カーテンを開けると大雨だった

ひどく気が滅入る日曜日だ

さらに気が滅入ることに

カーテンを開けたのは彼女の方で

私は外で立ち尽くしていた
はじめてのくちづけ熱くこの天も地も知ろしめさせ響け和音よ

こまぎれの短歌かたかた細切れのねぇねぇそれは美味しいですか

死者誤入されて冥土もこの世にも居場所がなくて北風となる

さぁ ....
開け放たれた窓
とその影

風に揺れる
白いカーディガン
とその影

鏡に映る
誰もいない部屋
とその影


わたしの耳に住む
花火師がひとり

ときおり
小さな貝殻の ....
疲れた僕に
甘いものを と

甘栗


秋になったら君と
並木団地へ行こう

春になったら君と
桜ヶ丘に行こう

そんな名前の場所を
地図で探していこう


そこには
 ....
「オレだよオレ」

その日僕は
喋る鷺をこの目でしっかり見たのです
「石になる」
とは 聞いていたけれど今
あなたを探すと
胸が 林檎になります
ベビーカーが坂道をすべりおちてゆくその横で僕は時間よ止まって
と強く願ったその頭上に響くヘリコプターの音にハッと仰ぎ見る空、
ちぎれるくらい手を振った
嫌いな奴にぶつけてやりましょう。 深夜、バスに乗る
乗客もまばらな車内
運転席をのぞくと
濃紺の制服を着た父が座っている

昔、一度だけ
大人になったらバスの運転手になりたかった
という話を聞いたことがある
どこかで何 ....
縄とびをする子を探していると
ピンク色のセータに 水色の縄で跳ぶ子がいたので
失礼して
卵を置きました
割れて出たのは 木屑です
カラス 雀 みみずく キリンなどが それを喰うので
「トッ ....
なんとなく後ろめたしと思へども夜に備えて眠る日盛り

働くも働かざるも自由なり君に逢ひゆく自由なしとて

ロボットの腕は緻密に動きゐてその暖かき体温あはれ

深夜0時冷たく硬き弁当を昼飯と ....
妻が寝言でごめんなさいと謝っている
悪いことをしているのだ
悪いことをして泣いているのだ

ベランダから空気が入ってこない
高くなるほど薄く
いき をするのが苦しい
いき 苦しい ....
電燈を消して驚く牡丹雪

いま一度振りて風鈴仕舞ひけり
水面が乱れて
小さな塊がゆっくりと沈んで底に横たわった
魚たちは恐る恐る集まってきて
塊を遠目に眺めた
それは線が複雑に組み合わさって
「翼」のような形をしていた
きっと毒にちがいない ....
 
親友の孕み女となる便り花舞い散るはいつも奇跡だ
 
レンギョウの黄に向日葵を想いけり みどり児生まれくるとふその日を
 
さくら花おもたく露を含ませて我にこそ宿れめ我にこそ宿れめ
 
 ....
吉岡実はどこでもない場所を、どこでもない位置から、他にたとえることのできない質において出現させる。

  わたしが水死人であり
  ひとつの個の
  くずれてゆく時間の袋であるということを
 ....
  

  放課後の静まりかえった女子トイレ金魚が一つ産み落とされる

  揺れ動く尾びれ背びれに滲む跡肢体をつたう金魚群

  奔放に泳ぎまわるや体内の水槽覗き金魚と目が合う

   ....
色褪せしカエルの背をなでやりつ人差し指はものひきつらす

日暮れれば花弁を閉ぢる花と知らず植ゑてよりわが昼は呪はれ

土くさき夜気につつまれ甦る記憶くるしくのびる根のごと

街路樹の根の垂 ....
一束の薔薇を奪ひし通り魔の手にぎちぎちと青き棘立つ

花を剪るしあわせな朝よそおひて茨に髪をからめとられつ

「ともしび」と「かなしみ」似たり真夜中の明るき窓の下に黄の薔薇

にくしみを誘 ....
ハピネス。
幸せについて語ろうとすれば
それは光のように輪郭をなぞって透けていく
影はすべて
光を雄弁に語るハピネス。
流れ、を捉えることが難しいのと同じくらいに
私たちが生き残るのは ....
ひとりでいるということは
どういうことなのかしら
慣れていたはずなのに
いったんふたりを知ってしまうと
すごく怖いことのような気がして
若葉さす あのやまなみが
ひときわ美しいから
ごま ....
地下鉄で
あなたは手首だけの幽霊と手をつないでいる。
もうさびしくないね、よかった。
あなたを慰めるためだけにこの世界に生えているてのひら。
それはまるで、

薔薇のよう。
『天象俳句館』http://homepage2.nifty.com/masaoka/index.htm
正岡豊さんのHP。
俳句・短歌・現代詩の話題その他いろいろ。バックナンバーも見るべし。
詩 ....
みだれ髪みだれる前に刈り上げる

海底が盛り上がる あれが曾祖祖父

舐めてみる 仮面の裏の君の涎

キッチンに鳩の生首 おはようあなた

時計がとまる あなたが止まる

交差点い ....
雨音す記憶の裏の廃墟より

うすぐもにあなたをのせて追放す

がじゅまるの森よわれらを放逐せよ

がむらんや人なく冷たくゆーとぴあ

霧襖抜けて来しひと霧に消ゆ

くすみたる欄間の ....
暑さゆゑ眠れぬと生皮を剥ぐ

炎天や毒蛇暴るる腹の内

息づくよどみに足をとられた

君がやさしく手をのべれば滴る血

くすりゆびだけのびあがり霧の沼

首無しが首締めてゐる芒原
 ....
わが歌は毒虫の背に投げられし赤く冷たき林檎のひとつ

階段の踊り場に立つあのひとの胸に抱かれてゐるオドラデク

かの城の地下奥津城の牢獄に我あり愛し君を待ちつつ

流刑地に落ちゆく君の背に ....
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