]★1
+
少年は甘えもせずに、冬空の下、火になった。
笑われながら。
*
笑われた少年と、共に眠るものはいない。
誰に抱かれもせず
*
彼は、口笛を吹こうとして
「書く」ことを覚えた。
*
誰からも遠い場所に、アカルク樹ち上ぼった炎が一つ
墓標のように、さみしく
+
[77]ハァモニィベル[2017 01/07 18:45]★1
*
天文台の傍の、ある産科医院で仮面は生まれた
街に弔鐘が展開する
時代はただ人命を蕩尽し
夥しく欠落した他者が溢れて
皆、非限界の行為に及んだ
解剖不能な無償の理解は
ただ道端に
ひとつ、関心もなく転がっている。
嗚呼、ジュリエットの経験!
*
[75]ハァモニィベル[2017 01/07 13:33]★1
*
ミステリアス状態 0+
その場面を思い出す
眼ではなく耳が
something old, something blue
違う時間の流れる場所。
警視庁捜査一課が、・・・・・・
三鷹市牟礼本宿神明神社裏参道高台の、雑木林
・・・白骨化した屍体、
〈 母さん、変な夢をみたよ
バラバラになって、
バラバラになって落ちていくんだ 〉
ある芸能人の逮捕・・・・・・、
物的証拠がない
目撃者の手記―― 矛盾する事実。
フラット化した捜査と報道
真相を暴いた探偵は、
きのう殺された。
(一通の手紙)
「実は、犯人は他にいる」
*
[72]st[2017 01/07 07:02]★2
なぜだか今夜は思い出す
冬のミステリーの顛末が
完全犯罪の誘惑となる
裏切られた恋の炎が
氷河さえ溶かす程にもえあがり
おもいめぐらす計画は
寒風の雪山に誘い出し
おもいをとげようか
人のいない吹雪の街の道路で
後ろから押して突き出してしまうとか
冬だけの完全犯罪の誘惑が
凍てつくこころのなかを
かけめぐる
[71]るるりら[2017 01/06 21:07]
タイムです。
もしかして、もしかすると
蛾兆さんは、蝶としゃぼんの スレと お間違えではないでしょうか?その話題に既読感ありますが?
追記です。
そういうことでしたか。
理解しました。では、つづけましょう。
解説ありがとうございました。
[69]るるりら[2017 01/06 10:51]★3
This is taco . This is 酢
⇒ うっ ⇚
This is taco酢
This is いか . This is 酢
⇒ うっ ⇚
This is いかす
This is たこ酢 . This is いかす
⇒ うっ ⇚
いかす蛸酢はtacosはikasu
This is 現代詩フォーラム . This is いかす蛸酢
⇒ うっ ⇚
いかすぜ今だ ほら御覧
[66]46U[2017 01/05 23:48]★1
流れゆく鮨が喰いたい
スーパーのパックのではなく
流れゆくまぐろや雲丹やサーモンは
独りで訪れるしかないわたしを
温かく迎えてくれるだろうか
ああ 鮨の流れ
光りモノの肌がテールライトのように点灯する
[64]46U[2017 01/04 17:48]★1
くのいちみたいにびゅんびゅん駆けて 最終電車に飛び乗った
電話のむこうの君の強気が なんだか儚く聞こえたのです
真夜中の街をつらぬく電車 悪夢を切り裂き いざ進め
今宵はくのいち 君の寝息を守りに参上いたします
[63]ハァモニィベル[2017 01/04 14:21]★1
*
たしか
げんじつのように たしか な
こい の ヤマイ の ように たしか な
一番 たしか な
しんでいくことのように たしか すぎる
この一歩 が、
ぼくの すべて
*
(あけおめに候)
[62]るるりら[2017 01/04 09:44]★1
爪は、立てないでよ
出でよ 因幡のしろうさぎ
青は 精神と感覚をむすぶから
あいたい あらじおのような
いたみを ともなうとしても
あの日の海に 行こう
海の底からみた 水平線は ゆらいでいるさ゜
あなたもわたしも ゆらいでいること
たしかめに 行こう
※あけまして おめでとうございます。
[60]46U[2017 01/04 00:12]★2
聴きたいことしか聴かないお耳 ぴくぴくさせればピアスが光る
見たい表情しか見たくない 澄んだまなこをくるりとまわす
猫と呼ばれて鳴いてもみせる でも君にはね 爪は、たてない。
[58]るるりら[2016 12/15 09:58]★2
時間を超えて
空間を超えて
あなたを思っています
時間を空けます
空間を空けます
あなたの場所ですから
玄関に 時間を超えるための
あなたの好きな花
居間には あなたの今を座らせてください
寝室には 時間を超えるための
思い出の品々
どうぞ羽を休めてください
軽くて丈夫な
想像と創造の翼は
また とおくまで あなたを運んでくれることでしょう
[56]るるりら[2016 12/14 16:44]★1
今日一日 構築したすべての事柄の構造は【滅】だった
ダリのヴィーナスの夢を見たが、あの絵のような【滅】だった
予知夢のように キリンが燃え
時間を示す川のような時計は ゆがんだ時間軸の空間で
わたしも静かに白色矮星のように 燃えていた
わたしの火種の構造は【滅】だ
めらめら めろめろと【滅】しながら
わたしの今日が、 燃えている
こうしている間にも
[53]st[2016 12/13 07:33]★1
違うのは何なんだろう
それほど苦労せずに作った
ちょっとしたものが人気を集め
多くの人に利用され喜ばれている
苦労した手の込んだものが
あまり利用されないのにと
作った本人も意外に思う
もし原因があるとすれば
ちょっとしたものでも
手の込んだものを超える
シンプルな操作性と
より広範囲に有効な機能にあると思われる
[51]青の群れ[2016 12/07 00:27]★1
違う場所で同じように笑っていた
東京タワーとシナプスは
波よせて ざぷんざぷんと
何ミリリットルの水
たぶんやさしい海は足をつけると透き通っている
透明度はわからないけれど
333メートル先から観ても
154センチから見上げても
遠くの汽笛 船が見える
船が見えるという事実
[50]るるりら[2016 11/15 17:35]★1
農学が始っていた
偶然 居あわせた ふたりを乗せて
汽車は はてしないコスモスの間を 駆け抜ける
ひとりのおとこが
「花は心、種は態(わざ)である。」といえば
もうひとりが
「そうですのお ええ種がとれると ええですのお」と答え
花がより良い種を宿すための空の話 風の話
軋む窓の外のはるか水の色は おなじゆらぎ
がたんに ごとんの間の農学時間
「ほほお わたしは ノウガクシャですが、それで貴方のご職業は? 」と 聞き返し
偶然ですね。 同業でしたかと しばしの談笑
ふたりは 太陽と月のように 別々の駅で 分かれたが
ふたりのことを能楽者と農学者だったことを知っているコスモスたちが
わさわさと 違う場所で 同じように わらっていた
[48]るるりら[2016 11/05 10:55]
風廟
絶えることない一本の川は 銀に光っていて
平原に道を与え木造の風廟は建っています
門構えから硝子張りで庭もすっぽりと守られ
敷地の外は吹雪だというのに館は小春日和
中では、七輪で秋刀魚が焼かれております
五右衛門風呂がもくもくと煙をあげてます
中では白い顔した人々の 透明なほほえみ
七のつく日には外の様子を見に行くのです
外に行くには昔の人々が初めて月にいった
宇宙服に似た重装備の服装で 出かけます
空気も水も館の中とは違うから無生物世界
鳥もいません 魚もいません 獣もいない
贅沢な人々だけが
生き残り ほかの星の薪で火をおこし
ほかの星の生き物を喰らい
火を眺め 培養された生を生きるのでした
[47]るるりら[2016 11/04 17:39]
知らない彼らに
******************
らしいけどしらない
その火を絶やすな
不知火だか漁火だか
深海の底で 燃えている魚のような
その火を絶やすな
暗黒の夜空に 火の粉を放て
胸の奥で熱いもの 燻るにおい
こわいか それとも美しいか
人か 獣か
人らしいが しらない
こどもらしいが しらない
おとなしいが 静かなのか聡明なのか しらない
叫びを 忘れるな
寄り添う歌を 思い出せ
その火を 絶やすな
*********
蛾兆さんへ
おお、ビューテフル・ナンデー!
↑ご機嫌になっちゃいましたあ!
[45]るるりら[2016 11/02 10:41]
【反響するドップラー】
とんでいく 反響音の ぴーぽーは ナンデー
山にあたり後ろから遠くの音が ナンデー
ナンデーに聞こえ あれらのおとは
あらゆる何故が、ゲッシュタルト崩壊した人々の
悲鳴にも思え
たったいままで
音を耳にする前までの
わたしの妄想が、 あったことのないネットの山の谷間に迷う
現実のわたくしをしらない人のナンデー が
現実に根差したところのない人の答えのないナンデーを
現実に救急を呼んだ人にかけつけた音が 背中から追い抜いて
けしてくれた
けして忘れない逃さない瞬間を
走る人々が
わたくしを
消した
風の中
木立ち
[40]ハァモニィベル[2016 10/04 09:33]
*
蒼穹
雲の淡淡しく
精神はレモンの木
葉影に燃える
レモンの実
太陽は痩せても
心は跌宕の空
優しく震えている
無窮なる鼓動
*
[38]ハァモニィベル[2016 10/01 18:39]
*
【流離伝】
白すぎるほどの雲をひとつ
浮かべている丘の上で
それをただじっと眺め入っている
のか 眠っている
のか
秋の丘のうえに
旅人はやがて知る あしくびの辺りに
はっきりと、雪の深さを
どんどん深くなっていくようなそれを
やがて、どこかに
菫の野が広がっている のか
水は涸れ石と風ばかりの曠野が続いている
のか
遠くない空のしたに
旅人は乙女に逢い
乙女は一個の桃を
みずみずしい桃を、旅人に手渡した。
桃はこの世のものであった
のか なかった
のか
雲のような時間(とき)のなかに
*
# 前作最終行の「し」を受けています。
[35]るるりら[2016 09/22 10:45]
車窓の雨を見ていた
大型バスは わたしを乗せて雨の中を走る
わたあめ機の中を走る
雨は白い糸をひいて
しかも わたあめの糸のように
ほうぼうに しなる
不思議だ
天も地も ひっくりかえし
音まで ザラメ砂糖の音がする
あめのむこうがわを見ていた
なにもみえない
むこうがわを
ばかていねいに
見ていた まばたきも忘れて
見ていた
ぼやきも愚痴も嫉みも
わたしを取り囲んでいた
無数の糸が私をとりかこんだ
けれど、けして
わたしは、繭のようにはならなかった
目を閉じようとはしなかったからだ
なにも見えずとも見ようとしていたからだ
空っぽなままを 耐えていたからだ
となりで
目の見えない人が寝ている
おなじように目を閉じることができたなら
ゆめを見えるができたかもしれなかった
雨音を拍手の音だと思えたかもしれなかった
それでも
見える人でありたかった
なんのあかりも
みつけだすことが できないとしても
[33]ハァモニィベル[2016 09/11 00:25]★2
*
ビールな時が過ぎていく。
携帯が鳴り、彼は死んだ。
孤独が好きだ。
飲んでいたシャンディ・ガフのグラスを置き、
ひとこと、か、ふたこと、のつもりで、
言葉を交わす
「もしもし、ごめんなさい。あなたの好きな銘柄じゃなかったでしょ?ビール」
「折角持って来てくれたからね、今飲んでるよ」
「・・・あ、またスプリッツァーにしたの?白ワインで割って…」
「いいや、ジンジャーエールでさ。もっとも手軽なカクテル。気分はイギリスだよ」
「え、ビールはドイツでしょ?」
「・・・・・・。」
のび太くんに、ドラえもんがポケットからものを取り出して見せる時の気持ちとか、
タ...
[31]st[2016 09/09 17:48]★1
あの日の靴音と 遠ざかる君の後ろ姿が
秋の街を行き交う人に かさなって
忘れていたはずの なつかしい想いが
よみがえる
ときどきケンカをしたけれど それさえもたいせつな
宝物になるなんて
青空はあの日のそらのまま 公園の花もあの日の花たち
すべてがあの日のままなのに
ぼくのとなりにあの人はいない
とおりすぎるかぜのなか
ただひとりあるいてゆく
[30]るるりら[2016 09/07 08:31]★2
手と手と てとてとてと かさなりあって音がする
足と足 大きな靴のなか小さな足が とてとて動く
とおい日の かげが
わたしを追い抜こうとして とてと 立ち止まる
冷蔵庫に 貼られた「幻を見る人」の文字が
なぜか 「幼を見るト」に変化している
ちちのくつの ちからは
わたしがはいたから ちからがあった
がらんどうの朝
わたしは あの日の 靴音を聴く
[29]st[2016 09/03 09:51]★1
しっかりと言ってみた 君がすきだと
驚いてふりかえる君を 直視できない
ちょっとはずかしくて 目をそらしてしまう
なかなか言い出せなかった 勇気のいる言葉に
ついつい大声になって 驚かせてしまう
笑顔で答えてくれた 君の気持がうれしくて
めがしらがあつくなる
きみの目もすこし うるんでいるようだ
なみだがおちないように 青空を見上げながら
あるいてゆく君と僕
もうはなさない 握り合うこの手と手を
[28]高林 光[2016 09/01 14:20]★2
夜の明かりに
きえていくテールライト
煙草の火種
遠くの空から聞こえる
音だけの花火
南天には
十日夜の月
照らされた
ひとすじの薄雲
心だけが静かな夜には
子供達の笑いあう声が窓から漏れる
家の扉をもう一度
開くのがためらわれて
誰にも気づかれないように
衝動が身体を満たし
バラバラになりそうだから
花火は寂しいと言ったあなたに
あざができるほどの力で
しっかりと抱きしめてもらいたいのです
[27]st[2016 09/01 07:34]★3
かなしみのなかで あめがふる
シトシト シトシト あめがふる
ぬれたままでいいと きみはいう
ぼくもうなずき あるいてゆく
道路にできた みずたまり
こころにできた わだかまり
いいわけなんて いえそうもない
もういちどだけ ゆるしてほしい
君のつめたい 視線のなかで
洪水になってしまった ひん死の恋が
夜のあかりに きえてゆく
[26]るるりら[2016 08/31 14:08]★1
【きつつきのように】
いつもこうして 毎日毎日 パソコンをつつく
詩は誰のため?
誰の物でもないかもしれないよ
誰も読んでなんて いないかもしれないんだよ
だれそれのたそがれも
とてつもなく広がっていて
とおいむかしの人のことばが
誰かをすくったり
だれそれを越えて 一遍の詩が
わたしの前に 広がっている
たまには
人でない生き物が読んでいるのかもしれない
わたしの書いた詩も
だれのものでもないかのしれないよ
小鳥のためかもしれないし
かなしみ横丁にたつ柳のためかもしれないよ
[25]st[2016 08/27 03:50]★1
*** ネコ会議 ***
ネコ会議はいつも真夜中の 一時ころ
のらネコ 家ネコ集まって 情報交換のたまり場だ
最初の家ネコのミーちゃんのグチは ひどい食事のはなし
まいにち同じメニューのネコフードであきてきて
みただけでいやになっちゃうということ
のらネコの太郎くんは そんなのぜいたくすぎると
横やりをいれる
次はのらネコの次郎くんの恋人のはなし となりの街の
家ネコのアケミちゃんが好きになり どうしようという
おわりは家ネコのジローくんのはなし 最近あやしいやつが
家のまわりをうろついていてこわい という
あっという間に明け方まじか そろそろおわりのネコ会議は
いつもこうして毎日つづく
[23]st[2016 08/25 17:37]★2
*** アデリーペンギン南極恋物語り ***
すべすべの氷のうえを 腹すべり
かわいいあの娘をおいかけて いきおいあまって体当たり
じっとにらまれ しょんぼり顔のアデリーくん
首をふりふりあやまって なんとか機嫌をなおそうと
白いアイリングの かわいいお目めで
ディープウインクの仲直り
海中散歩のデートへさそい さっそく海へダイビング
猛スピードのおいかけっこが 楽しくて
ついつい時間をわすれてしまい いつの間にか夕暮れに
あわててジャンプで 陸地にもどり
そのままゴールイン
あとは坊やがうまれるのを まつばかり
アデリーペンギン夫婦の 南極恋物語り
[21]st[2016 08/24 04:01]★1
いきなさい!といわれても きみの言葉の裏をよむ
おこった顔がかわいくて ついつい いじめてしまうのさ
僕は本当にあまのじゃく どうにもならない性格さ
自分でもいやになるけど やめられない
いつかくる本物の わかれがこわい
おこりもせずに無視されて 目と目をあわせることもなく
きみはなにもいわずに去るだろう
だからためしてみたいのさ 本当にこわいから
おこった顔で安心する きみにぞっこんの僕だから
[20]るるりら[2016 08/23 09:33]★1
いっそ あーしてしまいたい
あーしてこうしてしまいたい
そんでもって ぐちやぐちゃにして
見事にこしらえた誤魔化すための衣装など
切り刻んで 金糸銀糸が ザクザク切ってしまえ
鶴や亀の文様のあざやかに目出度い赤も
全部を 切り刻んで 空に放つ
さあ
わたしには もう なにもない
まだ 光っている 粉々の私の糸くずよ
灰色な空に飛んで おゆきなさいな
あのひとの 元へ
いきなさい
[19]st[2016 08/21 03:38]★2
君といるときは いつも
しあわせすぎて 不安になる
ほほえみのなかに かげりをさがし
言葉のなかに わかれを探る
来るはずのない 別離におびえ
何気ないしぐさに 敏感になる
やさしさがかえって こわい
同じあしたが来るとは 限らない
くるしくてせつなくて 気が狂い
いっそ殺してしまいたい
[17]st[2016 08/18 06:59]
*** 秋の一輪 ***
澄み渡る 秋を一輪に
部屋にひろがる 青空の
ゆれうごく コスモスにふく
かぜを思う
[15]st[2016 08/14 07:19]★1
この店で最後に逢ったのは きみの誕生日の日だった
突然サヨナラいわれて泣いた 別れの夏がにくい
こんな夏はいらない きみのいない海はいらない
もう夏なんて来なくていい 思い出すのがつらいから
二人で歩いた砂浜なんて なくていい
二人でみつめた星空なんて なくていい
もうなにもかも なくていい
わけをいわないなんて ひどすぎる
いつからわかれが芽ばえたのだろう
なぜ気がつかなかったのだろう
きみのやさしい横顔に
かげりがみえたのは いつなのだろう
いまはもうなにをしてもおそい
きみはもういない
夏が消えてしまった
[13]るるりら[2016 08/10 17:10]★2
【紙屋町界隈】
ここには来れないあなたを
さがしています
わかりやすい たいどで
わかりやすいことばで
さがしてみます
街のあちこちにカメラを設置し
あなたの陰を
さがしてみます
ケーキ屋の前を銀行の前を
人々が行き交うのが
見えます
美術館に モニターを置き、カメラでとらえた映像を映します
モニター画面とともに今日の日付けと時刻が見えるように設置します
それぞれのモニターの上に 町の名前を書いた紙を置きます。
猿楽町. 鷹匠町. 鍛冶屋町. 塚本町. 細工町. 材木町. 木挽町.
天神町北組. 天神町南組. 鳥屋町. 紙屋町. 塩屋町. 尾道町.
...
[12]ハァモニィベル[2016 08/10 13:49]★3
*
メソン
何処へだって行けない日もある
誰かの去年のような
何処にも行けぬままの日々は
わたしの今日のように
何処へだって
行けないで今もいるんだ。
何処かへ向かっているように見える
明日のあたなが、
此処には来れないあなたであるように
*
[10]st[2016 08/10 09:11]★1
とおい記憶に夏が来て ゆらぐ広野をかけめぐる
麦わら帽子がにあってた 長い黒髪の少女は
紺碧の海がみえる丘に立つ
地平線は蜃気楼ととけあい 海上には何そうものふねが
行き交っていた
日差しは徐じょにかたむいて 砂浜は潮のにおいに満たされ
少女はやさしくほほえみかける
いったいそれは いつのことだったのだろう
永遠にかわらない姿が
夕暮れのなかで 消えてゆく
[9]ハァモニィベル[2016 08/08 22:39]★2
*
「 庭 」
いつだって庭は郷愁の先にある
ありもしない故郷の宙に
ブラ下がる様に
一つ
浮かんでいるんだ
巨大な貌で
小さく囲いこまれた
伸びて広がってゆく
秘密の根が 下向きに
咲いているんだ その園には
陽差しを受ける修道士の薬草は
その日
Romeo と Juliet を殺した
*
[8]塚本一期[2016 08/08 21:28]★4
聴いてみせた
確かに聴いてみせた
確かに下らない話だった
下らない話はあまり長いこと続くと
人の精神を崩壊させる
ある女は自殺し
ある女は刺し殺そうとして
警察に捕まった
どちらの女も
同じ男の妻だった
その男の義理の娘になった私は
病院通いを余儀なくされた
下らない話には
自覚ってものが必要なのよ、パパ
歯の抜けたパパ
そろそろ寝るから私を起こさないで
自慢話は庭に向かってするものよ
[7]Lucy[08/08 18:10]★2
時の過ぎるのを忘れ
畦道にしゃがみ
ひらく瞬間を待っていた
山の向こうに月が姿を現すころ
何かが限界をむかえるように
耐えていたがくが
プツリと裂けて
薄黄色い花びらが
ゆるゆるとほどけ拡がる
その一瞬を
思いを遂げたいくつもの花が
あちらこちらに揺れているのに、
見ている前ではかたくなに閉ざし
ふと目を離した隙に
既に開いていたりした
もう暗くなるから家に入りなさいと
誰かが迎えにくるまで
小さな女の子が夕暮れ時
ひとりで外にいることの危険など
つゆほどもしらず
許されて一輪もちかえった蕾は
コップに挿され
窓辺に置かれ
月の光を吸うように
音もなく開いてみせたのだった
[6]st[2016 08/08 07:21]★2
夜の空き地をさまよい みえかくれする月光のゆらめきが
月見草にとどく頃には 夏の夜空は星影で満ちている
だれもいない ひろい空間がざわめいて
ときおりふくかぜに 秋の気配はまだない
ゆれうごく かげにおわれながら
逍遙のときはすぎてゆく
[4]st[2016 08/07 10:07]
シリウスからやってくる はるかにとおい記憶が
ぼくの眼にもきみの眼にも はいってくる
夜があけるころ 地平線のかなたで輝いて
ふたりの朝を やさしく迎えてくれる
もうすぐ朝の鳥たちの モーニングコールがはじまって
わかれのしらせを とどけてくれる
幾光年の時をへて ひとすじの旅人の
ひかりの鼓動が 揺れ動く
[2]st[2016 08/06 10:06]★1
終わってしまった恋なのに こころよりからだが覚えてる
朝起きるたびに手を伸ばすのは きみがいるはずのところ
コーヒーカップを無意識に 2つ手に取るのはなぜ?
きみのいない部屋なのに きみの好きな花がある
玄関のきみのスリッパが なぜまだのこっているの?
からだが忘れてくれるのは いったいいつになるだろう
でもそんな時は永久に こなくてもいい
[1]ハァモニィベル[2016 08/06 01:15]★1
*
『おもろすと』
離島の神歌が
不断の火テダに湧きかえり
海の異郷に鳴く
白壺に五つの種子は眠り
ニルヤ遠く、失せて三年、祝女稲福婆(いなふくばば)
貝螺体(ばいらたい)にて彼処(かしこ)に
漂う。
香をかぐわしみ
竜宮を喰む。と、悲しく
「「言ひ畢おわつて吐はくもの色黄なり」」
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スレ更新おめでとうございます。
>前のひとのことばや思いをひきついでね。。*^ ^*
というのが良いですね。