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シーラカンスてことばが
とつぜんうかんできて
ああ、だからなんだ、と
まいにち せなかだけをみつめつづけてしまうあのこに
ふれあうことをしないのは
わたしが 化石のまま生き続けているからです ....
冷たさが
この幸いを閉じ込める
すぐに消える雪片に
まじってもつきささる声
それは
あなたのことよ
鍵を持つ
右の手の指がかじかんで
それでもこれを落とそうとしない
....
さあ
南天
この冬にまだ緑を纏わせて
あなたがいることを知ろう
私が知るあなたというのは
この時節まだ凍てついているはずだが
離れても
違う名を与えられることなどなくて
冷 ....
ふと
雲に隠れたオリオンの
星
それは
燃え尽きたように思われた
濃い
紅茶に落ちた
黒砂糖
それは
溶け尽きたように思われた
あなたが
発していた言 ....
ひとりでぶつぶつ言っています。
ベルギーの画家マグリットは言いました。
「私の絵の題名は説明でないし、絵は題名の図解ではない。題名と絵のつながりは詩的なものである」
いい。いいねーと思っ ....
前回の、視覚詩のお勉強の続きです。
○北園克衛の視覚詩
北園克衛は日本の視覚詩の先駆者で、ヨーロッパなどで視覚詩がさかんになったのと同じ時期に
(またはもっと前?北園克衛主催のモダニズム ....
おおきなけだもの
お前に会うのは
もうずいぶん久しぶりだ
お前と会うときは
これで仕舞いだといつも思うが
どうやら出会ってしまったな
どうだ
ひとつ
おおきなけだもの
おれは ....
{引用=からだ
すこし熱くして
あなたは
立っていました}
だらしのない
ゆびさきがふれた
ちいさなしぐさで あふれてゆく浴場
朝が来て
また
あさのくる ....
青い空気をかきまぜる
そんな時がきたのです
時は夕暮れ
ヴォリュームを下げるように
スイッチを回すと
青は静かに濃くなりました
青い空気が動きだす
そんな時がきた ....
暗闇の中で月が輝いていた
その月は決して欠けることなく
ぼんやり浮かんでいた
失ってはいけない
だから近づかなかった
暗闇の中で月が輝いていた
その月は決して沈むこ ....
港に来たら、花は散っていた
ノウゼンカズラが
地上に口付けている
おぉんおん、
おぉんおん
遠くではまだ咲いている
向こう岸の工場の灯だ
向こう岸の工場が
....
あの頃、君に告げられなかったことを今
***
ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ
ねぇ、君
扇風機の首フリに合わ ....
夏の闇は思ったより深いのか
それだけが
ほんの小さな鬼火のように
灯っている
今
その人は息を吸った
白いランニングの大きな腹がふくれ
コオッ、と
鬼火は点滅、そしてお ....
わたしたちは小学校のプール跡に住んでいた。
もちろん家に住んでいた。
プール跡に、家が建ったのだ。
ともすれば思い出したように、夏にはテーブルの上にサトウくんが立った。水泳大会 ....
ねえ 南十字星ってどれですか
と恋をしていた
空はあんまり星だらけだったので
はたして
その星をあなたが知っていたのか
わたしは知らない
し、
知らなくてよかった
白線を
....
月の沈んでゆく夜
あいまいな風を許した明かりが
動きを止める
月の背後が透け始める頃
水を見つけた記憶が夜を知る
月の沈んでゆく夜
あいまいな返事を許した暗闇が
幕を ....
私の忘れてしまったことばが明かりを照らす
見えてくる
見えてくる
見えてしまう
クリアになることを恐れるように
私はまたことばを探す
きっと誰も
本当に立 ....
何年も
荒れはてていた庭に
野菜の苗が植えられ
植木鉢の
マリーゴールドが置かれた
母と父が水をまいて
コンクリのように
馬車道のように押し固まった土を
いくぶんか、柔らかくさ ....
五月のある晴れた日
思いつきでスウィッチに触れた
何もかもが滑り出し
ある部屋に私は辿り着いた
6月のやっと訪れた静かな夜
私は揺れる影に気が付いた
いつの間に ....
{引用=連作詩『右手と左手のための協奏曲』 より}
ゆるやかにま おなじことのくりかえしのようですこしず
わりながらす つへんかしていくいったりきたりしながら
すむゆるやか いつ ....
黄色の傘がルーレットのように回り
答えを落としていった
ぽつんぽつんと落ちてゆく答えより
回る傘の鮮やかさにみとれていた
色のない答えが静かな雨に溶けてゆく
黄色の傘が警告ランプ ....
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
争いは銃からではなく
言葉から始まることを知らなくてはならない
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
言葉の扱いが ....
体温と同じ温度のことばがほしくて
私は冷えてゆく
冷たいことばが風になり
人は一瞬目をそらす
体温と同じ温度のことばがほしくて
私は枯れてゆく
乾いたことばが砂になり
人は一 ....
砂浜になぜか
まるのまま打ち上げられたりんご
いつからあるのか
りんごはなかば透き通っている
食べたらひどくだめそうなのに
僕はそれを舌にのせる
のを逐一 想像する
おいしい ....
小さなナイフを握りしめました
最初で最後のするどい傷跡が
宙を舞いました
柔らかな時間に何の罪もなく
優しい沈黙に何の悔いもなく
それでも気づくと
私はナイフを握りしめていまし ....
消えてゆく瞬間に目を開けると
そこは青い草原で
私は少しずつ目を覚ます
私を溶かしたものの正体を
忘れることで
私は再び瞬きをする
また少し色が変わった
青い草原で
溶けて ....
始まりと終わりは少し似ている
そんなことばをつぶやいてから
4年の月日が流れていた
あの春
予期せぬ始まりに出会って
私は終わりというものを知った
終わりと始まりは少し ....
ささやく声が空気を揺らす
消えてゆこうとする白い空気の鼓動
伝えることを止めた白い空気の残像
ささやく声が空気を引き寄せる
薄まってゆこうとする白い空気の躊躇
流れる ....
水色の箱に雪が降る
白い箱から遠ざかり
気付くとそこにあった水色の箱
積もった雪の幻影が
白い箱を思い出させる
水色の箱に雪が降る
自ら発する温もりが
雪を溶かしてゆく水 ....
海の底にある箱は
水色を反射して
白く眠る
光りが届く深夜には
そのシルエットだけが
ぼんやり浮かぶ
海の底にある箱の
空っぽという
存在感
光りを拒む深夜には
海の深 ....
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