会いに来て腕一杯の猫じゃらし花束にしてリボンをかけて
うつせみやあなたの上着をだきしめてくんくんくんと息を吸いこむ
小枝とか石だとか夜空情報とかわたしのもとにもたらす人よ
朝風を浴び ....
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
渦巻くのは散々だ。ひとつ通り越せば円形の日々がまたたく前に振り落ちてくる。ゴーイング午後。そしてその先から、定規で引いたような白線が舞い上がり、先走る道をただただたどたどし、く、たどり。ただその、嘘。 ....
渦巻から
定規で引いたような白線をたどり
ところで湿らせる肌に槍のような陽光で
金色の
昼という昼に
ぼくらはいつも空に浮かんでしまって
いつも雲が撫でられない
だから夢のように酔え
....
「不思議だね、みんな死んだらいいのにね」ってビルの65階の夜景
もう少し待って 60年くらい経てばさみしさが死因で死ねる
{引用=6月、梅雨 ....
日に満ちた電車はそっと風になり火照ったほほをすりよせてゆく
夏に包まれた海の底の席で車掌が居眠りしつづけている
唇のはしからはじまる熱気にもあたたかないばら胸に ....
誰が湿らせたかご臨終ごっこ
待て落ち着けそいつはほんとに美女なのか
話しだすとつとつとつとつヘリが来る
あ と思うより他のない傷があり
月を打つ音悲しくて水面立つ
「今日 ....
通りすがりの人に頭を殴られたときに
どこかでしあわせになったあたしが
鼻血を流し、ぐらんぐらんの脳みそで
汚れる制服とアスファルトを
きれいに混ぜた
人を殺してばかりのきみの
本当は殺 ....
私の葬式がささやかに執り行われ
友人らが久しぶりに集まった
青空には透明な道が果てしなく続き
新緑に人々の喪服が映えて美しかった
一滴の涙も流されず むしろ
想い出を懐かしむ声で
小さな式 ....
かえるなり
あせのかわごと
ぬぎすてて
みずぶろふかく
しんでもいいや
踏みつけた木の葉の裏に隠れてる虫さえ愛せるくらいにひとり
冷房のファンに揺らされ落ちる葉のむなしさだけは凍り付いてる
あの雲にかかればあの葉の色だって一撃なのよ だからわたしも ....
月の沈んでゆく夜
あいまいな風を許した明かりが
動きを止める
月の背後が透け始める頃
水を見つけた記憶が夜を知る
月の沈んでゆく夜
あいまいな返事を許した暗闇が
幕を ....
金魚鉢かすめる涼風の行方知ってか知らずか手招きの夏
逝く春の背中押しつつ背中からはじまるアブラゼミの{ルビ時間=いのち}よ
きみがたわむれてた波ならひとすくい両手ですくって ....
夕焼けは東京タワーに盗まれた
冷風に反射した空雨近く
寒いねと囀る 風とスカートが
花火より緑の夜ざくら見ていたい
っっっ風 今の強いね 飛ばされたね
きっと僕ら、お ....
逆上がり空腹感もこのように
「席はない」と言うからじぶんで準備をし
墓石を乗せ来た船は皆沈み
霧雨に靴が揃えて置いてあり
理解しがたい鐘を打ち鳴らす夜
やらねばならぬとは ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
雫 の 湯 夢 に ま か れ て 初 夏 の 下
し ぼ ん で く 線 香 花 火 と ビ ニ ル 傘
崩 れ 落 ち 土 砂 降 り ご っ こ も 今 の う ち
傘 ひ ....
あたしの町のあたしの川の向こうにはあたしだけの工場が在る。
其処は終日稼働式で、何時でも好きな時に好きなだけ眺める事が出来る。
くすんだ灰色の煙突は大した高さでも無いのに
チ カ チ ....
時を刻むより他に
自分にはすべきことがあるんじゃないか
時計は思った
けれど何をしようにも
手も足も出るわけがない
ただ柱にぶらさがって
そこはそれ時計の悲しい性なのだろう
正確 ....
そうぞうしいみちのうえで
林檎が鳴った
歯をみせて おとは失せる
あなたのつちいろの肌
ゆうぐれと 宵のすきま
てれびをぼんやり ぼんやり
ながめてすごす
ふとしたとき
とばさ ....
世界のフィーリングで今ぼくは奇跡
よく聞いてよ星のくしゃみを
ためいきがピンクになるまで愛し合う
カーテンを閉めるまでの人間形態
×と書かれた改札にも入 ....
私の忘れてしまったことばが明かりを照らす
見えてくる
見えてくる
見えてしまう
クリアになることを恐れるように
私はまたことばを探す
きっと誰も
本当に立 ....
無数のソーダ水の泡が
ソーダ水から夏へ飛び立つ
そのときの一頻りの冷たい破裂音を
私たちは聞きます
ね、
それは、模範的な別れの際だと
ほら、そのあとに残るぼんやりとし ....
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた
それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
....
こんにちは
おはようございます
こんばんは
みしらぬひとが
あたりまえのように
あいさつをかわす
みしらぬかぜが
みしらぬひかりが
あたりまえのように
あいさつをかわす
....
定型に望みを賭ける
形なきものにかたちを与えるように
カメラ無し三脚立てて五歩下がり
瞼が切り取る秋の夕暮れ
君のこと好きで好きで気が狂いそう
君の字に宿る君の ....
夏休み
街から人はいなくなった
窓という窓
木陰という木陰
ベンチというベンチ
そのいたるところから
少しの匂いと
体温を残して
静寂、というには
まだわずかばかりの音 ....
流れ星を見た。
うつむく彼の頭撫でながら
見ていたら
すっ
すっ、て
花火大会の余韻も
冷めやらぬ私の頭上
初めて見たよ。
2つも。
髪の毛をかきあげたら
鳴くんだよ
....
どうしようもないくらいの
空の返還が
わたしに帰ってきた
わたしの唇は青いことでいっぱいになる
空に着歴がある
それは長い長い数列
雲は遠くの蒸気と会話したりするけど
やがて話が尽き ....
「自分は?」と聞くのが恐くて 孤独ってあんまり美味しくないの知ってて
矛盾って何だったっけこの問いに答えるための言い訳だっけ
切り裂かれる桃から見たらまっ白な世界の広さにや ....
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