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望まれてあなたの髪に入る冬
待つことも降ることもなし神帰月
呼べば降る呼ばずとも降る鬼火かな
骨の冬気付かず歩み骨となる
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小雀を埋めてスコップ温まれり
陽炎に十八歳の逃避行
電車過ぎ青田の中に風ぬける
目を閉じた赤子の笑みに触れる花
ひとひらをくちうつしする涙かな
赤子の手何を語るや散る桜
とどまらぬ光の糸をたぐる花
名づけても名づけきれぬ日花 ....
ねむりたい頭のうえの冬蜜柑
渚なきからだ横たえ冬を聴く
白髪に月がふたつの冬夜空
斃れるはきさまだと知れ雪つぶて
おのれこそ ....
溺死者は死にたかったの 思想の瀞
歯の痛みわがものとせず皿を噛む
ねむれないひるまを足掻きようもなく
切ればゴミ髪も小指も恋人も
狙われた記憶もなくて行方不明
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夕焼けは東京タワーに盗まれた
冷風に反射した空雨近く
寒いねと囀る 風とスカートが
花火より緑の夜ざくら見ていたい
っっっ風 今の強いね 飛ばされたね
きっと僕ら、お ....
雫 の 湯 夢 に ま か れ て 初 夏 の 下
し ぼ ん で く 線 香 花 火 と ビ ニ ル 傘
崩 れ 落 ち 土 砂 降 り ご っ こ も 今 の う ち
傘 ひ ....
春の花ほつれゆくまま雨模様
現し世のなべて二重の涙かな
雨の舌双つの蝶を行き来する
手のなかに生まれ滅びる己かな
留めおく術も失くし ....
脱ぐときは背中から脱ぐ春近し
目薬のまばたき世界を巡りゆく
歯の奥の穴に詰め込む笑いかな
にやにやと胃がさげすむ日空は青
とどこおる想い手のひら解き ....
山 吹 の 棘 を 踏 み し め 春 と 修 羅
春 雨 の 部 屋 に た た ず む 目 貼 剥 ぎ
春 日 傘 挿 し て 世 間 は つ ぼ み 待 ....
笹公人さんの歌集『念力家族』http://po-m.com/forum/bookad.php?did=29415から32のお題を拝借してつくったものです。
1.念力
念力の半端にかかり雪解かな ....
陰 口 で さ や さ や ス ス キ の 少 女 た ち
手 首 に は 真 っ 赤 に 咲 い た 赤 も み じ
セ ー タ ー に 袖 を 通 し て 影 か く す
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夏を見て次の春まで筆を置く
濁流も流れと数え現代詩
創られぬ夜を草木の夜と知り
恋文も届かぬ国の地図を見る
山を見下ろす黒き鳥影
電燈を消して驚く牡丹雪
いま一度振りて風鈴仕舞ひけり
雨音す記憶の裏の廃墟より
うすぐもにあなたをのせて追放す
がじゅまるの森よわれらを放逐せよ
がむらんや人なく冷たくゆーとぴあ
霧襖抜けて来しひと霧に消ゆ
くすみたる欄間の ....
暑さゆゑ眠れぬと生皮を剥ぐ
炎天や毒蛇暴るる腹の内
息づくよどみに足をとられた
君がやさしく手をのべれば滴る血
くすりゆびだけのびあがり霧の沼
首無しが首締めてゐる芒原
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